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ゴールデンシロップとは?モラセスシロップとの違いは?パン作りでの役割を解説!

蜂蜜に似た甘さと優しい風味が特徴のゴールデンシロップ。

イギリスの伝統的な糖蜜ですが、パン作りに使われることが多いモラセスシロップとはどう違うのでしょうか?

ここでは、ゴールデンシロップのパン作りでの役割について解説していきたいと思います。

目次

ゴールデンシロップとは

ゴールデンシロップとは、サトウキビやテンサイを原料とした砂糖を作る過程でできる廃糖蜜を、口当たりの良いシロップに調整した転化糖です。

蜂蜜に似た透明感のある濃い琥珀色をしており、とろみのある液状をしています。

最初に作られたのは1881年頃。その後、1885年にイギリスの製糖メーカーであるテート&ライト社により製造販売されました。

テート&ライト社は日本にも支社があり、ゴールデンシロップは看板商品となっています。

イギリスでは良く使われる糖蜜で、蜂蜜と同じようにパンケーキやパン、ワッフルにかけて食べたり、焼き菓子などの材料として使われています。

砂糖と比べたゴールデンシロップの利点

どちらも同じ甘味料である砂糖とゴールデンシロップ。

砂糖と比べてゴールデンシロップにはどのような利点があるのでしょうか?

しっとり仕上がる

そのほとんどがショ糖である砂糖に対し、ゴールデンシロップはショ糖の他にブドウ糖や果糖の混合物である転化糖が含まれています。

ショ糖はブドウ糖と果糖が“結合”したものですが、転化糖はブドウ糖と果糖の“混合物”。

結合しているか混合しているかで、実は性質が変わるのです。

ブドウ糖と果糖の混合物である転化糖は、保水作用が高いのが特徴。

そのため、ゴールデンシロップを使った生地は、砂糖よりもしっとり仕上がります。

甘さを感じやすい

ショ糖に比べて、転化糖は甘さが強いのが特徴です。

これは果糖の影響によるものですが、甘さを感じやすい分、甘味料としての摂取量を控えることができます。

パン作りにおけるゴールデンシロップの役割

パン作りというよりは、お菓子作りに使うことの多いゴールデンシロップ。

クセが強くないので、味の主張があまりなく優しい風味がパンやお菓子を引き立てます。

パンの材料としてゴールデンシロップを使うことはあまり一般的ではありませんが、蜂蜜と同じように使うことができます。

砂糖を使用したときよりもクラストは色がつきやすく、高い保水作用によりクラムはしっとり仕上がります。

基本的には、蜂蜜やメープルシロップのようにトッピングとして楽しまれているゴールデンシロップ。

パンとゴールデンシロップの関係性で言うと、パンにはトッピングとしてかけて食べることが多いでしょう。

パン作りにゴールデンシロップを使う理由

もともと、高価な砂糖の代わりに、砂糖の製造過程で出る廃糖蜜を活用するようになったのがゴールデンシロップの始まりです。

今でこそ砂糖は安く手に入る食材ですが、ゴールデンシロップが誕生したころは、まだまだ高価な食材の一つ。

ゴールデンシロップは、特定のパン作りに使われるシロップというわけではありませんが、イギリスでは伝統的なプディングにゴールデンシロップが使われています。

蜂蜜やメープルシロップよりも安価でクセのないゴールデンシロップは、液状の糖蜜としてプディング生地に塗って巻いて焼いたり、容器の底に入れて生地を流し入れ焼き上げたりして、シロップの染みた菓子を楽しんでいます。

このように、ゴールデンシロップの使い方は液状であることを活かしたものが多く、あえてパンの材料として使うことはほとんどないのです。

もちろん、パンの材料として使っても問題はありません。

もしパン作りにゴールデンシロップを使った場合は、転化糖が多いためクラストは色付きやすく、保水効果が高いのでしっとり仕上がるのが特徴です。

モラセスシロップとは

モラセスシロップは、サトウキビやテンサイから砂糖を作る時に出る副産物のシロップのことです。

純度の高い砂糖(ショ糖)を精製するときにでる不純物であるため、廃糖蜜などと呼ばれています。

非常に濃い茶色をした粘性のある液体で、風味が強く独特のクセがありますが、栄養価が高いのが特徴です。

モラセスシロップはパン作りでしばしば使われており、パンのクラストに焼き色を付けたり、艶を出すほか、クラムの色付けにも使われています。

また、黒蜜のようにコクがあるのが特徴です。

ゴールデンシロップとモラセスシロップの違い

ゴールデンシロップもモラセスシロップも、どちらも砂糖を作る過程でできる糖蜜です。

砂糖を作るときに廃棄される部分で作ったという点は共通しています。

では、ゴールデンシロップとモラセスシロップは何が違うのでしょうか?ここからはゴールデンシロップがモラセスシロップと違う部分を紹介します。

製法

ゴールデンシロップは砂糖を精製したときに出る廃糖蜜を酸で処理し、転化糖にして食べやすく調整したもの。

一方、モラセスシロップは、砂糖を精製したときに出る廃糖蜜を遠心分離して濃縮したものです。

ゴールデンシロップは、透明感のある濃い琥珀色をしており、見た目は蜂蜜やメープルシロップに似ています。

モラセスシロップは黒色に近い濃い茶色をしており、黒蜜のような見た目をしています。

モラセスシロップはショ糖が35%、転化糖が20%含まれ、ミネラルが10%含まれています。

ゴールデンシロップの成分比率は公表されていないようですが、商品ボトルの原材料には転化糖、糖蜜と書かれていますので、転化糖の割合が多いということはわかります。

ゴールデンシロップは甘さが強くクセのない味、モラセスシロップは甘さが弱く苦味と独特の風味があるのが特徴です。

用途

ゴールデンシロップはトッピングとして使ったり、お菓子の材料として使われています。

モラセスシロップはパン生地に混ぜ込んで焼き、生地に色付けしたり風味付けすることが多いです。

健康面

モラセスシロップと比べると純度の高いゴールデンシロップは、甘さが強く雑味などはほとんどありません。

一方、モラセスシロップは不純物が多いのですが、その分ビタミンやミネラルが豊富に含まれています。

ゴールデンシロップは他の材料の代用に使える?

