カメリヤ、スーパーカメリヤ、カメリヤスペシャルの違いは?パン作りでどう使い分ける?
パン作りに使用する強力粉で、代表的なのがカメリヤ。
スーパーなどでも取り扱いがあるため、パン作り初心者の方も知っている方が多いかもしれません。
カメリヤと言っても、カメリヤ、スーパーカメリヤ、カメリヤスペシャルとさまざまな種類があるんですよ。
ここでは、それぞれの違いや使い分けについて紹介していきたいと思います。
小麦粉の選び方の基準
まずは小麦粉を選ぶさいに、選び方の基準となるポイントを知っておきましょう。
パンのボリューム(窯伸び)
パンのボリューム(窯伸びのしやすさ)は、小麦粉の種類で大きく変わります。
タンパク質含有量の多い小麦粉を選ぶと、窯伸びしやすくボリュームのあるパンに仕上がります。
山型食パンやフィリングの多いパンの場合は、タンパク質が13.5%以上含まれる最強力粉を選ぶと良いでしょう。
パンのもちもち食感
もちもちとした食感のパンは、日本人に特に人気のあるパンの特徴の一つです。
なかでも国産小麦粉は、繊維質が多いことから吸水しやすいため、もちもちとした食感に仕上がります。
国産小麦粉はタンパク質含有量も少ないため、膨らみにくく密度の詰まった生地に仕上がります。
よりもちもちとした食感が楽しめるでしょう。
小麦の風味や香り
小麦の風味や香りは、パンの美味しさの要と言っても過言ではありません。
灰分の多い小麦粉を選ぶと、小麦の風味や香りをより堪能できます。
灰分とは小麦の外皮に含まれるミネラルのことで、外皮を多く含む小麦粉ほど風味や香りが強くなるのです。
クラムの色の白さ
クラムの色が白いパンを作りたければ、灰分の少ない小麦粉が適しています。
灰分の少ない小麦粉は、外皮部分を多く取り除いており、より小麦の中心に近い部分を使っているので白くなりやすいのです。
甘み・うま味
小麦粉には、うま味の素となるグルタミン酸や甘みに影響を与えるデンプンが含まれています。
デンプンの甘みは、デンプンの量で決まるものではなく、デンプンがどれだけ分解されやすいかが関係しているため、タンパク質の量や灰分の量では判断できません。
一般的に甘みやうま味は、外国産小麦粉よりは国産小麦粉の方が、強力粉よりは準強力粉の方が強い傾向にあります。
小麦粉選びにおいて着目すべき成分
小麦粉選びにおいて着目すべき成分は、グルテン(タンパク質)と灰分です。
グルテン(タンパク質)
グルテンは、小麦粉に水を加えて捏ねることで、小麦タンパクであるグルテニンとグリアジンが複雑に絡みあってできるタンパク質です。
小麦粉は含まれるタンパク質の多いものから、強力粉、中力粉、薄力粉に分けられます。
パン作りに使われるのは強力粉で、薄力粉はほとんどグルテンを形成しません。
パン作りでは、グルテン膜が発生した炭酸ガスを包み込み、膨張してパンが窯伸びするのです。
そのため、タンパク質の多い強力粉ほど窯伸びしやすく、ボリュームのある仕上がりになります。
灰分
灰分とは、小麦の外皮(表皮)部分に含まれるミネラルのことです。
小麦粉は、小麦の外皮部分を取り除いてなかの胚乳部分を粉にしたものですが、胚乳のなかでも外皮に近い部分は灰分の割合が多くなります。
灰分が多い小麦粉は、風味が良いのが特徴です。
カメリヤの種類
冒頭でもお伝えしたように、カメリヤにはカメリヤ、スーパーカメリヤ、カメリヤスペシャルと種類があります。
それぞれの違いを見ていきましょう。
カメリヤ
カメリヤと名のつく強力粉のなかで、もっともスタンダードな強力粉が「カメリヤ」です。
カメリヤは日清製粉を代表する強力粉で、タンパク質は11.8%、灰分は0.37%含まれ、原産地はカナダ、アメリカとなっています。
一般的なスーパーに取り扱いがあり、初心者にも使いやすい強力粉として知られています。
ところで、カメリヤには業務用と家庭用があるのはご存じでしょうか?
