生イーストとドライイーストを置き換える換算・計算方法を解説!
生イーストやドライイースト、イーストにはさまざまな種類がありますがレシピによって置き換え方法を知っておくと、さまざまなレシピに対応することができます。
さらに、イーストは種類によって使い勝手や仕上がりの違いもあるので、うまく使い分けることで自分好みのパンに仕上げることができますよ。
ここではイーストの種類を置き換える換算方法について解説していきたいと思います。
イーストの種類
パンを発酵させるのに欠かせないイースト。
イーストの種類にはつぎのようなものがあります。
生イーストとは
生イーストは、酵母を培養し、水洗いした後に脱水機にかけて型に入れて固めたものです。
固形状で粘土のような見た目が特徴です。
使う時には5~6倍の水で溶かすなど手間はかかりますが、イースト臭がしないため、パン屋さんや大手製パン業者など、多くのプロに使われています。
冷蔵庫で2週間程度しか保存ができないため、毎日大量にパンを作るパン屋さんなどには向きますが、家庭ではあまり使われていないのが現状です。
ドライイーストとは
生イーストの保存性を高めるために、酵母を低温長時間で乾燥させて作られたものがドライイーストです。
今ではより扱いやすいインスタント・ドライイーストが誕生したため、ドライイーストは見かけることが少なくなりました。
使うときは予備発酵が必要で、38℃のぬるま湯に砂糖とドライイーストを溶かし、泡が立って発酵し始めたのを確認して使います。
予備発酵に使うぬるま湯は、生地の分量の水から一部を取って使用しましょう。
ドライイーストは、後述するインスタント・ドライイーストと比べて発酵力は劣るものの、事前に発酵させてから使うため、立ち上がりが早いのが特徴です。
ドライイーストは熱処理の工程で一部の酵母が死滅してしまうため、イースト臭を出す原因となります。
死滅した酵母の細胞からは、グルタチオンという物質が出るのですが、このグルタチオンが生地を柔らかくしたり甘みを持たせてくれるため、コアなファンが多いもの特徴です。
インスタント・ドライイーストとは
家庭のパン作りでもっとも多く使われているのが、インスタント・ドライイーストです。
予備発酵も不要で、そのまま材料に混ぜて使うことができます。
発酵力が強く失敗しにくいので、初心者の方にも使いやすいイーストです。
インスタント・ドライイーストには通常タイプのものと耐糖性のものがあります。
通常タイプのインスタント・ドライイーストは、糖分が10%以内で使用するようにし、耐糖性のインスタント・ドライ―ストは糖分が5~25%の生地に対応しています。
セミドライイーストとは
生イーストとインスタント・ドライイーストの中間のような性質を持つのがセミドライイーストです。
生イーストのようにイースト臭が少なく、インスタント・ドライイーストの使い勝手の良さを持っています。
セミドライイーストにはインスタント・ドライイーストと同じ分量で使用することができ、種類も通常タイプと耐糖性タイプのものがあります。
通常タイプのセミドライイーストは糖分が5%以内、耐糖性のセミドライイーストは糖分が5~25%の生地に対応しています。
ただし注意しなければならないのは、セミドライイーストは冷凍保存ということ。
室温に出したときに水分が出やすいため、ホームベーカリーの自動投入口にセットしておくことはできません。
生イーストを置き換える
ここからは、それぞれのイーストを違う種類のイーストに置き換える場合の、計算方法を紹介していきたいと思います。
まずは生イーストをほかのイーストに置き換える方法です。
生イーストからドライイーストに置き換える
生イーストをドライイーストに置き換える場合は、生イースト1に対してドライイーストは0.5の比率になるように置き換えます。
生イーストを15g使うレシピの場合について計算してみましょう。
置き換えるドライイーストの分量は
つまり7.5gのセミドライイーストに置き換えることができます。
ドライイーストは予備発酵が必要なので、分量の一部の水を使って予備発酵をおこないます。
7.5gのセミドライイーストでは、分量から60mlの水をとって予備発酵をおこなうとよいでしょう。
生イーストからインスタント・ドライイーストに置き換える
生イーストをインスタント・ドライイーストに置き換える場合は、生イースト1に対してドライイーストは0.35の比率になるように置き換えます。
生イーストを15g使うレシピの場合、置き換えるインスタント・ドライイーストの分量は
5.25gのインスタント・ドライイーストに置き換えることができます。
生イーストからセミドライイーストに置き換える
