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グレープモラセスとは?モラセスシロップとの違いは?パン作りでの役割を解説!

日本でも業務スーパーなどで見るようになったグレープモラセス。

モラセスという名がつくことから、モラセスシロップと似たものと想像できますが、一体どのようなものなのでしょうか?

ここでは、モラセスシロップとの違いや、グレープモラセスのパン作りでの役割について解説していきます。

目次

グレープモラセスとは

グレープモラセスとは、ぶどうを原料とした糖蜜のことで、ぶどうの果汁を煮詰めて作られています。

トルコやギリシャでは砂糖が高価で、ぶどうの果汁を煮詰めて作った糖蜜(グレープモラセス)を砂糖代わりにさまざまな料理に使用していました。

トルコでは伝統的に使われている糖蜜で、蜂蜜のようにヨーグルトにかけて食べたり、パン作りやお菓子作りに砂糖の代わりとして使用します。

色は黒く、黒蜜のようなコクがあるのが特徴です。

グレープモラセスの原材料はぶどうであるため、鉄分やビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。

砂糖と比べたグレープモラセスの利点

甘味料として定番の砂糖がありますが、砂糖と比べたグレープモラセスの利点は次のようなものがあります。

深い味わい

成分のほとんどがショ糖である砂糖は、非常に純度が高くショ糖以外の不純物が含まれていません。

一方、ぶどうが原材料であるグレープモラセスは、ぶどうを煮詰めて作っているのでさまざまな成分が含まれています。

砂糖と比べるとコクのある深い味わいが特徴です。

鉄分やビタミン、ミネラルが豊富

グレープモラセスはぶどうが原材料となっているため、砂糖に比べて鉄分やビタミン、ミネラルが豊富なのが特徴です。

栄養価の高さが人気となっています。

血糖値が上がりにくい

グレープモラセスは砂糖よりも、摂取後の血糖値が上がりにくいという特徴があります。

パン作りにおけるグレープモラセスの役割

グレープモラセスは一般的なパンに使われるものではありませんが、トルコなどの中東でよく使われています。

なかでも、シミットというゴマをまぶしたパンに使われているのが有名です。

シミットは焼成直前に、水で薄めたグレープモラセスにくぐらせ、ゴマをたっぷりまぶして焼きます。

グレープモラセスは、成形したパンとトッピングのゴマの接着の役割をしているのです。

表面に薄く塗ることで素朴で優しい甘さに仕上がります。

また、グレープモラセスを塗ることで、ほんのりと小麦色をした焼き色がつきやすくなります。

クラストがサクッと軽い食感に仕上がるのが特徴です。

パン作りにグレープモラセスを使う理由

パン作りではおもにゴマの接着目的やクラストに焼き色をつけたり、素朴なパンに優しい甘さを付けるのに使われています。

甘さは強くないので、風味付けにも一役買っています。

高価な砂糖の代わりに誕生したグレープモラセスですが、パン生地に混ぜるという使い方はあまりせず、パンを浸して焼くのに使われているのです。

そのため、パンを浸すのに適した液状のグレープモラセスは、現代でも砂糖に置き換わることなく伝統的なレシピとして受け継がれています。

モラセスシロップとは

モラセスシロップはサトウキビとテンサイから砂糖を精製する過程で出る廃糖蜜のことです。

ゴールデンシロップのように濃い茶色をしており、甘さは強くなく苦味があるのが特徴です。

純度の高い砂糖(ショ糖)を作る時に出る不純物なので、ビタミンやミネラルが豊富で深いコクがあります。

グレープモラセスとモラセスシロップの違い

グレープモラセスとモラセスシロップに共通する“モラセス”とは、日本語で糖蜜や廃糖蜜という意味です。

どちらも糖蜜であることを表しており、コクがありビタミンやミネラルが豊富です。

では、それぞれどのような違いがあるのでしょうか?

