リテイルベーカリー?スクラッチベーカリー?パン屋の形式や形態の種類を紹介!

2020 6/26
リテイルベーカリー?スクラッチベーカリー?パン屋の形式や形態の種類を紹介!

リテイルやスクラッチ、パンの用語はとても種類が多く、パン屋の形態も実にさまざまです。

なかには同じ意味として使っていた言葉でも、それぞれに違う意味があったりと、複雑なのです。

今回はそんなパン屋の形態についてまとめていきたいと思います。

目次

パン屋の名称の種類

パン屋と一口に言っても呼び方はさまざま。

国によって異なりますが、日本ではいろんな名称が使われています。

まずはパン屋を表す言葉について紹介していきましょう。

ベーカリー

ベーカリー(Bakery)は、英語でパン屋の意味を表す言葉。

日本ではパン屋=ベーカリーというほど、パン屋を表す言葉としてもっとも一般的に使われています。

この、ベーカリーとはbake(オーブンで乾燥した熱で焼く)という動詞が由来となっており、ケーキや焼き菓子などのオーブンで焼かれた商品を製造販売するお店を表しています。

つまり、正確にはパン屋に限らず、パンやケーキなどを製造し、販売しているお店のことを指しているのです。

ブーランジェリー

次に、パン屋を表す言葉でよく耳にするのが ブーランジェリー(Boulangerie)。

こちらはフランス語でパン屋を意味する言葉です。

Bouleは球を意味し、Boulangeは丸いパンを作る人という意味を表します。

さらにこのBoule には地球という意味もあり、Boulangeは、地球を作る人、ひいては神の仕事という崇められた存在を表しているのです。

このようにブーランジェリーと名の付くパン屋さんは、フランスでは一定の地位にあることを意味し、この名称は称号として与えられるものです。

粉選びからおこない、生地の捏ねから発酵、成形、焼成と全ての工程を店でおこない販売している店だけが、ブーランジェリーと看板に掲げることができると法律で定められています。

日本ではこのような法律はありませんので、パンの製造工程に決まりはありませんが、一般的にバゲットやカンパーニュなど、フランスのパンが並んでいるのが特徴です。

ベッカライ

ベーカリーやブーランジェリーほど多くはありませんが、ドイツ語でパン屋を意味する言葉として、ベッカライ(Bäckerei)も使われています。

ドイツでは製パンのマイスター資格を持つ人だけが、パン屋の開業が許されています。

日本でもドイツでマイスター資格をとり、本場ドイツのパンを販売しているお店が多くあります。

ちなみに似た言葉としてツッカベッカライがありますが、こちらはお菓子屋さんを意味する言葉です。

パン屋の形式に関わる用語

パン屋の呼び名にはいくつかありましたが、パン屋の形式でもさまざまな呼び名があります。

スクラッチ

店舗に併設された工房で粉から生地を仕込み、パンの製造・販売をおこなっている形態をスクラッチ、このような形式をとるベーカリーをスクラッチベーカリーといいます。

フルスクラッチ(オールスクラッチ)

スクラッチのなかでも、生地の仕込みから製造・販売のみならず、既製品の粉の選定から独自におこなうことをフルスクラッチ、またはオールスクラッチといいます。

粉から選ぶことで最初は時間と手間はかかりますが、店のこだわりを出すことができます。

ベイクオフ

一つの工場でまとめて仕込み、各店舗に運ぶ形態をベイクオフといいます。

ベイクオフは、生地の仕込みまでは完了した状態で冷凍保存をしています。

冷凍保存された生地は店舗へと運ばれると、その生地を解凍し、店舗それぞれが好きなパンへと成形し発酵させて使用するのです。

QBD

QBDもベイクオフと同じく、一つの工場で生地をまとめて仕込み各店舗へと運びます。

ベイクオフと違う部分は、QBDの場合仕込んだ生地を成形し、発酵まで完了させて冷凍するということです。

QBDの冷凍生地は、生地を販売するメーカーによって冷凍のまますぐに焼けるものと、解凍してから焼く必要があるものとがあります。

冷凍のまますぐに焼けるものは、成形時にパン生地と油脂でたくさんの層を作り、一番厚みのある部分を圧縮して薄くしておくことで、解凍時間や発酵時間を必要とせずそのまま焼成できるというものです。

これは特別な製法が用いられ特許がとられています。

パン生地と油脂の連続的な多層構造を成し、最厚部に凹みを形成せしめ薄くすることにより、熱伝導が良くなり、表面に特定の凹みを有する成形加工済み冷凍パン生地であれば、解凍時間および醗酵時間を必要とせず焼成加熱のみで調理でき、焼成後の品質(食味・食感・風味・外観(ボリューム感)など)が良好なパン製品を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。

解凍および醗酵工程を必要としない冷凍パン生地の製造法

ブラウンサーブ

ブラウンサーブとは、工場で製造したパンを約8割焼成した状態で出荷し、残りの2割の焼成を仕入れた店で行い、販売するという方法です。

あまりパンの製造に時間をとることができないカフェやイタリアンレストランなどで使われている方法です。

オーブンフレッシュ

オーブンフレッシュとは、焼きたてのパンを意味します。

販売形式ごとのパン屋の種類

パンの製造形式だけでなく、販売形式による違いでもさまざまな呼び方があるのでご紹介していきましょう。

ローカルベーカリー

元々パン業は地域の特色のあるパン屋が多く、このような地域に根付いたパン屋、ローカルベーカリーから始まりました。

ローカルベーカリーは個人店が主で、その地域の特色を出すことができ、町おこしに繋がったり、顧客の要望に応じた新しい商品の販売をおこなったりと、柔軟に対応することができます。

