牛乳とスキムミルクの換算は?全粉乳と脱脂粉乳の計算方法の違いも解説!
パンの焼き色を良くしたり、味や風味をつけたりと、乳製品はパンの品質を向上させるのに使われる材料のひとつです。
牛乳が残っているからスキムミルクを牛乳に置き換えたい、牛乳がないので水に置き換えたいなど、パンに使われる乳製品をほかの材料に置き換えたいと思うことは、誰しも一度はあるのではないでしょうか?
今回は、牛乳からスキムミルクへの換算だけでなく、水や全粉乳に置き換える場合の計算方法も解説していきたいと思います。
スキムミルク(脱脂粉乳)とは
スキムミルクは生乳や牛乳、特別牛乳などから乳脂肪分を取り除き、さらに濃縮して水分を除去したものです。
そのため粉乳の一種に分類され、脂肪分を取り除いていることから「脱脂粉乳」とも呼ばれています。
乳及び乳製品の成分規格等に関する省令では、下記のように定義されています。
「脱脂粉乳」とは、生乳、牛乳、特別牛乳又は生水牛乳の乳脂肪分を除去したものからほとんど全ての水分を除去し、粉末状にしたものをいう。
乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(◆昭和26年12月27日厚生省令第52号) (mhlw.go.jp
濃縮された粉末状であることから、牛乳よりも保存性が高く安価に手に入れることができます。
全粉乳とは
全粉乳とは、生乳や牛乳、特別牛乳などを濃縮し水分を取り除いたものです。
全粉乳も粉乳の一つとして分類されています。
乳及び乳製品の成分規格等に関する省令で、下記のように定義されています。
「全粉乳」とは、生乳、牛乳、特別牛乳又は生水牛乳からほとんど全ての水分を除去し、粉末状にしたものをいう。
乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(◆昭和26年12月27日厚生省令第52号) (mhlw.go.jp
スキムミルクと違って乳脂肪分を含むため、保存中に酸化しやすく、スキムミルクほど保存性は高くありません。
牛乳と水の換算
まずは牛乳と水の換算について解説していきたいと思います。
はじめにお話しておきたいのは、パンの材料はベーカーズパーセントの観点からも、粉の単位に合わせて液体も重量(g)で量るのが基本だということです。
レシピによっては体積の単位であるmlで書かれているものもあるのですが、水と牛乳の比重は違うため、同じ100mlの液体であっても、重さを量ると牛乳の方がやや重くなります。
比重は水を基本物質としており、温度変化で多少の変動はあるものの、水の比重は1となります。
一方、牛乳の比重は約1.02です。つまり、水100mlは100gですが、牛乳100mlだと重さは102gとなるのです。
1.02倍ほどの差なので、レシピがmlで表記されているとしても、家庭で作るパンであればさほど気にしなくても良いかもしれません。
そもそも、計量カップの目盛り自体が正確ではなく、商品によって誤差があるためです。
ただし、本格的なパンのレシピでは、ほとんどg表記されています。基本的にはgで考えるようにしておくのが良いでしょう。
牛乳と水の比率
材料に牛乳を使う場合と、水を使う場合の加える分量は、比率として比較すると牛乳:水=1:0.9となります。
水は、牛乳を使う場合の90%の分量で良いということです。
牛乳の成分は、水分が約90%、固形成分が約10%で構成されています。
牛乳を水に換算する場合は、牛乳に含まれている水分の部分を水に変えて材料に加えます。
牛乳を水に置き換える計算方法
それでは、牛乳を水に置き換える場合について見ていきましょう。
牛乳を水に置き換える場合は、次のような計算式で必要な水の量を導き出すことができます。
牛乳を水に置き換える例
牛乳100gのレシピを水に換算してみましょう。
牛乳100gを水に置き換えた場合は、加える水の量は90gとなります。
水を牛乳に置き換える計算方法
次に、水を牛乳に置き換える場合について見ていきましょう。
牛乳と水の比率は、牛乳:水=1:0.9でした。計算方法はほかにもあるのですが、ここではわかりやすいように、水を1として考えていきたいと思います。
牛乳と水の差は1÷0.9=1.11倍です。
水を1とした場合は、牛乳は1.11。
つまり、水:牛乳=1:1.11の比率となるのです。
水を牛乳に置き換える場合は、次のような計算式で導き出すことができます。
水を牛乳に置き換える例
水100gのレシピを牛乳に換算してみましょう。
水100gを牛乳に置き換えた場合は、加える牛乳の量は111gとなります。
牛乳とスキムミルク(脱脂粉乳)の換算
次は、牛乳とスキムミルク(脱脂粉乳)の換算について説明していきたいと思います。
牛乳とスキムミルク(脱脂粉乳)の比率
材料に牛乳を使う場合とスキムミルクを使う場合の加える分量は、比率として比較すると牛乳:スキムミルク=1:0.1となります。
スキムミルクは、牛乳から水分と脂質を取り除いて作られています。