生イーストをセミドライイーストに置き換える場合は、生イースト1に対してセミドライイーストは0.35の比率になるようにします。
計算方法はインスタント・ドライイーストと同じです。
生イースト15gのレシピの場合、置き換えるセミドライイーストの分量は
5.25gのセミドライイーストに置き換えることができます。
ドライイーストを置き換える
次は、ドライイーストをほかのイーストに置き換える方法を紹介しましょう。
ドライイーストは日本ではあまり手に入りにくいのですが、海外ではスーパーなどでもよく売られているイーストです。
そのため、海外のレシピではドライイーストを使っていることも多いです。
ドライイーストから生イーストに置き換える
ドライイーストから生イーストに置き換える場合は、2倍の分量の生イーストを加えます。
ドライイースト7.5gの場合の生イーストへの換算方法は、つぎの計算で導き出すことができます。
15gの生イーストに置き換えることができます。
ドライイーストからインスタント・ドライイーストに置き換える
ドライイーストからインスタント・ドライイーストに置き換える場合、イーストの発酵力が強くなるため、イーストの量を減らす必要があります。
ドライイーストのレシピに対して0.7の比率になるように置き換えると良いでしょう。
ドライイーストが7.5gのレシピの場合、インスタント・ドライイーストは次の計算方法で導き出すことができます。
5.25gのインスタント・ドライイーストに置き換えることができます。
ドライイーストからセミドライイーストに置き換える
ドライイーストをセミドライイーストに置き換える場合は、インスタント・ドライイーストと同様、0.7の比率になるように置き換えます。
ドライイーストが7.5gのレシピの場合は、セミドライイーストは次の計算方法で導き出すことができます。
5.25gのインスタント・ドライ―ストに置き換えることができます。
インスタント・ドライイーストを置き換える
次に、インスタント・ドライイーストをほかのイーストに置き換える方法です。
一般的なレシピではインスタント・ドライイーストを使用するものが多いため、この置き換えを理解しておくと、お好みのイーストで作ることができますよ。
インスタント・ドライイーストから生イーストに置き換える
インスタント・ドライイーストから生イーストに置き換える場合は、インスタント・ドライイーストの分量に0.35を割ることで導き出すことができます。
インスタント・ドライイーストが5.25gの場合、生イーストに置き換える計算方法は
15gの生イーストに置き換えることができます。
インスタント・ドライイーストからドライイーストに置き換える
インスタント・ドライイーストからドライイーストに置き換える場合は、イーストの発酵力が弱いため、多く使用する必要があります。
インスタント・ドライイーストの分量に0.7を割って計算すると導き出すことができます。
インスタント・ドライイーストが5.25gの場合
7.5gのドライイーストに置き換えることができます。
インスタント・ドライイーストからセミドライイーストに置き換える
インスタント・ドライイーストとセミドライイーストは、置き換えても同じ分量で使用することができます。
セミドライイーストを置き換える
さいごに紹介するのは、セミドライイーストをほかのイーストに置き換える方法です。
セミドライイーストから生イーストに置き換える
セミドライイーストから生イーストに置き換える場合は、0.35を割ることで導き出すことができます。
セミドライイーストが5.25gの場合
15gの生イーストに置き換えることができます。
セミドライイーストからドライイーストに置き換える
セミドライイーストからドライイーストに置き換える場合、セミドライイーストの分量に0.7を割って導き出すことができます。
セミドライイーストが5.25gの場合
7.5gに置き換えることができます。
セミドライイーストからインスタント・ドライイーストに置き換える
セミドライイーストをインスタント・ドライイーストに置き換える場合は、同じ分量で使用することができます。
まとめ
イーストの置き換えは、それぞれの比率を覚えておけば簡単に導き出すことができます。
ドライイーストは予備発酵のために材料の一部から水をとりわける必要がありますが、置き換えにおいては水の量を変える必要はありません。
下の表は、生イーストを1としたときの比率を表しています。
比率を覚えてさまざまなレシピにチャレンジしてみましょう。
イーストの種類 | 比率 |
---|---|
生イースト | 1 |
ドライイースト | 0.5 |
インスタント・ドライイースト | 0.35 |
セミドライイースト | 0.35 |