パンの部位の名称(クラスト・クラム・すだち)とパンの骨格を解説
クラスト(外皮)とは
「クラスト(Crust)」はパンの表面のカリッと焼き色がついた部分のことです。
一般的に、食パンの「耳」と呼ばれる部分がクラストです。
日本語での正式な名称は「外皮(がいひ)」や「外相(がいそう)」といいます。
パンの焼き色のことは「クラストカラー」と呼ぶのは、外皮をクラストと呼ぶからです。
クラム(内相)とは
「クラム(crumb)」はパンの身である、スポンジ状のやわらかい部分のことです。
食パンでいえば、パンの耳の内側ですね。白いモチモチした部分です。
日本語での正式な名称は「内相(ないそう)」ともいいます。
食パンのように身が詰まったものだけをクラムと呼ぶわけではなく、フランスパンのようにクラムの気泡が大きくスカスカになっていたとしてもクラムと呼びます。
すだち(きめ)とは
「すだち」とはクラム内に発生する気泡の跡のことです。「きめ」とも呼びます。
気泡の大きさや分布が意図した通りになっているときに「すだちがよい」と表現します。
パンによっては「すだちがよい」と呼べる状態は異なります。
食パンのように、気泡が小さく、分布が均一であることが「すだちがよい」ものもあれば、フランスパンのように気泡が大きいものが「すだちがよい」ものもあります。
骨格とは
正確には、部位の名称ではありませんが、パンの生地には骨格の役割を担っているものがあります。
生地でいう骨格とはグルテンの網目構造のことを指します。
グルテンとは、小麦タンパク質である「グルテニン」と「グリアジン」を、物理的な力(練る、揉む、叩くなど)でからみ合わせた混合物です。
グルテンは焼く前の生地の段階でも、焼いた後のパンの段階でも、どちらも骨格の役割を担っています。
生地の段階での骨格
パン生地は小麦粉を水と合わせて練ることで生地になります。
小麦粉と水をただ混ぜ合わせただけではドロドロした液状のままですので、これは骨格がない状態といえます。
これに、物理的な力(練る、揉む、叩くなど)を加えることでグルテンが生成されます。
グルテンが生成されれば、パンの形に成形できるぐらいに形を保つことができる状態、いわゆるパン生地となります。
「パン生地として扱える状態」これが生地の段階での骨格です。
焼いた後での骨格
パン生地を焼成すると、グルテンそのものが熱凝固します。
グルテンが熱凝固することで、パンのクラムは弾力のあるスポンジ状を保つことができます。
グルテンが熱凝固するおかげで、パンは冷めた後も形を保つことができるのです。
このグルテンの作用が、焼いた後での骨格の役割をしています。
骨格が弱いとは
グルテンの生成が少ない状態のことです。
骨格が弱いと、パンの側面や上部がへんこんだり、変形することがあります。
意図せず変形してしまうことを製パン用語では「腰折れ」や「ケービング」といいます。
おわりに
業界用語は当然のように使われると初見では面食らいますよね。
私自身、初めはクラスト・外皮・外相は同じことを指していると知らずに混乱しました😁