加糖中種法や100%中種法などの色々な中種法の種類を紹介
大手製パン会社のパン製造方法として、よく使われている中種法(なかだねほう)。
ひと口に中種法と言っても、加糖中種法、オーバーナイト中種法、短時間中種法、100%中種法など、さまざまな種類があります。
ここでは、中種法の種類や他の製法との違いについて詳しく解説していきたいと思います。
中種法(スポンジ法)とは
中種法とは、粉や水、酵母などの材料の一部を先に捏ねて一度発酵させ、その後残りの材料を加えてさらにミキシングし、再度発酵させる方法のことです。
先に発酵させたものを中種(発酵種)といい、中種に使う粉は、材料のうちの50%以上使用します。
中種法の発酵時間
中種法の発酵時間は中種の段階と、残りの粉を混ぜた後の二段階ありますが、中種の段階での発酵時間は、1~4時間ほど。
通常4時間おこないます。
中種法の発酵温度
中種法の発酵温度は、中種を発酵させる段階で24℃前後です。
通常より長い発酵時間を要するため、発酵温度は低めに設定します。
中種法のメリット
中種法をおこなうことで、次のようなメリットがあります。
生地の調整がしやすい
中種法は最初に中種という発酵種を作り、その後残りの材料を加えて再びミキシング・発酵をおこなう製法。
そのため、中種を作る段階で水分量が多かったり、反対に少なかったりした場合に、残りの粉の量を増減させて生地の状態を調整することができます。
これは、ややパン作りに慣れた人向けのやり方ではありますが、パン生地は湿度によって吸水量も変わってしまうデリケートなもの。
発酵状態も日によって変化するため、中種の発酵状態である程度生地を調整しておくことで、目的のパン生地に近づけることができるのです。
柔らかくふわふわに仕上がる
長時間発酵させる中種法は、その分水和がしっかりおこなわれ水分量も多くなります。
生地は十分に発酵・熟成し、柔らかくふわふわに仕上がります。
ボリュームがでる
中種法では、生地を二回に分けてミキシングします。
二回に分けてミキシングをおこなうことで、形成されたグルテンはより強化され、ガスの保持力が増してパンにボリュームがでます。
品質が一定になる
パン生地を二回に分けてミキシングし、時間をかけて発酵させるため、生地の修正がしやすく、品質を一定に保つことができます。
生地が傷みにくい
長時間発酵によって水和が十分におこなわれた生地は、伸展性がよくなるのが特徴です。
そのため、生地は機械耐性に優れ、傷みにくくなります。
このように機械耐性に優れた生地は、扱いやすく作業性も良くなるのが特徴です。
日持ちしやすい
低温で長時間発酵させている中種法では、粉の芯まで水分を取り込んでしっかり水和しています。
時間をかけてじっくり水分を取り込んでいることで、焼成後に時間が経っても水分が蒸発しにくく、老化を遅らせるため日持ちしやすいパンに仕上がります。
中種法のデメリット
たくさんのメリットがある中種法ですが、次のようなデメリットもあります。
時間と手間がかかる
二度に分けてミキシングをおこない、発酵時間も長時間となるため、その分時間や手間がかかります。
小麦の風味を感じにくい
中種法では時間をかけて長時間熟成するため、甘みや旨味に加え、発酵臭が強くなります。
一方で、小麦そのものの風味は、小麦粉が新鮮な状態であるほど感じやすいため、長時間発酵した中種法では小麦の風味を感じにくくなってしまうのです。
中種法に向いているパン
中種法に向いているパンには次のようなものがあります。
食パン
ガスの保持力が高くなる中種法は、食パンに適した製法です。
しっとりと仕上げたい角型食パンも、ボリュームの必要な山型食パンも、どちらにも適しています。
菓子パン
作業性がよくなる中種法では、フィリングなども入れやすく、ふわふわに仕上がるため、菓子パンにも向いています。
調理パン
小麦の風味は感じにくい中種法ですが、調理パンにすると具材の味が強いためそのデメリットも気になりません。
作業性もよいため、カレーパンなどのフィリングを包むのにも向いているでしょう。
中種法のパーセント
中種法は50%以上の小麦粉を使っておこなうのが基本。
小麦粉の量は材料のうちの50~100%の範囲で使用します。
