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発酵のタイミングを見極めるフィンガーテストとは?やり方や仕組みを解説!

発酵を適切に行い、“良い生地”を作ることは、後の工程の成形や焼成にも影響するため、とても重要なことです。

発酵が適切に行われているのか?慣れないうちは、見極めるのが難しく感じてしまうかもしれません。

そこで、フィンガーテストを行い、できた穴を確認することで、生地の発酵のタイミングを見極めることができます。

ここでは、フィンガーテストのやり方や仕組みについて解説していきたいと思います。

目次

フィンガーテストとは

フィンガーテストとは、発酵した生地に指を刺し込み、開いた穴を見て発酵状態を確認する方法のことです。

別名、フィンガーチェック、指穴テストとも言います。

フィンガーテストでは、生地表面のグルテン組織の状態を確認することで、炭酸ガスの保持力を確認します。

炭酸ガスの保持力がベストな状態こそが、発酵の完了を意味するのです。

フィンガーテストのやり方

フィンガーテストは、次のような方法で行います。

STEP
人差し指に打ち粉をつける

まず、人差し指に打ち粉をつけます。

このとき、付け根のあたりまでまんべんなくつけるようにしましょう。

STEP
生地に人差し指を刺し込む

一次発酵で膨らんだ生地の中心に、打ち粉をつけた人差し指を刺し込んでください。

指は第二関節まで入れ、すっと抜きます。

STEP
指を抜いて穴を確認

指を抜いたら穴の開いた部分を見て、発酵状態を確認します。

フィンガーテストの見極め方

フィンガーテストを行ったら、できた穴の状態を確認し発酵状態を見極めます。

穴が残ったままなら適度な発酵

指を抜いたあと、穴が指を入れた大きさのまま残っていれば、適度な発酵の状態です。

多少穴が小さくなっても、1割程度であれば問題ありません。

適度な発酵が行われた生地は、生地の伸展性や弾力性のバランスがよく、生地の状態を一定に保つ力を持っています。

フィンガーテストというほんの小さな物理的刺激程度では、さほど影響を受けずに生地の状態を保持することができるのです。

生地全体がしぼむと過発酵

指を刺し込んだとたん、発酵している生地が全体的にしぼんでしまうことがあります。

これは過発酵の状態です。

過発酵の生地は、膨らみすぎて表面にたくさんの気泡を抱えています。

さらに、膨らみすぎた生地はグルテン組織が引き伸ばされ、弾性がなく緩んで弱くなっています。

フィンガーテストで穴を開けると、グルテン組織が破けて大きなガスが抜けてしまい、全体的にしぼんでしまうのです。

このように過発酵になった生地は、残念ながらリカバリーすることができません

過発酵になってしまったパン生地は、糖がイーストのえさとしてたくさん分解されてしまうため、パンの甘みが感じられなくなったり、保湿力が低下してパサパサした仕上がりになります。

さらに、過発酵によって炭酸ガスやアルコールが過度に産生されているため、アルコール臭が気になり食べても美味しくないのです。

そのまま作っても焼き色がつきにくく、甘みがなくて美味しくないので、過発酵になった生地は、ピザ生地にするのがおすすめです。

また、一度パンとして完成させ、ラスクやパン粉にしてしまうのも良いでしょう。

穴が元に戻ると発酵不足

指を抜いたあと、開いていた穴が元に戻ろうと小さくなった場合は発酵不足です。

発酵不足の生地は弾力が強く、指を抜いたあとの穴は即座に元に押し戻されてしまいます。

このように発酵不足の生地は、さらに追加で発酵をすればOK。

成形をし直すことなく、同じ温度でそのままさらに発酵を続けます。

発酵不足の場合は、同じ温度でそのままさらに時間を置くことで発酵させます。

10分後にもう一度フィンガーテストを行いましょう。

再度行う場合は、最初に開けた穴が完全に塞がらないので、場所をずらして行います。

それでもまた元に戻ってしまう場合はさらに10分後というように、発酵時間を追加します。

フィンガーテストを行うタイミングは?

