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グルテン配合米粉はレシピの小麦粉を置き換えるだけで作れる?使い方のポイントを解説!

米粉にはたくさんの種類があり、製パン用米粉として販売されているものには、グルテンが配合されているものがあります。

グルテンを配合することで、米粉の弱点を補い、小麦粉で作るパンに近い仕上がりにすることができるのです。

基本的には、小麦粉で作るレシピをそのままグルテン配合米粉に置き換えて作ることができます。

しかし、米粉は品種や粉砕方法によって品質に差があり、使う米粉によっては思うような仕上がりとは違うことがあります。

そのため、水分量を調整するなど使い方には少し工夫が必要です。

目次

製パンにおける米粉と小麦粉の違い

調理をする際、その目的に応じて食用粉を変える必要があり、パンを作る場合には小麦粉(なかでも強力粉)が使われています。

米粉はパンを作るのに適した粉ではないのです。

グルテンの有無

まず、米粉と小麦粉の大きな違いは、グルテンの有無です。

小麦粉にはグリアジンとグルテニンというたんぱく質が含まれており、水を加えて捏ねることでグルテンを形成します。

しかし、米粉にグリアジンやグルテニンは含まれておらず、グルテンを形成しません。

吸水率の違い

米粉にも小麦粉にもデンプンが含まれていますが、米粉のデンプンは小麦粉のデンプンとは構造が異なり、吸水率が高いのが特徴です。

水分をたくさん含んだパンは、お餅のような食感になります。

米粉にグルテンを配合する理由

小麦粉にはグルテニンとグリアジンというたんぱく質が含まれており、水を加えて捏ねることで粘着性と弾力性のあるグルテンを形成します。

グルテンは複雑に絡み合って網目構造となり、発酵によって発生する炭酸ガスを保持し、生地は膨張してボリュームのあるパンに仕上がります。

しかし、米粉にはグルテニンもグリアジンも含まれておらず、グルテンを形成しません。

米粉だけでパンを作るのは難しく、ボリュームのあるパンに仕上がるよう、米粉にグルテンを配合するのです。

グルテン配合米粉は小麦粉と同じように扱える?

グルテン配合の米粉は、基本的には小麦粉と同じように扱うことができます。

米粉を使ったパンは研究によって日々進化しており、製パンに適した米粉の品種の登場もあって、小麦粉で作るパンに近いものを作ることができるようになりました。

ただし、完全に同じように使えるのかというと、そういうわけではありません。

米粉は製品によって品質にかなり大きな差があるためです。

米粉は、米の品種や粉砕方法によって吸水率などが変わります。

もともと製パンに向いた小麦粉と同じように使用しても、発酵が上手くいかないことがあったり、ボリュームがなく硬い仕上がりになったり、きめの粗いパンに仕上がることがあるのです。

グルテン配合米粉の使い方のポイント

グルテン配合米粉は、グルテンを配合することでパン生地が非常に膨らみやすくなり、米粉100%では難しい米粉パンも簡単に作れるようにできています。

しかし、グルテンを配合してあるだけで、小麦粉とはそもそも違う原材料です。

小麦で作るパンとは違うものとして、少し注意するポイントがあります。

水分量

米粉は製品によって吸水率に違いがあるため、使用する水の量には注意が必要です。

米のデンプンは小麦よりも硬く、一般的に損傷デンプンが多いです。

損傷デンプンはデンプンがα化するまえに吸水する性質があり、より多くの水分が必要になります。

製パン用に販売されている米粉は、基本的には損傷デンプンの少ないものですが、水分は多少調整する必要があることを頭に入れておいた方がいいでしょう。

ミキシング

グルテン配合米粉にはグルテンを配合してありますが、米粉に混ぜてあるため、通常の小麦粉を使ったパン生地と比べるとやや生地が繋がりにくいです。

手ごねをする場合はやや強めに捏ねると良いでしょう。

発酵

米粉を使用したパンでは、基本的に一次発酵の必要はありません。

米粉は吸水率が高いものの、グルテンの繋がりは弱いため自由水が多いです。

発酵に時間をかけてしまうと、その分グルテンは切れやすくなり、生地の水分が外に出てベタベタになりやすくなります。

小麦粉のレシピをグルテン配合米粉に置き換えてみる

前述のとおり、基本的にはグルテン配合の米粉は小麦粉のレシピと同じように使うことができます。

例えば、次のレシピを例にみていきましょう。

基本の丸パン(6個分)