50%中種法、60%中種法、70%中種法というように、中種に使う粉の割合によって、○○%中種法と中種法の頭に割合をつけて呼びます。
中種法のパーセントが低いほど小麦の味を感じやすく、作業自体もさほど難しくありません。
一方で、パーセントが高くなるほど小麦の風味は薄れていき、作業も難しくなります。
しかし、より多くの粉を長い時間をかけて水和させることができるため、パン生地はよりソフトな食感に仕上げることができるのです。
一般的に使うのは70%中種法
一般的に中種法として使われる粉のパーセントは、50~70%。
なかでも70%中種法が主流です。
たとえばストレート法のレシピを中種法に置き換える場合は、材料の粉のうちの70%を中種で使用し、残りの30%を本捏ねで使用します。
パン生地は吸水量が多いほどしっとり仕上がり、ミキシングしたときにより多くの空気を取り込むほど気泡の数が増え、ソフトな食感に仕上がります。
吸水量は、中種にある程度の粉を使用することで増やすことができますが、粉の割合が増えるほどミキシングはしにくくなります。
一般的に70%中種法が多く用いられるのは、この絶妙なバランスが70%であると考えられるからです。
100%中種法とは
100%中種法とは、材料の100%の粉や水、酵母を中種として使用し、本捏ねでは粉や水、酵母を除く残りの材料(副材料)を入れる製法のことです。
100%中種法の目的
100%中種法は、一般的に使われている50~70%中種法よりもクラムのきめが細かく、よりソフトな食感に仕上げることができます。
100%中種法のメリット
100%中種法には次のようなメリットがあります。
ソフトな食感になる
100%中種法では、通常の中種法より多くの小麦粉を中種としてあらかじめ発酵させます。
そのため、100%中種法で作ったパン生地はより伸展性が増し、内相膜が薄くなるのが特徴です。
内相膜が薄く窯伸びもよくなるため、パンはソフトな食感に仕上がります。
100%中種法のデメリット
よりソフトな仕上がりを得ることができる100%中種法ですが、次のようなデメリットがあります。
高度な技術が必要
中種に小麦粉の全量を使う100%中種法は、本捏ねでは小麦粉を使用せず、副材料が主体となります。
副材料のみを加えてさらにミキシングをした場合、捏上温度が上がりやすく、生地もべたつきやすくなります。
生地の状態も変化しやすいため、本捏ねでのミキシングは難しく高度な技術が必要となるのです。
100%中種法に適しているパン
100%中種法に適しているパンを紹介します。
食パン
なかなか生地が扱いづらい100%中種法ですが、何と言っても100%中種法の魅力はソフトな食感と窯伸びの良さ。
特に、窯伸びの良さが重要視される食パンに適した製法です。
加糖中種法とは
加糖中種法とは、粉や水、酵母のほかに、中種のなかに材料の砂糖の一部を加える製法のことです。
中種で使用する砂糖の分量は、材料全体の粉の分量に対するベーカーズパーセントで5~15%が適切な量とされています。
一般的に、砂糖の多い菓子パン生地を仕込むさいに使用する製法です。
加糖中種法の目的
加糖中種法は、菓子パン生地に強い発酵力を持たせることを目的としています。
イーストの餌となる砂糖の量が多い場合、イーストは砂糖を分解しきれずにキャパオーバーとなってしまい、イーストの働きを妨げてしまいます。
これには浸透圧が関係しており、砂糖の量が多いと生地は高浸透圧となり、低浸透圧である方のイーストの体内からは水分が出て、大きなダメージを受け働きが悪くなるのです。
イーストの働きを妨げてしまうと、発酵に時間がかかるなど、パン作りの工程に大きな影響が。
そこで、あらかじめ材料の一部の砂糖を中種として使い、浸透圧の差が少ない状態でイーストを砂糖に慣れさせておくことで、砂糖に対し耐性ができ(耐糖性)、本捏ねのときにイーストに過剰な負担をかけることがなくなるのです。
加糖中種法では、発酵温度を通常の中種法より2℃高い26℃でおこないます。
また、強い発酵力が得られるため、発酵時間は2~2時間半と短めにおこなうのが特徴です。
加糖中種法のメリット
加糖中種法には次のようなメリットがあります。
