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アンザッツ法とは?メリット・デメリットや中種法との違いを解説!

パンの製法の一つであるアンザッツ法。

あまり聞き馴染みのない製法ですが、おもにシュトーレンの製法として使われています。

中種法ととても良く似た製法なので、その違いがいまいちわからないという方も多いかもしれません。

ここでは、中種法との違いやアンザッツ法のメリットとデメリットを紹介していきます。

目次

アンザッツ法とは

アンザッツ(ánsatz)とはドイツ語の言葉で、「始まり」「(体の部分の)付け根」「沈殿物」などを意味します。

パン用語として使われるアンザッツは、日本語の「中種」または「発酵種」のことを指します。

アンザッツ法は小麦粉、水、酵母の材料からなる生地を前もって軽く混ぜ、30~40分発酵させた後、残りの材料を加える製法のことです。

アンザッツという言葉が中種を意味するため、本によっては中種法と同義として使われている場合もありますが、中種法や加糖中種法では1時間から1日ほどかかる発酵時間を、アンザッツ法では30~40分と短縮することができます。

また、アンザッツ法は卵や乳製品、バターなどを多く入れるリッチなパンに多く使われています。

アンザッツ法の発祥

アンザッツ法は、シュトーレン発祥の地であるドイツの伝統的な製法と言われています。

しかし、アンザッツ法についてはあまり詳しい情報が見つからず、残念ながら発祥についての詳細はわかりませんでした。

アンザッツ法の目的

パンにはさまざまな製法があるため、どんな時にアンザッツ法を選べばいいのか迷ってしまうかもしれません。

アンザッツ法をおこなう目的には次のようなものがあります。

発酵力を高める

アンザッツ法は卵や乳製品、バターを多く使うリッチなパンに使われる製法です。

副材料の多い生地は発酵に時間がかかります。

そこで材料には酵母を多めに使い、小麦粉や水、酵母の一部のみをあらかじめ発酵させ中種を作ることで、その後の発酵がスムーズに進むようになるのです。

しっとりとした食感に仕上げる

中種を作って2回に分けて発酵させるため、小麦粉がしっかり水和し、しっとりとした食感に仕上げることができます。

アンザッツ法の手順

アンザッツ法のおもな手順を紹介します。

ここでは、一般的にアンザッツ法を用いて作られるシュトーレンの作り方で見ていきましょう。

STEP1 アンザッツ(発酵種または中種)を作る

まずは材料の一部の小麦粉、水、酵母を混ぜ合わせ30~40分発酵させます。

ここでできた発酵種のことをアンザッツと言います。

STEP2 本仕込み

次に残りの材料と合わせていきます。この工程を本仕込みと言います。

シュトーレンの場合、まずはクリーミングという作業をおこないましょう。

ボウルにバターを入れ、泡だて器を使ってしっかり混ぜクリーム状にします。

さらに砂糖を加えて白っぽくなるまでよく混ぜてください。

クリーミングをおこなうことで風味の良いシュトーレンに仕上げることができます。

そのまま混ぜながら少しずつ卵黄を加え、ゴムベラに持ち替えてアーモンドプードルを含めた残りの粉類を入れていきます。

粉気がなくなったら、STEP1でできた発酵種をちぎって加えましょう。

生地が均一に混ざるように5分ほど捏ね、ラム酒に漬けていたフルーツやナッツを混ぜて一つにまとめます。

STEP3 発酵

まとめた生地は30℃で30~40分ほど発酵させましょう。

STEP4 成形~最終発酵

発酵した生地を成形し、最終発酵させます。

STEP5 焼成

200℃で10分、さらに180℃へ下げて30分焼成します。

粗熱が取れたら、刷毛を使って溶かした無塩バターをパン全体に塗り込み、グラニュー糖を振ります。

完全に冷めたら、最後に粉砂糖をたっぷりまぶして完成です。

アンザッツ法のメリット

アンザッツ法には次のようなメリットがあります。

中種法と比べ発酵が短時間で済む

中種に材料の粉の割合を50%以上使用する中種法や加糖中種法と比べて、アンザッツ法は20~30%ほどで作ります。

さらに酵母を多めに使用することで、発酵時間を短くすることができます。

無添加で作ることができる

発酵時間が短く、発酵を促すためのイーストフードを入れる必要がないため、無添加でパンを作ることができます。

しっとりとした食感になる

材料を2回に分けて発酵させるため、水和がしっかり進みしっとりとした食感になります。

アンザッツ法のデメリット

メリットの多いアンザッツ法ですが、デメリットについても見てみましょう。

ひと手間かかる

アンザッツ法は材料を2回にわけて混ぜ発酵させます。

そのため、工程が多くなります。

また、アンザッツ法では必ずおこなうというわけではありませんが、リッチなパンに使われる製法であることから、風味の良いパンにするためにクリーミングしたバターを使用します。