ゴールデンシロップは、蜂蜜に似た風味と強い甘さがあります。

そのため、蜂蜜の代用として使いやすいシロップです。

また、もともとは砂糖の代用として誕生したため、砂糖の代わりに使うのもおすすめです。

蜂蜜は砂糖の1.3倍ほど甘さが強く、水分が20%ほど含まれているので、砂糖を使うレシピから置き換える場合は、蜂蜜の量を調整したりパンの材料から水分を20%減らす必要があります。

ゴールデンシロップも砂糖の代用として使用する場合は、蜂蜜の場合と同じように量を減らしたり水分を減らすと良いでしょう。

焼き色はやや付きやすくなり、クラムはしっとり仕上がります。

一方で、クラムに色をつけたり、独特の風味をつける目的で使われるモラセスシロップの代用としてはあまり向いていません。

ゴールデンシロップの代わりに使える材料は?

ゴールデンシロップは、蜂蜜に非常に似た糖蜜であるため、蜂蜜やメープルシロップで代用することができます。

また、ゴールデンシロップは砂糖、水、レモンで手作りすることもできるんです。

ゴールデンシロップはトッピングとして使うことが多く、お菓子の材料として使う場合も、生地に混ぜ込むというよりは、塗って巻いたり、生地に浸した状態で焼くという使い方が一般的です。

顆粒状の砂糖よりは、液状でクセが強くない蜂蜜やメープルシロップを代わりに使うのが良いでしょう。

しかし、蜂蜜はボツリヌス菌が含まれている可能性があるため、1歳未満の乳児には与えてはいけません。

乳児が食べる物には使わないようにしましょう。

ゴールデンシロップを使うパン

前述のように、ゴールデンシロップは、特定のパンの材料として使われているわけではありません。

パンケーキやワッフル、スコーンなどのトッピングとして使用するのが一般的です。

一方、お菓子作りにはしばしば材料として使われることがあり、イギリスの伝統的なプディングには欠かせません。

ここではゴールデンシロップが材料に使われるイギリスの伝統菓子を紹介します。

スチームド・シロップ・スポンジ・プディング

あらかじめゴールデンシロップを入れた型に、パウンドケーキの生地を流し入れ、蓋をして蒸したものです。

型は半分ほど湯に浸かり、茹でるのに近い状態で蒸しあげます。

パウンドケーキの濃厚な生地とゴールデンシロップの甘さが合わさり、リッチな味わいに。

さらに、スチームの力で非常にしっとりと仕上がります。

トリークル・ローリーポーリー

イギリスにはスポテッド・ディックというとても有名な伝統菓子があります。

スポテッド・ディックはスエットと呼ばれる牛のケンネ脂を生地に練りこんで、レーズンなどのドライフルーツを加えて平らに伸ばし、ロール状に巻いてプディングクロスという布で包んで茹でたプディングです。

切り分けてカスタードソースなどを添えて食べます。

イギリスではこのスポテッド・ディックをもとにさまざまなプディングが誕生し、その一つにトリークル・ローリーポーリーがあります。

トリークル・ローリーポーリーは、スポテッド・ディックのドライフルーツがゴールデンシロップに変わったもの。

ゴールデンシロップは生地には練りこまず、平らに伸ばした生地にたっぷり塗ってロール状に巻きます。

仕上げの工程も少し独特で、大きなグラタン皿のような器に成形した生地を入れたら、生地が半分浸かるほどの牛乳を入れるのです。

そのままオーブンで焼き色がつくまで焼いたら完成です。牛乳は少し煮詰まってキャラメル色をしたソースのように仕上がります。

イギリスのプディングは、スエットが重く感じられますが生地そのものは素朴な味。

濃厚なソースと一緒に食べるのが一般的なのです。

フラップジャック

小さいパンケーキを意味するフラップジャックですが、ザクザク食感のクッキーのようなもの。

オーツ麦を主原料とし、バターや砂糖、ゴールデンシロップを混ぜて焼き上げます。

プディングと比べるとあまり重くない軽い食感のお菓子です。

まとめ

ゴールデンシロップは、イギリスの伝統菓子では欠かせない定番のシロップです。

私たちが蜂蜜やメープルシロップを使うのと同じように、イギリスの人にとっては馴染みのあるシロップなのです。

モラセスシロップのようにパンの材料に使うというよりは、トッピングやプディングの材料として使うのが一般的。

甘さが強くクセのない味はどこか懐かしく、日本人にも使いやすいのが特徴です。

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この記事を書いた人

医療技術系短大卒業後、バイオ系研究室テクニシャンなどを経て、現在はフリーランスのライターとして活動中です。
製パンスクールのプロコースを卒業した経歴を活かし、実践に役立つ製パン知識を、よりわかりやすく科学的にお伝えします。
食育アドバイザー、幼児食インストラクター資格保持。

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