発酵力が強くなる
あらかじめ中種に砂糖を加えておくことで、イーストが砂糖に慣れた状態になります。
砂糖を多く使ったパンでは、加糖中種法で生地を仕込むことで強い発酵力を得ることができます。
しっとり仕上がる
加糖中種法は、基本的に砂糖を多く使った生地で使用する製法です。
砂糖は保水性が高いため、砂糖を多く使った加糖中種法では水分を抱き込んで放さず、しっとりとした仕上がりになります。
時間の短縮
砂糖を多く使用して発酵力が強くなる加糖中種法。
発酵が速く進むため、結果的に時間を短縮することができます。
加糖中種法のデメリット
砂糖を多く使った生地に適した加糖中種法ですが、デメリットには次のようなものがあります。
作業を素早くおこなう必要がある
発酵力が強すぎるため、分割・成形などの工程を手早くおこなう必要があり、品質が安定しにくくなってしまいます。
加糖中種法に適しているパン
加糖中種法に適したパンを紹介します。
菓子パン
加糖中種法に適しているパンは、やはり砂糖を多く使う菓子パンです。
たくさん砂糖を使った生地でもイーストを弱らせることなく、高い発酵力を得ることができる加糖中種法は、菓子パンの製法としてもっとも適した中種法と言えるでしょう。
トッピングとして甘い具材を使っているパンというよりも、パン生地そのものに砂糖を多く使っているタイプのパンに適しています。
オーバーナイト中種法とは
中種法の中でも、オーバーナイト中種法とは、生地を冷蔵庫で一晩寝かせ、低温発酵させる方法のことです。
一般的にオーバーナイト法と呼ばれるものは、生地を冷蔵庫で一晩寝かせ、低温発酵させる方法のことを指し、中種を使用するものではありません。
中種法とオーバーナイト法を組み合わせたものを、オーバーナイト中種法と呼んでいます。
オーバーナイト中種法では、発酵温度は5~10℃で、2~24時間発酵させます。
一晩冷蔵庫で発酵させるのが一般的なので、通常は半日程度発酵させるのが特徴です。
オーバーナイト中種法の目的
もともと発酵時間が長めの中種法ですが、長時間発酵に向いている中種法をさらに応用したのがオーバーナイト中種法です。
オーバーナイト法を利用することによって、一日あたりの作業時間を短くすることができます。
オーバーナイト中種法のメリット
オーバーナイト中種法のおもなメリットは、次の通りです。
作業効率の向上
オーバーナイト中種法は、中種を一晩かけて低温で発酵させるため、次の日には本捏ねからスタートすることができます。
異なる生地で一日に何種類ものパンを作るパン屋さんにとって、一日ですべての作業をおこなう必要がなく、二日に作業を分けることができるのです。
そのため、作業効率が上がり、より多くの種類のパンを製造することができます。
オーバーナイト中種法のデメリット
オーバーナイト中種法には、次のようなデメリットがあります。
保管場所の確保
オーバーナイト中種法は、低温で一晩発酵させる中種法。
通常、冷蔵庫などに入れて発酵させるため、冷蔵庫内での場所の確保が必要です。
また、二日に分けて作業をおこなうため、作業場所も長時間確保する必要があります。
オーバーナイト中種法に適しているパン
オーバーナイト中種法は、次のようなパンを作るさいにおすすめの製法です。
折り込み生地のパン
デニッシュやクロワッサンなどの折り込み生地のパンには、オーバーナイト中種法が適しています。
折り込み生地とは、バターなどの油脂を生地に挟み込み、折りたたんで何層にもした生地のこと。
バターを折り込みやすいように、生地をあらかじめ冷やしておく必要があるため、冷蔵庫で発酵させるオーバーナイト中種法が適しているのです。
リッチなパン
油脂や卵、砂糖を多く使ったリッチなパンは、生地の温度が上がりやすくべたつきやすいのが特徴。
オーバーナイト中種法による低温発酵を利用することで、生地のべたつきを抑え、生地を扱いやすくすることができます。
短時間中種法とは
短時間中種法は、食パン用に使われる中種法で、通常の中種法が中種を3~4時間発酵させるのに対し、2時間に短縮して発酵させる製法です。
そのため、発酵を促進させるために中種に加えるイーストフードを2~3倍ほど増やし、捏上温度も2℃ほど高くするのが特徴です。
