主材料と副材料とは?パン作りでの役割は?どんな効果があるか仕組みを解説!
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パンの材料は、パン作りに最低限必要な主材料と、パンの個性をだすのに追加される副材料に呼び分けることができます。
ここでは、パンの材料がもつ、それぞれの役割について解説していきたいと思います。
主材料とは
主材料とは、パンを作るのに最低限必要な基本の材料のことです。
主材料に含まれるのは、粉、酵母、水、塩の4種類です。
もともと発酵パンは、この4つの材料だけで作り始めました。
そのため、リーンなパンに分類されるものは、主材料だけで作られていることがほとんどです。
まずは主材料のそれぞれの製パンにおける役割について解説していきましょう。
粉の役割
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パン作りには小麦粉やライ麦粉が使われていますが、基本的には小麦粉を使うのが主流です。
一般的に小麦粉が使われているのは、グルテンを形成するのに欠かせないタンパク質の「グリアジン」と「グルテニン」の両方を持つ穀物が、小麦だけだからです。
グルテンを含まないライ麦でもパンは作られていますが、グルテンの形成がないため膨らまず、ずっしりと目の詰まったパンに仕上がります。
グルテンがパンの骨格を担う
グルテンは立体的な網目構造をしており、パンの骨格を担っています。
発酵によって発生する炭酸ガスは、グルテンの緻密な網目構造によって閉じ込められます。
炭酸ガスを外に逃がさず充満させることで、生地が膨らみ発酵パンとして成立するのです。
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小麦粉のなかでも、パン作りに強力粉がおもに使われるのは、小麦タンパクを多く含んでいるためです。
近年では、小麦アレルギーの増加や米の消費量が減少していることから、米粉を使ったパンも誕生しました。
しかし、グルテンを含まない米粉を使って、通常のパンのように膨らませるのは基本的には難しく、パン専用に改良された米粉を使う必要があるのです。
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酵母の役割
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つぎに、酵母の役割について紹介しましょう。
炭酸ガスを産生し生地が膨らむ
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酵母は使う種類によって作業性や仕上がりに違いがありますが、一番大きな役割としては、生地を発酵させるということです。
酵母は、えさとなる糖と結びつくと、糖を分解しアルコール発酵します。
そのときに発生する炭酸ガスが、生地のなかに充満することによって生地が膨らむのです。
発酵パンにはもちろん酵母が必要ですが、ナンなどの無発酵パンであれば酵母は必要ありません。
イーストと自家製酵母の違い
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ちなみに酵母には、イーストと呼ばれるものと自家製酵母と呼ばれるものがあります。
イーストは、自然界に存在する酵母のなかから、製パンに適した単一の菌だけを集め、培養したものです。
生イーストやドライイーストなどさまざまなタイプで販売されています。
一方、自家製酵母は果物や穀物などに付着する菌を自分で培養したものです。
イーストに使われる菌のほかに、乳酸菌や酪酸菌など、複数の菌を培養することで、酸味やえぐみが生まれ、独特の旨味をだすことができます。
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水の役割
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仕込み水として使われる、水の役割についても見ていきましょう。
材料を繋ぎ合わせる
製パンの材料として使われる水には、他の材料を均一に混ぜ、繋ぎ合わせる役割があります。
粒状である砂糖や塩は、水が入ることで溶解し、材料全体と混ざり合うのです。
また、水はデンプンの膨潤や糊化にも必要不可欠です。
デンプンは水と合わさって加熱すると、小麦粉に含まれるデンプンの粒子が吸水し、膨らみます。
膨らんだあとはしだいに熱により糊化され、繋ぎの役割を果たします。
小麦への給水
小麦タンパクであるグリアジンとグルテニンは、小麦粉が吸水することで粘性や弾力性をもちます。
つまり、グルテンは、小麦に含まれるタンパク質が水と合わさることで、初めて形成されるのです。
酵母の生育環境を保つ
酵母は、酸素がないところでは糖を分解し、アルコール発酵をおこないながら増殖します。
酵母の生命維持の手段ですが、水を加えて酸素のない状態を作りだすことが、結果、酵母の代謝に欠かせないものとなっています。
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塩の役割
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次は、塩の役割について紹介していきましょう。
味を引き立てる(対比効果)
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塩には、対比効果と呼ばれるものがあります。
対比効果とは、食品のなかに味覚を刺激する2種類の味が存在するときに、一方の味が他の味によって強く感じる現象のことです。