材料分量
小麦粉250g
砂糖20g
油脂20g
3g
180g

小麦粉250g → グルテン配合米粉250gに置き換えればいいです。

ほかの材料や作業工程で、変更すべき点を見ていきましょう。

水分量

製パン用米粉は、基本的には損傷デンプンの少ない米粉を使用している場合が多く、グルテンが配合されていれば小麦粉を使ったレシピをそのまま使用することができます。

ただし、米粉は品種や粉砕方法によって吸水率に違いがあるため、製品によっては水分の量を調整する必要がある場合もあります。

そこで、水の量はまずは5gほど少なめに加えてみて、様子を見ながら少しずつ増やしていくようにしましょう。

±5gで調整すると良いでしょう。

ミキシング

米粉にグルテンを加えた状態なので、小麦粉と比べて少しグルテンが繋がりにくいです。

手ごねの場合は強めに捏ねてしっかりグルテンを繋げる必要があります。

捏ね上げ終了のタイミングは、グルテン膜ができているかを確認して判断しましょう。

発酵時間の変更

次に、発酵時間についてです。

これは米粉100%の場合にも言えることですが、グルテン配合米粉を使用する場合は一次発酵をとる必要はありません

ミキシング後は素早く分割してベンチタイムをとり、成形して最終発酵を取りましょう。

グルテン配合米粉を使う意義とは

近年ではアレルギーやダイエットなどの観点から、グルテンフリーの食品を選ぶ方も増えてきました。

米粉そのものにはグルテンが含まれていないため、グルテンフリーの食品を選ぶ方にとって、米粉パンはとても重宝する食べ物です。

しかし、グルテン配合米粉は、小麦グルテンが含まれているため、小麦アレルギーの方などは食べることができません。

それだけみるとグルテン配合米粉はあまり需要がないようにも思えますが、グルテンフリーでなくても使用する意義はあります。

お米の甘みを感じることができる

小麦粉には“小麦の風味”というものがありますが、米粉にはほとんど風味というものは感じられません。

しかし、お米特有の甘みを感じることができます。お米は噛めば噛むほどデンプンが糖へと変わり甘みを感じるためです。

さまざまなおかずとの相性が良い

米粉そのものには味はなく、できるパンも淡白です。

パン単体で味わうと物足りなさを感じるかもしれませんが、その分どんなおかずとも合わせやすく、日常的に食べるパンとして向いています。

時間を短縮することができる

米粉のパンは一般的に一次発酵の必要がなく、小麦粉で作るパンと比べて時間を短縮することができます。

国際情勢の影響を受けにくい

国内で消費される小麦粉は、その9割を輸入に頼っています。

昨今の国際情勢の影響で、小麦粉の価格は上昇したり、輸出を規制した国もありました。

小麦粉が手に入りにくい状況になると、製パン業界では死活問題です。

一方、日本は米の自給率が100%であることから、米粉は非常に手に入れやすいです。

もちろん天候などの影響で米が不作となり、米粉が手に入りにくくなる状況は考えられますが、国際情勢の影響を受けにくく価格も安定しています。

米粉はグルテンフリー以外の観点でも、いま注目されている食品なのです。

米の消費に繋がる

米の消費量は、昭和37年度の118kgをピークに、令和2年度では約半分の50.8kgにまで減っています。

反対にパンを食べる方は増えており、平成26年以降のパンの支出金額は米の支出金額を上回っているのです。

米粉をパンにして食べることで、米の消費拡大が期待できます。

まとめ

グルテン配合米粉は、基本的には小麦粉を使ったレシピをそのまま置き換えることで使用することができます。

しかし、米粉は品種や粉砕方法によって品質に差があるため、使う米粉によっては同じように使えないこともあります。

まずはそのまま置き換えて使用してみて、水分量や発酵時間などを少しずつ改善していく必要があるでしょう。

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この記事を書いた人

医療技術系短大卒業後、バイオ系研究室テクニシャンなどを経て、現在はフリーランスのライターとして活動中です。
製パンスクールのプロコースを卒業した経歴を活かし、実践に役立つ製パン知識を、よりわかりやすく科学的にお伝えします。
食育アドバイザー、幼児食インストラクター資格保持。

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