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ミキシングのステージとは?生地はどう変化する?最適な段階やアンダーミキシング・オーバーミキシングについて解説!

材料を均一に混ぜ、グルテンを形成するのに欠かせない工程と言えるのがミキシング。ミキシングの工程は、捏ね時間の経過と生地の状態によって6つのステージに分けることができます。

それぞれのステージで、生地はどう変化するのでしょうか?

ここでは、業務用のミキサーや家庭用のスタンドミキサーを使ってミキシングをおこなった際の、ミキシングのステージを中心に、手ごねで捏ねた場合の生地の仕上がりも合わせて紹介していきたいと思います。

目次

ミキシングによる生地の変化の段階

冒頭でも紹介したように、製パンにおいてミキシングは6つの段階に分けることができます。

ミキシングによる生地の変化の段階には、次のようなものがあります。

つかみ取り段階(ピックアップステージ Pick-up Stage)

ミキシングの最初の段階、粉に水を吸わせる工程のことをつかみ取り段階(ピックアップステージ)と言います。

Pick-upは「持ち上げる」「拾い上げる」などの意味があり、ここでは粉が水気を吸い上げることを指しています。

粉と水を馴染ませ、材料がざっと混ざった状態です。

この段階では、グルテンの形成はあまり見られません。

ミキシングはミキサーの低速で2~3分間おこないます。

水切れ段階(クリーンナップステージ Clean-up Stage)

Clean-upは「掃除」の意味ですが、ここでは生地の表面に付いていた水滴がなくなって、生地のなかに吸収されることを指しています。

粉と水が均一に混ざり、水分が粉に吸収され生地として一つにまとまった状態です。

ミキサーボウルの壁面やアームに生地片がくっつかなくなり、グルテンの形成が見られるようになります。

ミキシングはミキサーの低速から中速へと切り替え、5~6分間おこないます。

結合段階(ディベロップメントステージ Development Stage)

Developmentは「開発」「発展」「成長」などの意味として知られていますが、「能力の獲得」などの意味も持ち、ここでは生地が完成した状態であることを表し、完成段階と表記されることもあります。

生地内のグルテンが結合される段階で、生地はべたつきが少なくなって伸展性や弾力性が出てきます。

ミキシングはミキサーの高速で次の段階に入るまでおこないます。

最終段階(ファイナルステージ Final Stage)

生地はとても滑らかで艶と弾力がある状態です。

別名、最終結合段階とも呼ばれており、生地の完成がピークに達したことを指しています。

触ってもべたつきはほとんどなく、さらっとしています。グルテンの結合が最適な状態でもあります。

麩切れ段階(レッドダウンステージ Let-down Stage)

Let-downは「降下させる」という意味で、ここでは完成した生地が落ち込んだ状態になったことを指しています。

最終段階を終え麩切れ段階になると、グルテンの網目構造が壊れ始め、蓄えていた水分が出てくるため生地は再び湿りしっとりしてくるのです。

これまであった弾力性は徐々に失われ、粘着性のある生地へと変化し結合力はなくなります。

破壊段階(ブレイクダウンステージ Break-down Stage)

Break-downは「壊す」「崩壊する」という意味で、ここでは生地のバランスが完全に崩れ、弾力性がなくなり非常に粘着性のある状態を指しています。

グルテンの形成は壊れ流動性のある生地へとなり、パン生地とは成立していません。

ミキシングの最適な段階は「最終段階」

基本的に、ミキシングの最適な段階はグルテンがしっかり形成されて伸展性や弾力性のバランスの良い「最終段階」とされています。

さらに農研機構のHPによると、食パンの最適ミキシング状態を可視化した実験があり、最終段階(実験では最適段階とされている)では、酵母の分布が均一であることを証明しています。

農研機構HP

しかし、ミキシングの最適な段階はグルテンをしっかり形成する必要のあるパンの場合であり、必ずしもすべてのパンに当てはまるわけではありません。

最適なミキシングはパンの種類によって異なる

パンにはさまざまな種類があり、使う材料や成形方法によってミキシングが十分に必要な生地とあまり必要でない生地があります。

食パンや菓子パンは長めにミキシング

卵やバターの入ったリッチなパンやソフトなパンは、細かくしっかりしたグルテンを形成することによって、炭酸ガスを蓄えふっくらとボリュームのあるパンに仕上げます。

そのため、高速で長時間ミキシングし、グルテンの網目構造を細かくしっかりしたものにする必要があるのです。

フランスパンは短めにミキシング

一方、卵やバターなどの入らないリーンなパンやハード系のパンでは、ふっくらとボリュームを出さず、硬くしっかりとした食感にする必要があります。

さらに、小麦の風味を味わうパンが多いため、ミキシングによって小麦の香りが飛んでしまうのを防がなければなりません。

ミキシングは低速でゆっくりおこない、水切れ段階の終わり程度で完了させるのが理想です。

弾力性や伸展性があまりでないようグルテンの形成を抑え、その後の発酵は、できるだけ低温でゆっくりおこない生地を熟成させます。

アンダーミキシングとは

アンダーミキシングとは、捏ね不足のことです。

最終段階に到達する前の段階でミキシングを終えてしまうと、アンダーミキシングとなります。

アンダーミキシングの生地を使うとどうなる?