たとえば、スイカに塩をかけて食べたときに、より甘さを強く感じるのはこの対比効果によるものです。
パンの材料にいれることで、砂糖の甘みは塩の効果で調和され味を引き締めます。
つまり、塩はパンそのものの味にも影響しているのです。
生地を引き締める
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また、塩には生地を引き締める効果もあります。
生地を引き締めるというのは、グルテンの性質を変化させ、弾力のある生地になるということです。
弾力のある生地は、肌触りがよくまとまりやすいため、作業性がよくなります。
さらに生地に力があるので、窯伸びもよくボリュームのあるパンに仕上がるのです。
そのため、塩を加えていない場合は、べたついて締まりのない生地になります。
発酵を抑える
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塩を入れると生地内の浸透圧が高くなり、酵母から水分を奪います。
すると、酵母に含まれる酵素の活性が抑制され、発酵が抑えられるのです。
発酵を適度に抑えることで、作業速度を調整することができます。
塩の量は調整が必要で、少なすぎれば発酵の抑制にほとんど影響はなく、多すぎるとパンの味に影響が出てしまいます。
発酵が進みすぎていると、糖のほとんどが酵母のえさとして使われているということです。
そのような状態では、生地中に糖が残らなくなり、焼き色がつきにくくなる原因にもなります。
正常な発酵を促すためにも、塩は大事な役割を担っているのです。
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副材料とは
副材料とは、パン作りに欠かせない主材料以外の材料のことです。
作りたいパンに合わせて、基本の材料に追加します。
副材料に分類されるものには、糖類、油脂、乳、卵、具があります。
糖類の役割
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まずは糖類について解説していきましょう。
パン作りに使われる糖類には、砂糖、はちみつ、シロップなどさまざまなものがあります。
イギリスやアメリカでは、砂糖と言えばグラニュー糖が主流です。
そのため、製パンにおいても一般的にはグラニュー糖が使われています。
酵母の栄養になる
酵母は糖をえさにして発酵をおこないます。
小麦粉にはデンプン質からなる糖が少ないため、そのままでは発酵が十分におこなえません。
糖類を加えることで、酵母のえさとなって酵母の働きが活発になり、炭酸ガスが発生します。
老化を遅らせる
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パンは時間がたつと水分が蒸発し、パサパサしてきます。
しかし、砂糖には保水効果があるので、水分の蒸発を防ぎ、老化を遅らせることができるのです。
水分をしっかり含んだ生地は、しっとりとした食感に焼き上がります。
焼き色をつける
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パンのクラストが茶色く色づくのは、褐変反応であるメイラード反応やカラメル化によるものです。
メイラード反応とは、食品に含まれるアミノ酸などが加熱されると、茶色に色づく現象のことです。
また、カラメル化は、糖が加熱されると濃い茶色に色づく現象のことです。
特に糖の役割として大きいのはカラメル化の方で、糖を含んだ生地は加熱すると茶色く色づきます。
パンの焼き色は、見た目のよさや香ばしさを出すのに欠かせません。
味に甘みをつける
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糖類はパンそのものに甘みをつけるためにも使われています。
特に菓子パンや調理パンなどの生地には砂糖が入っており、味のかなめにもなっています。
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油脂の役割
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つぎは、油脂について紹介していきましょう。
油脂には固形油脂と液体油脂があります。
固形油脂としては、バターやショートニング、ラードが使われ、液体油脂としては、サラダ油やオリーブオイル、ごま油などが使われています。
風味づけの効果
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油脂には、パンに風味づけをする効果があります。
特にバターやオリーブオイルには独特の香りがあり、パンにコクをだすことができます。
伸張性が増して作業性がよくなる
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グルテン膜が油脂でコーティングされる被膜効果によって、生地の伸張性が増します。
伸張性というのは、生地が良く伸びる性質のことです。
そのため、生地が切れにくく、作業性がよくなります。
発酵時に膨らみやすくなる
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さらに発酵時に発生した炭酸ガスは、グルテン膜の被膜効果のおかげで外に逃げにくくなります。
溜めこまれた炭酸ガスは、膨張して生地をおしあげ、膨らみやすくなるのです。
窯伸びがよくなる
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油脂による潤滑効果で、グルテン同士の摩擦がおきにくく、グルテン膜が薄い状態を保ちます。
グルテンの膜が薄いとしっかり生地が膨らみ、窯伸びがよくなるのです。