短時間中種法の目的
短時間中種法のおもな目的は時間の短縮です。
通常の中種法は中種の発酵に3~4時間要しますが、短時間中種法を利用することで、通常の半分である2時間で発酵を済ませることができます。
短時間中種法のメリット
短時間中種法のおもなメリットは次のとおりです。
時間の短縮
何と言っても一番のメリットは時間の短縮です。
中種の発酵時間を2時間短縮することができるので、全体の作業時間を短くすることができます。
重量の減少を防ぐ
短時間中種法では発酵ロスが減少するため、生地の重量の減少を最小限に抑えることができます。
発酵ロスとは、発酵の工程で手やボウルの壁面に生地がついたことによって生地のロスが出たり、水分の蒸発によって重量が減ったりしてしまうことです。
長時間発酵させる必要のある中種法では、水分の蒸発がおもな発酵ロスであると考えられています。
短時間中種法は発酵時間が半分で済むため、加水率を通常の中種法の1~2%上げ重量の減少を抑えることができるのです。
短時間中種法のデメリット
短時間中種法におけるデメリットには、次のようなものがあります。
味が劣る
短時間中種法のデメリットは、発酵によって得られる酸臭・酸味に乏しいことです。
これは、人によってはメリットとも捉えることができるため、デメリットとは一概に言えませんが、酸臭や酸味は少なくなり、味わいは乏しくなります。
添加物が多くなる
短時間中種法では、通常の中種法の2~3倍量のイーストフードを使用するのが特徴。
特に発酵を促進させる添加物である酸化剤を多く使用します。
しかし、イーストフードは一括表示が認められているため、実際にはどんな添加物が何種類使われているのかを把握することができません。
短時間中種法では、通常の中種法の2~3倍量のイーストフードを使用するため、中身のわからない材料を多く摂取することになります。
短時間中種法に適しているパン
短時間中種法に適しているパンは次のとおりです。
食パン
ふわふわでボリュームのあるパンに仕上がる中種法は、基本的に食パンの製造に適した製法。
短時間中種法も、食パンの製造に適しています。
中種法とストレート法(直捏法)の違い
ここからは、中種法と他の製法との違いについて見ていきましょう。
まずは、ストレート法(直捏法)との違いについて紹介します。
ストレート法(直捏法)とは
ストレート法とは、全ての材料を混ぜ合わせて一度に捏ね、発酵や焼成をおこなう製法のことで、直捏法(じかごねほう)とも呼ばれています。
材料を一度に混ぜ合わせるため工程が単純で、短時間で作ることができます。
発酵時間も短いので、小麦の風味を感じやすいのが特徴です。
しかし、短時間で焼成まで終わるストレート法は、粉への吸水も不十分。
水分が蒸発しやすく、老化しやすいのが難点です。
中種法とストレート法(直捏法)の違い
材料を二回に分けてミキシングをおこなう中種法に対し、ストレート法はすべての材料を一度に混ぜ合わせるのが大きな違いです。
ストレート法は製パンの基本的な製法で、一般家庭でパン作りをおこなう場合はほとんどストレート法が使われています。
一般家庭に普及しているホームベーカリーも、ストレート法でおこなわれているのが特徴です。
一方、製造するパンの品質を一定に保つことができる中種法は、大手製パン工場などの大量生産のパンに向いています。
中種法とアンザッツ法の違い
次に紹介するのは、中種法とアンザッツ法の違いについてです。
アンザッツ法とは
アンザッツ法とは、粉や水、酵母のみを軽くまぜて30~40分発酵させる製法のことです。
先に作った発酵種のことをアンザッツと呼びます。
アンザッツ法はリッチなパンに使われる製法で、特にシュトーレンの製法として使われています。
中種法とアンザッツ法の違い
アンザッツ法は、粉や水、酵母のみを最初にミキシングすることから、中種法の一種とされています。
発酵時間が短いことから短時間中種法と同じようにも思えますが、一般的にアンザッツ法と呼ばれるものは、発酵を促すためにイーストフードを増やすなどはせず、発酵種を作ったあと、クリーミングしたバターを混ぜ合わせるのが大きな特徴です。