アンダーミキシングの生地は、発酵が進みづらくなって生地は膨らみにくくなります。

クラムは目が詰まった状態となり、硬い仕上がりになってしまうのです。

アンダーミキシングの生地は救済できる?

アンダーミキシングの生地は、もう一度ミキシングしたりパンチをおこなうことによって救済することができます。

グルテンが形成され、生地にハリや弾力が出てきます。

アンダーミキシングの生地は再利用できる?

アンダーミキシングの生地は、ミキシングが足りない状態なので再利用することができます。

そのままもう一度捏ねなおしても良いですし、グルテンの形成が乏しいのであえて伸展性の低い生地として、硬めの食感のボリュームのないバンに仕上げることも可能です。

オーバーミキシングとは

アンダーミキシングに対し、オーバーミキシングは捏ねすぎであることを指します。

最終段階より後の段階でミキシングを終えた場合に、オーバーミキシングとなります。

オーバーミキシングの生地を使うとどうなる?

オーバーミキシングとなった生地は、グルテンの形成が破壊され、ダレた生地になっています。

そのまま成形して焼成しても、ボリュームに欠ける扁平なパンになってしまうのです。

前述の“ミキシングの最適な段階は「最終段階」”の項でも紹介した実験によると、最終段階では均一となっている酵母の分布も、オーバーミキシングとなると再び不均一になることがわかっています。

そのため、内層は不均一になりパサついたパンに仕上がります。

農研機構HP

オーバーミキシングの生地は救済できる?

グルテンが破壊されてしまったオーバーミキシングの生地ですが、一度壊れたグルテンは再形成することはできません。

しかし、オーバーミキシングの段階によっては、成形するときに多めに折り返すことによって、壊れたグルテンの形成を補い、パンの形として仕上げることは可能です。

麩切れ段階の場合

基本的に生地の救済が可能なのは、麩切れ段階までです。

生地はダレて持ち上げると垂れる状態なので、非常にベタベタしています。

高加水パンの生地を成形するときのように、生地をベタベタ触らず手ごなを多めに使い、つまんで持ち上げるように折り返していくと良いでしょう。

また、一次発酵を長くとることで、生地の弾力性を回復することができます。

ただし、クラムは粗く小麦の香りは失われているので味の期待はしない方が良いでしょう。

破壊段階の場合

破壊段階になると、粘着性と流動性がさらに増し、伸展性が失われ始めます。

この状態に達するとパン生地というには厳しく、その後の工程でカバーするのは困難です。

オーバーミキシングの生地は再利用できる?

オーバーミキシングの生地は、再利用することができます。

麩切れ段階の場合

麩切れ段階までであれば、基本的に生地の再利用は可能です。

ただし、生地もダレやすくなっていることから、どうにかパンとして形になってもオーバーミキシングの生地は、小麦そのものの風味が飛んでしまい、味には期待できません。

水分が飛んでパサパサになりやすいので、ラスクにするか、フレンチトーストなどにするのがおすすめです。

破壊段階の場合

破壊段階までいった生地は、一般的に再利用するのが難しいとされていますが、伸びのない生地の特性を活かし、あえてイングリッシュマフィンやバンズを破壊段階までミキシングした生地を使うパン屋さんもあります。

家庭で破壊段階にまで進んでしまった生地は、通常のパンとして再利用するのではなく、イングリッシュマフィンやバンズとして再利用してみるのも良いでしょう。

手ごねでもミキシングのステージは同じ?

手ごねのミキシングのステージも同じように6段階に分けることができます。

しかし、手ごねではミキサーのように高速で捏ねることはできません。

ミキサーとは加わる力も捏ね方も違うので、それぞれのステージでの捏ねる速度や長さは同じではありません。

手ごねでの生地の完成は、ミキサーでのミキシングと同じく最終段階となりますが、実際には最終段階まで捏ね続けるのはとても力のいることで、結合段階で終了とすることも多いのです。

その分、冷めるとパサつきやすくなるのですが、機械でミキシングしたときよりも粉の風味は残りやすいのが特徴です。

手ごねでもオーバーミキシングになることはある?

手ごねでは長時間捏ね続けるのは困難で、生地の完了は最終段階ですが、実際には結合段階から最終段階に変わるころがほとんどです。

基本的にはオーバーミキシングになることはほとんどないと言えるでしょう。

まとめ

ミキシングの段階によって、生地の仕上がりは大きく変わります。

一般的には最終段階をミキシングの最適な段階としていますが、作るパンの種類によってミキシングの長さは変える必要があります。

食パンなどのボリュームを出したいパンは長めにミキシングし、フランスパンのような軽い食感のパンは短めにミキシングするなどし、パンの特性を生かした仕上がりにしましょう。

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この記事を書いた人

医療技術系短大卒業後、バイオ系研究室テクニシャンなどを経て、現在はフリーランスのライターとして活動中です。
製パンスクールのプロコースを卒業した経歴を活かし、実践に役立つ製パン知識を、よりわかりやすく科学的にお伝えします。
食育アドバイザー、幼児食インストラクター資格保持。

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