材料をそのまま加えるわけではなくクリーミングという作業が加わるため、やや手間のかかる製法でもあります。

アンザッツ法に向いているパン

アンザッツ法に向いているパンを紹介します。

リッチなパン

あらかじめ中種を作ることで発酵をスムーズにすることができるため、副材料の多いリッチなパンに向いています。

アンザッツ法が使われる代表的なパン

アンザッツ法が使われるパンにはどのようなものがあるのでしょうか?

シュトーレン

アンザッツ法はシュトーレンの製法として非常に多く使われています。

シュトーレンの材料はドイツで規定があり、ベーカーズパーセントでバターは30%以上、ラム酒に漬けたフルーツは60%以上となっています。

特にフルーツやお酒を多く使うシュトーレンは、発酵しにくいため発酵をスムーズにおこなえるようにアンザッツ法が使われているのです。

また、シュトーレンはクリーミングしたバターを加えることでバターケーキのような風味の良いパンに仕上げることができます。

アンザッツ法はパン屋で使われている?

短時間中種法などをおこなう場合は、大量のイーストフードを入れて発酵を促しますが、添加量を微調整する必要があり、大手製パン工場などの機械化された環境で作る必要があります。

一方、アンザッツ法はイーストフードを増やす必要がなく、無添加でも可能。細かな管理の必要はありません。

そのためパン屋で使われてはいますが、一般的にはシュトーレン以外ではあまり使われていない製法です。

アンザッツ法と中種法の違い

中種法は小麦粉や水、酵母などの材料の一部をあらかじめ発酵させ、その後残りの材料を加えてミキシングし再度発酵させる製法のことです。

一見同じように見えるアンザッツ法と中種法ですが、何が違うのでしょうか?

イーストフードを使う必要がない

中種法は中種に使う小麦粉の割合を材料の50%以上使用します。

基本的に中種の発酵には1~4時間ほどかかるため、短時間発酵させる場合には大量のイーストフードを入れる必要があるのです。

一方、アンザッツ法は中種に使う粉の割合が少なく、多めの酵母を使うことで発酵時間を短縮することができます。

そのため、イーストフードを使う必要がありません。

クリーミングしたバターを加える

アンザッツ法は、副材料の多いリッチなパンに使われるため、発酵種を作ったあとにクリーミングしたバターを加えるのが特徴です。

アンザッツ法だからクリーミングしたバターを加えるというわけではありませんが、卵や乳製品、バターを多く使うリッチなパンに使用することが多いアンザッツ法では、そのまま混ぜただけでは口当たりがとても重く硬い食感になってしまいます。

そこで、ソフトで歯切れの良い食感にするために、必然的にクリーミングしたバターを加えることがセットでおこなわれるのです。

中種法と似ている点

アンザッツ法は小麦粉や水、酵母のみを最初に混ぜ発酵させ、再び残りの材料を加えて発酵させます。

あらかじめ材料の一部をミキシングしておくというのは、中種法と同じ点です。

このことから、アンザッツ法は中種法の一種ともされています。

まとめ

今回はアンザッツ法について紹介しました。

基本的には中種法の一種ですが、中種法よりも短時間で発酵することができ、リッチなパンの製法として特化しているのが特徴。シュトーレンを作る際によく用いられています。

家庭でも取り入れやすい製法なので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

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この記事を書いた人

医療技術系短大卒業後、バイオ系研究室テクニシャンなどを経て、現在はフリーランスのライターとして活動中です。
製パンスクールのプロコースを卒業した経歴を活かし、実践に役立つ製パン知識を、よりわかりやすく科学的にお伝えします。
食育アドバイザー、幼児食インストラクター資格保持。

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