一つ例をあげて紹介しましょう。
たとえばmeiji牛乳の成分は、牛乳100gのうち約87.4gは水分、脂質は3.8gで、残りの成分は、たんぱく質や炭水化物、ミネラルです。
この牛乳からスキムミルクを作るとしたら、牛乳100gのなかから、水分87.4g+脂質3.8g=91.2gを除去した8.8gとなるということです。
この値は各メーカーによって多少の誤差があるため、一般的にスキムミルクは牛乳を1/10に濃縮したものであると考えます。
これが、牛乳:スキムミルク=1:0.1となる理由です。
牛乳からスキムミルクに置き換えた場合は、減った水分を、水を足すことで調整します。
牛乳100gの場合、スキムミルクは10g+水90g として置き換えることができるのです。
牛乳をスキムミルク(脱脂粉乳)に置き換える計算方法
まずは牛乳をスキムミルクに置き換える場合について見ていきましょう。
牛乳をスキムミルクに置き換える場合、次のような計算式で必要なスキムミルクの量を導き出すことができます。
必要なスキムミルクの量がわかったら、次にレシピの牛乳の量からスキムミルクの量を引いて、加える水の量を導きます。
牛乳をスキムミルク(脱脂粉乳)に置き換える例
牛乳100gのレシピをスキムミルクと水に換算してみましょう。
牛乳100gをスキムミルクに置き換えた場合は、加えるスキムミルクの量は10g、水の量は90gとなります。
スキムミルク(脱脂粉乳)を牛乳に置き換える計算方法
今度は、スキムミルクを牛乳に置き換える場合について見ていきましょう。
牛乳とスキムミルクの比率は1:0.1でしたので、さきほどと同じようにスキムミルクを1として考えていきたいと思います。
牛乳とスキムミルクの差は1÷0.1=10倍です。
スキムミルクを1とした場合は、牛乳は10。つまり、スキムミルク:牛乳=1:10となることがわかります。
スキムミルクを牛乳に置き換える場合は、次のような計算式で導き出すことができます。
スキムミルクを牛乳に変換した場合、水分が増えています。
増えた分の水分は、材料の水を減らして調整しましょう。
スキムミルク(脱脂粉乳)を牛乳に置き換える例
スキムミルク10gのレシピを牛乳に換算してみましょう。
スキムミルク10gを牛乳に置き換えた場合は、加える牛乳の量は100g、レシピから減らす水の量は90gとなります。
牛乳と全粉乳の換算
さいごに紹介するのは、牛乳と全粉乳の換算についてです。
牛乳と全粉乳の比率
全粉乳は、牛乳から水分を取り除いたものです。
もう一度、meiji牛乳の成分を例に見てみると、牛乳100gのうち約87.4gは水分、脂質は3.8gで、残りの成分は、たんぱく質や炭水化物、ミネラルでした。
この牛乳から全粉乳を作るとしたら、牛乳100gのなかから水分87.4gを除いた、12.6gとなるということです。
この値も各メーカーによって多少の誤差があるため、全粉乳は牛乳を1/10に濃縮したものであると考えます。
スキムミルクとは乳脂肪分の差がありますが、メーカーによる差もあるため、牛乳と全粉乳は、前項の「牛乳とスキムミルクの換算」と同じ比率である牛乳:全粉乳=1:0.1で換算します。
牛乳から全粉乳に置き換えた場合も、スキムミルクに置き換えたときと同様に、減った水分を、水を足すことで補います。
牛乳100gの場合、全粉乳は10g+水90gとして置き換えることができるのです。
牛乳を全粉乳に置き換える計算方法
まずは、牛乳を全粉乳に置き換える場合について見ていきましょう。
牛乳を全粉乳に置き換える場合、次のような計算式で必要な全粉乳の量を導き出すことができます。
必要な全粉乳の量がわかったら、レシピの牛乳の量から全粉乳の量を引いて、加える水の量を導きます。
牛乳を全粉乳に置き換える例
牛乳100gのレシピを全粉乳と水に換算してみましょう。
牛乳100gを全粉乳に置き換えた場合、加える全粉乳の量は10g、水の量は90gとなります。
全粉乳を牛乳に置き換える計算方法
さいごに、全粉乳を牛乳に置き換える場合について見ていきましょう。
こちらも考え方はスキムミルクのときと同じです。
牛乳と全粉乳の比率は1:0.1なので、牛乳と全粉乳の差は1÷0.1=10倍です。
全粉乳を1とした場合、牛乳は10となり、その比率は全粉乳:牛乳=1:10となることがわかります。
全粉乳を牛乳に置き換える場合は、次のような計算式で導き出すことができます。
全粉乳を牛乳に変換した場合も、水分が増えているので、増えた分の水分は材料の水から減らす必要があります。
全粉乳を牛乳に置き換える例
全粉乳10gのレシピを牛乳に換算してみましょう。
全粉乳10gを牛乳に置き換えた場合は、加える牛乳の量は100g、レシピから減らす水の量は90gとなります。
まとめ
乳製品をほかの材料に置き換える場合は、計算をしないといけないため少し手間はかかりますが、計算式さえ理解しておけばどんな分量のレシピでも対応することができます。
置き換える材料別に一覧を用意し、式に当てはめるだけにしておくと便利ですよ。