クリーミングしたバターを加えることで、バターケーキのような風味の良い生地に仕上がります。
このようなことから、シュトーレンの製法として特化した方法となっています。
短時間中種法はイーストフードを多く使用しているため、その添加量を微調整する必要があり、機械化された大手製パン工場での使用が一般的です。
しかし、アンザッツ法はイーストフードを増やす必要はなく、無添加でも可能なため、ベーカリーや家庭でも使われています。
中種法と湯種製法の違い
もちもち食感が特徴の湯種製法。
中種法との違いについて紹介します。
湯種製法とは
材料の粉の一部に熱湯を加えて捏ね、一晩寝かせたものを残りの材料と合わせて作る製法のことです。
甘みがありもちもちとした食感が特徴ですが、一晩寝かせる必要があるため時間と手間がかかります。
中種法と湯種製法の違い
中種法との大きな違いは、材料の粉の一部に熱湯を加えていること。
粉と熱湯が合わさることで、小麦粉のデンプンが糊化して糊状になります。
さらに一晩寝かせていることで、生地はお餅のようにもちもちに。
中種法と同じく保水力が高くしっとり仕上がるのが特徴ですが、湯種製法ではさらにデンプンによって甘みが増し、もちもちのパンに仕上げることができます。
中種法とオートリーズの違い
次に紹介するのは、中種法とオートリーズの違いについてです。
オートリーズとは
オートリーズは、ミキシングをする前に粉と水だけをあらかじめ混ぜ合わせ、水和させる方法のことです。
オートリーズ(autolyze)は「自己融解」という意味があり、粉と水を混ぜ合わせて置いておくことで、人が手を加えることなくグルテンを自然に形成していく様子を表しています。
グルテンを自然に形成するオートリーズは、ミキシングの時間を減らすことができるため、大きな気泡を残したいフランスパンなどに向いています。
しかし、長くオートリーズしすぎてしまうと伸展性が高まり、生地がだれやすく扁平なパンになるので注意が必要です。
中種法とオートリーズの違い
中種法との大きな違いは、酵母を入れていないことにあります。
オートリーズは酵素の働きを最大限に発揮させ、伸展性を高めることがおもな目的。
水和させるさいは、5~10℃で20~30分おこないますが、この段階では発酵させることを目的としていません。
オートリーズで伸展性を高めることで、残りの材料を入れたときにミキシングの時間を最小限にすることができるため、気泡を潰したくないフランスパンに向いています。
また、伸展性がよくなって扱いやすい生地となるため、高加水パンにも適した製法です。
中種法とポーリッシュ法(液種法)の違い
19世紀前半に、ポーランドで誕生した製法とされているポーリッシュ法。
中種法との違いについて紹介していきます。
ポーリッシュ法(液種法)とは
ポーリッシュ法とは、小麦粉に同量の水、少量の酵母や砂糖を加えて混ぜ合わせ発酵・熟成させる製法のことで、別名液種法や水種法と呼ばれています。
液種にすることで、あえてグルテンを破壊し柔らかく伸びの良い生地に仕上げることができます。
中種法とポーリッシュ法(液種法)の違い
中種法と似ていますが、中種法の発酵種(中種)は粉が主体であるのに対し、ポーリッシュ法の発酵種(液種)は水が主体となっています。
液種に使う粉の量は、材料の粉の20~40%ほど。
水は粉と同量使用するため、非常にドロドロしたペースト状の発酵種となっています。
水分の多い環境は、酵母にとって非常に好条件。中種法と比べて働きが活発になり発酵しやすくなります。
その分、酵母は少ない量で済み、イースト臭を抑えることができるのです。
ポーリッシュ法は、グルテンを破壊し柔らかく伸びの良い生地に仕上げることができるため、フランスパンなどのリーンなパンに適しています。
まとめ
今回は、中種法の種類や他の製法との違いについて紹介しましたが、いかがでしたか?
中種法で作ったパンは、ふわふわでボリュームのある仕上がりになります。
一般的に、日本人はふわふわでボリュームのあるパンを好む人が多い傾向にあると言われています。
そのため、日常的に食べるパンとしては、中種法を主な製法としている大手製パン会社のパンは、需要に合っていると言えるでしょう。