製法

グレープモラセスはふどうの果汁を煮詰めて作る糖蜜であり、モラセスシロップはサトウキビやテンサイから砂糖(ショ糖)を精製するときにでる廃糖蜜を、遠心分離して濃縮したものです。

グレープモラセスは黒蜜のような深い甘さがあります。

一方、モラセスシロップの甘さは控えめで苦味があるのが特徴です。

用途

グレープモラセスはヨーグルトやパンケーキのシロップとして使ったり、パンにゴマをつけるための接着剤の役割をしています。

モラセスシロップは、クラムに色をつけたり、独特の風味をつけるのに使われています。

グレープモラセスは他の材料の代用に使える?

グレープモラセスは砂糖や蜂蜜の代用としてパン作りに使うことができます。

蜂蜜を使った時のようにパンはしっとりと仕上がりますが、甘さは控えめで黒糖のような風味があります。

そのため、蜂蜜との味わいはやや異なります。

一方、グレープモラセスはモラセスシロップほど濃い色は出ず風味も強くありません。

そのため、パン生地に混ぜてクラムに色付けをしたり、独特な風味付けをするモラセスシロップの代用としては使えません。

しかしベーグルを茹でるケトリングの材料として、モラセスシロップの代わりに使うことができます。

モラセスシロップを使った時のように艶々と張りのある仕上がりになります。

グレープモラセスの代わりに使える材料は?

グレープモラセスはさまざまな材料に代用することができます。

モラセスシロップ

モラセスシロップはグレープモラセスと比べて甘さが強くなく、苦みや独特の風味があるため、そのままヨーグルトなどにかけて食べるのにはあまり向いていませんが、焼成前のパンに塗って焼き色をつけるのには向いています。

蜂蜜

グレープモラセスの甘さは蜂蜜ほど強くはありません。

代わりに蜂蜜を使う場合は甘さが強かったり、焼き色が濃く出てしまう可能性があります。

より薄めて使うなど量を調整する必要があります。

黒蜜

グレープモラセスに一番近いのが黒蜜ではないでしょうか?見た目や風味が似ているので、グレープモラセスの代用として使うことができます。

グレープモラセスを使うパン

グレープモラセスはコクや深い味わいを出したいときに使うのもおすすめなので、食パンやテーブルパンなど他のパンの材料として使うことができます。

いつものパンをグレープモラセスで作ってみると良いでしょう。

では最後に、材料としてグレープモラセスを使うパンを紹介します。

シミット

シミットとはトルコの伝統的なパンです。

棒状に細く伸ばした生地を2本重ね、ねじりながらドーナツのように輪になるように成形します。

焼く直前にグレープモラセスを薄めたシロップに浸し、ゴマをたっぷりまぶして焼き上げます。

別名ターキッシュベーグルというように、見た目はベーグルのよう。

カリッと焼かれたものは大きなプレッツェルのようにも見えます。

実はこのシミット、正確にはペクメズという糖蜜を使用しますがグレープモラセスでも作られます。

ペクメズは果物を煮詰めて作る糖蜜で、グレープモラセスのようにぶどうに限ったものではありません。

桑の実やプラムなどさまざまな果実で作るのが特徴です。

ただし、ペグメズはぶどうが主流で、グレープモラセスとペクメズは同じ意味で使われることもあるようです。

まとめ

コクが特徴のグレープモラセス。モラセスシロップよりはまだまだ珍しい食材ですが、日本でも業務スーパーや輸入食品店などで購入することができます。

グレープモラセスは、トルコの伝統的なパンであるシミットに使われています。

蜂蜜とは違った風味やコクが特徴で、グレープモラセスを使えば手軽に本場さながらのパンを作ることができます。

余ってもヨーグルトなどにかけて食べてもおいしいので、ぜひ手に入れて試してみてはいかがでしょうか?

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この記事を書いた人

医療技術系短大卒業後、バイオ系研究室テクニシャンなどを経て、現在はフリーランスのライターとして活動中です。
製パンスクールのプロコースを卒業した経歴を活かし、実践に役立つ製パン知識を、よりわかりやすく科学的にお伝えします。
食育アドバイザー、幼児食インストラクター資格保持。

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