業務用として販売されているのは、日清製粉が製造販売するカメリヤです。
一方、私たちがスーパーでよく目にする家庭用のカメリヤは、日清製粉のグループ会社である日清製粉ウェルナが製造販売する商品なのです。
業務用と家庭用は、実は中身が違うと言われているのですが、その違いについては残念ながら公表されていないためわかりませんでした。
日清製粉の公式ホームページでは、業務用カメリヤはパン用粉とパン作りに特化した強力粉であるのに対し、家庭用カメリヤはパン作りだけでなく、ピザや餃子作りにも使用できる汎用性の高い小麦粉として紹介されています。
どちらのカメリヤも、パン作りに使用した場合は風味や食感など、バランスのとれたパンに仕上がるのが特徴です。
スーパーカメリヤ
スーパーカメリヤは日清製粉が製造販売する業務用最高級強力粉。
タンパク質含有量は11.5%、灰分が0.33%とどちらもカメリヤと比べてやや少ないのが特徴です。
カメリヤよりも小麦の中心部分のみを使用しており、日清製粉が扱う強力粉のなかではもっとも灰分が少なく、白いクラムに仕上がります。
吸水性が高いため、きめが細かくくちどけの良いパンに仕上がり、窯伸びしやすいのが特徴です。
スーパーカメリヤは一般的なスーパーではほとんど取り扱いがなく、製菓・製パン材料店で購入することができます。
カメリヤスペシャル
カメリヤスペシャルは、日清製粉グループである日清製粉ウェルナで製造販売されている強力粉。
カメリヤよりもふんわりした食感と、くちどけの良さ、甘みが強いのが特徴です。
商品パッケージには特選というマークが付けられており、カメリヤよりも高級品の扱いで価格もやや高めです。
スーパーカメリヤとの比較ですが、スーパーカメリヤは業務用の商品であるのに対し、カメリヤスペシャルは一般消費者向けの商品。
クラムの白いパンに仕上がるなど、スーパーカメリヤと非常に似た小麦粉ですが、厳密には中身がまったく同じというわけではないようです。
しかし、明確な違いについては公表されていません。
基本的にはスーパーカメリヤと同じような商品であると考えて良いでしょう。
カメリヤの使い分け
カメリヤにはさまざまな種類があるため、作るパンの種類や仕上がり、作り手の熟練度などに合わせて使い分けると良いでしょう。
パンの種類
食パン
食パンには、窯伸びしやすいスーパーカメリヤまたはカメリヤスペシャルがおすすめです。
きめが細かくふんわりとした食感に仕上がります。
フランスパン
カメリヤはクラストが香ばしく仕上がるため、クラストを楽しむフランスパンに向いています。
また、フランスパンは大きな気泡が特徴のパン。
スーパーカメリヤやカメリヤスペシャルはきめの細かいクラムに仕上がるので、あまりフランスパン向きとは言えません。
リーン
リーンなパンとは、副材料の入らないシンプルな材料で作るパンのことです。
灰分が多い小麦粉を選ぶと風味の良いパンに仕上がります。
カメリヤの種類のなかでは一番灰分の多い「カメリヤ」を選ぶと良いでしょう。
リッチ
スーパーカメリヤやカメリヤスペシャルは、灰分が少ないので風味は弱く、副材料の味が引き立ちます。
ハード
スーパーカメリヤやカメリヤスペシャルはふんわりと柔らかい食感に仕上がるため、ハード系のパンにはあまり向いていません。
ハード系のパンには、食感のバランスが良いカメリヤを使うと良いでしょう。
ソフト
ソフトなパンには、スーパーカメリヤやカメリヤスペシャルがおすすめです。
ふんわりと柔らかい食感に仕上がります。
パンの仕上がり
クラムが白いパン
カメリヤも強力粉のなかでは、比較的クラムの白いパンに仕上がる方ですが、スーパーカメリヤやカメリヤスペシャルは、カメリヤよりも小麦の中心部分のみ使用した強力粉です。
さらに白く仕上がるため、より白いクラムにしたければ、スーパーカメリヤかカメリヤスペシャルを使うと良いでしょう。
パン作りをする人の熟練度
初心者向け(家庭向け)
カメリヤ、スーパーカメリヤ、カメリヤスペシャル、どれをとっても扱いやすく初心者にもおすすめの強力粉ですが、なかでもカメリヤはほとんどの大手スーパーで取り扱いがあり、気軽に手に入ります。
パン作りだけでなく、ピザや餃子などにも使えるので、パン作りが続くかわからないという方や、パンを頻繁には作らないという方はカメリヤがおすすめです。
パン屋さん向け
パン屋さんで使用するには、カメリヤよりも高級強力粉に位置付けられる業務用のスーパーカメリヤがおすすめです。
パン作りに慣れた一般の方向け
パン作りに慣れた一般の方は、もちろん製パン材料専門店でスーパーカメリヤを買うのも良いのですが、スーパーで取り扱いのあるカメリヤスペシャルでも、スーパーカメリヤに引けをとらないパンが気軽に作れます。
日清製粉のパン専用小麦粉
日清製粉のグループ会社である日清製粉ウェルナには、カメリヤ、カメリヤスペシャルのほかにパン専用小麦粉という名称で販売されている強力粉があります。
パン専用小麦粉は、もともとパン屋さん向けに作られた高級強力粉。
それを家庭向けに小分け販売したものです。
家庭向けのため灰分の量は表示されていませんが、おもな原産地はカナダ、タンパク質の量は13%とカメリヤよりも高いのが特徴です。
ボリュームがあり、ソフトでありながらもちもちとした食感に仕上がります。
豊かな味わいで、より本格的なパンを作りたい方におすすめの強力粉です。
まとめ
今回はカメリヤ、スーパーカメリヤ、カメリヤスペシャルの違いについて紹介しました。
カメリヤは非常にバランスのとれた強力粉で、オールマイティに使用することができます。
初めてパンを作る方や、一つの粉でいろんなパンを作ってみたい方におすすめです。
スーパーカメリヤとカメリヤスペシャルは、業務用と家庭用の違いで、厳密には中身がまったく同じではないものの、基本的には似たパンに仕上がります。
カメリヤよりもクラムが白く、柔らかい食感に仕上がります。
カメリヤはどの種類も作業性が良く扱いやすいので、とてもおすすめの強力粉ですよ。