老化を遅らせる
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さらに、グルテン膜が油脂でコーティングされるため、水分の蒸発を抑える効果もあります。
水分の蒸発を抑えることで、クラムがしっとりした状態が続き、老化を遅らせることができます。
食感を変える
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油脂にはショートニング性というグルテンの構造を弱める性質もあります。
そのため、油脂を多く使えば使うほど、生地はもろくなり、サクサクとした食感に仕上がるのです。
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乳(牛乳・生クリーム・脱脂粉乳など)の役割
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製パン材料として使われる乳には、牛乳や生クリーム、脱脂粉乳などがあります。
脱脂粉乳はスキムミルクのことです。
それでは牛乳などの材料の役割について解説していきましょう。
風味づけの効果
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牛乳や生クリームのもつ香りや味は、パンに風味づけをする役割を担っています。
そのため、パンそのものの味にも影響します。
焼き色がよくなる
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牛乳や生クリーム、脱脂粉乳などには、乳糖(ラクトース)という糖質や、乳タンパクが含まれています。
乳糖は酵母によって分解されにくく、生地のなかに残りやすいのです。
生地に残った乳糖は、加熱によってカラメル化し、クラムに焼き色をつけてくれます。
また、乳タンパク質は小麦粉中のデンプンと合わさり、加熱するとメイラード反応で褐色に色づきます。
この二つの作用により、牛乳や生クリームを入れると、入れていないときに比べて非常に焼き色がつきやすくなるのです。
食感を変える
牛乳や生クリームに含まれる乳脂肪分には、材料として使う油脂と同じくショートニング性があります。
そのため、サクサクとした食感に仕上がります。
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卵の役割
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つぎは、卵について紹介していきましょう。
卵は全卵で使うことが多いのですが、豊富な栄養を含むことから風味がよくなります。
また、コクがでるのも特徴です。
卵黄と卵白それぞれの役割を説明しましょう。
卵黄の役割
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卵黄には、乳化剤の役割を持つレシチンという物質が含まれています。
乳化とは、水と油のように本来混ざりにくいものが均一に混ざり合う現象のことです。
乳化したものは、しばらくすると元の別々の状態に戻ろうとします。
しかし、乳化剤の作用により、均一に混ざった状態を保持してくれるのです。
たとえば、マヨネーズには油と酢、卵が含まれています。
油と酢が分離することなく乳化した状態を保っているのは、卵のおかげなのです。
パンの場合、生地中の水分と油滴が卵のレシチンによって乳化され、滑らかになります。
滑らかになると生地の伸展性が増し、発酵時に膨らみやすくなったり、窯伸びしやすくなったりします。
また、卵黄に含まれるカロテンという色素が、クラストカラーを黄色よりに仕上げているのです。
卵白の役割
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卵白には起泡性という泡立ちのよさがあり、膨張しやすいのが特徴です。
さらに、卵白に含まれるタンパク質に熱凝固作用があるため、加熱により硬くなることでパンの骨格構造の補強をする効果があります。
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具の役割
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さいごに、具について紹介します。
パン生地の材料として使う具とは、フィリングなどの詰め物とは別で、生地のなかに混ぜ込むものです。
ドライフルーツやチョコチップ、ナッツなどさまざまなものがあります。
味つけと食感の役割
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具にはパンの味つけや食感の役割があります。
パンにさまざまなバリエーションを出してくれるのは、具のおかげとも言えるでしょう。
同じ生地を使っていても、混ぜ込む具の種類を変えればパンの印象も大きく変わります。
特にナッツ類には食感や風味をだす効果があります。
糖分の多い具には、ドライフルーツやチョコチップ、塩分の多い具には、チーズや桜海老、ベーコンなどがあります。
具のもつ糖分や塩分が、生地そのものに与える影響はあまりありません。
しかし、具の配合が多いと繋がっていたグルテンが切れやすくなり、発酵の妨げになってしまいます。
まとめ
今回は主材料と副材料の役割について解説しました。
パンは主材料のみでも作ることができますが、副材料の組み合わせでパンのバリエーションが大きく広がります。
日本では副材料を多く使ったパンが好まれていますが、その配合や品質にこだわりを出すベーカリーが増えています。
材料のもつそれぞれの役割を理解することで、理想のパンに近づくことができるでしょう。