フィンガーテストを行うタイミングは、一次発酵終了後です。

生地によって多少の違いはありますが、発酵前の生地から見て、生地の大きさが1.5~2倍に膨らんでいるのが適度な状態です。

生地の発酵は、捏ね上げ温度や室温、湿度などにも影響します。

慣れないうちはレシピ通りに作るのが良いですが、ある程度パン作りに慣れてきたら、時間ではなく生地の状態をみて判断するのがおすすめ。

レシピと同じ材料でも、使うイーストの種類や水が違えば全く同じ生地には仕上がらないのです。

フィンガーテストで生地が指にくっつく場合

フィンガーテストを行う場合は、生地にしっかり小麦粉をつけることが大切です。

フィンガーテストで生地が指にくっつくからと言って、適度な発酵が行われていないというわけではありません。

生地が指にくっつく原因は?

もっとも考えられるのは、生地の水分量が多いということです。

指にしっかり小麦粉がついていれば生地がくっつきにくいですが、どうしてもうまくいかないという場合は、生地の方に小麦粉を振ると比較的失敗せずに済みます。

また、穴を開けるときに気を使いすぎてゆっくり入れると、失敗しやすくなる傾向にあります。

フィンガーテストできない(やらない)生地は?

一次発酵を見極めるのに便利なフィンガーテストですが、作るパンの種類によっては、フィンガーテストができなかったり、やる必要のない生地があります。

高加水パン

高加水パンは、通常のパン生地に比べて、水分の量が非常に多いパンのことです。

一般的なパン生地の水分量は、ベーカーズパーセントで65~70%ほど。

高加水パンでは80%以上の水が使われています。

このように水分が非常に多いと、生地はべたつきやすく手にくっつきやすくなります。

また、生地に流動性があるため、フィンガーテストを行うと生地が柔らかすぎてダレてしまいます。

この場合はフィンガーテストを行わず、見た目で膨らみを見て発酵状態を判断しましょう。

ベーグル

ベーグルの場合は、フィンガーテストができないわけではなく、やる必要がない生地と言えます。

ベーグルの生地は、レシピによって一次発酵ありのものと、一次発酵なしのものがあります。

一次発酵ありのベーグルは、ふんわりもちもちした食感に仕上がり、一次発酵なしのベーグルは、ハリがあって表面がつるっとしているのが特徴。

クラムは密度があり食べ応えのある食感に仕上がります。

好みによって発酵ありでも良いのですが、しっかり発酵させればさせるほど、ベーグルらしいムチムチとした密度の高いクラムからは遠くなってしまいます。

発酵を行ったとしても、30分で打ち切るのが良いでしょう。

そのため、しっかり発酵できているかを確認するフィンガーテストは行う必要がありません。

ライ麦100%パン

ライ麦にはグルテニンというタンパク質がないため、グルテニンとグリアジンによるグルテンの形成がありません。

そのため、生地の繋がりが悪く発酵しても生地はほとんど膨らみません。

このような生地でフィンガーテストを行うと、せっかく溜まったガスが抜けてしまい、生地が潰れてしまうのです。

フィンガーテストのできないライ麦100%パンの場合、一次発酵の見極めが非常に難しいのですが、表面を手のひらで軽く触って、ふわふわとしているかで判断するようにしましょう。

米粉100%パン

米粉100%のパンの場合、主原料は米粉で小麦粉は一切使っていません。

米粉はお米を粉末にしたもので、小麦粉のようにグルテンが含まれていないので、発酵しても生地が膨らみにくいのです。

そのため、ライ麦100%パンと同じように生地の繋がりが悪く、フィンガーテストを行うとガスが抜けて生地が潰れてしまいます。

発酵を見極めるには生地に穴を開けず、表面を軽く手のひらで触って、ふわふわしているかを確認するようにしましょう。

まとめ

フィンガーテストは必ずしも必要な工程ではありませんが、発酵を見極めるためには非常に良い指標となります。

一次発酵をいつも同じ条件で行うのは難しく、イーストは生き物であるため完璧に管理するのは簡単なことではありません。

発酵状態をきちんと見極めることは、その後に続く工程にも大きく影響します。

フィンガーテストを行い、発酵をきちんと見極めて、美味しいパンを作りましょう。

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この記事を書いた人

医療技術系短大卒業後、バイオ系研究室テクニシャンなどを経て、現在はフリーランスのライターとして活動中です。
製パンスクールのプロコースを卒業した経歴を活かし、実践に役立つ製パン知識を、よりわかりやすく科学的にお伝えします。
食育アドバイザー、幼児食インストラクター資格保持。

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