ナショナルベーカリー

量産システムが確立し始めた昭和40年代ごろになると、複数の経済圏に市場を持つナショナルベーカリーが増え始めます。

ナショナルベーカリーは全国へと経済圏を広げている企業を指し、時には海外へ出店することもあります。

ドンク、メゾンカイザーなどのベーカリーがこれにあたります。

ナショナルベーカリーは運営や設備などに多くのお金がかかるため、大手企業がおこなう形態です。

経済圏によって求められる商品に違いがあり、マーケティング調査をおこないつつ、そのエリアに合わせた方法で販売することができます。

ブロックベーカリー

複数の経済圏に市場を持つナショナルベーカリーに対し、単一の経済圏を市場としたベーカリーをブロックベーカリーといいます。

他県にはないけれど、県内には何店舗かあるパン屋さん、県内のなかでも一つの市町村だけに複数店舗あるパン屋さん、などがこれにあたります。

基本的に地方の中小企業に多いのが特徴です。

一つの経済圏の需要に対応すればよいため、ナショナルベーカリーと比べコストを抑えて生産性をあげることが可能です。

ホールセールベーカリー

ホールセール(wholesale)とは、卸売りのこと。

ホールセールベーカリーは、小売店と契約し、工場で作ったパンを店舗へ卸すベーカリーをさします。

主にスーパーの商品棚に並んでいるパンが、ホールセールベーカリーのパンです。

大手企業がおこなっており、大量生産が可能で安く作ることができます。

リテイルベーカリー

製造と販売を同じお店で行っているベーカリーをリテイルベーカリーといいます。

工場で作って流通しているパンを除くと、基本的にはリテイルベーカリーということです。

その場で作っているので、出来立てのパンを買うことができるのが魅力です。

リテイルベーカリーは、さらにさまざまな形態に分けることができます。

多店舗チェーンのリテイルベーカリー

リテイルベーカリーにはいくつも店舗を持つ、多店舗チェーンとして展開しているベーカリーがあります。

多店舗チェーンの場合は、セントラル工場を持つことが多く、その場合は製造した生地を複数の店舗に搬入し、店舗で焼いています。

多店舗チェーンのリテイルベーカリーは大手の企業であり、材料を大量に仕入れコストを削減することができる一方、店舗数が増えるほど、経営管理が難しくなります。

直営チェーンのリテイルベーカリー

多店舗チェーンのなかでも、企業が直接社員を雇用し店舗の運営と販売を行っているリテイルベーカリーは、直営チェーンと呼ばれます。

直営チェーンのリテイルベーカリーは、本部となる企業と直営店が同一の資本であり同じ会社であることが特徴です。

また、各支店の中核としての役割もはたし、直営チェーンではパンの製造設備がひと通りそろっていることが条件となります。

直営チェーンでは、本部社員が運営しており、フランチャイズチェーンを展開する前に本部がさまざまなテストをおこなうことができます。

フランチャイズチェーンのリテイルベーカリー

リテイルベーカリーの中にはフランチャイズチェーンのベーカリーもあります。

フランチャイズチェーンのベーカリーは、企業本部とは別の資本で別会社です。

運営などのノウハウを本部から指導してもらいながら、店舗で働く従業員をフランチャイズのオーナーが雇うことができます。

初めて自分の店を持つオーナーが、起業するハードルを下げることができるものの、本部へロイヤリティを支払う義務が発生します。

フランチャイズチェーンを持つリテイルベーカリーの場合は、あらかじめ工場で生産された冷凍生地が店舗に運ばれ、店舗では成型をして焼き上げるというやり方を行っていることが多いです。

単独のリテイルベーカリー

単独のリテイルベーカリーとは、多数の店舗を持たず、一つの店舗のみで運営しているリテイルベーカリーのことです。

個人店に多く、リテイルベーカリーのほとんどが単独のベーカリーにあたります。

大量生産が難しいものの、そのお店にしかない特色あるパンを販売できることが魅力です。

オーブンフレッシュベーカリー

前項でも紹介したとおり、オーブンフレッシュは焼きたてのパンを表す言葉です。

つまり、オーブンフレッシュベーカリーとは、焼きたてのパンを販売するパン屋を表しています。

最近ではこのスタイルが多様化し、ベーカリーだけでなく、オーブンフレッシュを掲げたカフェなども増え、焼きたてのパンを提供していることを売りにしている業態も増えています。

個人店に多く、顧客に焼きたてのパンを提供することができるのがメリットです。

しかし、焼きたてのパンを提供するというのは、購入状況を見ながらパンの製造を行わねばならず、時間のかかるパンの製造では簡単なことではありません。

インストアベーカリー

大手デパートやスーパーマーケットなどの小売店舗のなかでパンを焼き販売する形態です。

夕方に買い物に来るお客さんに合わせた時間に焼き上がるようにし、集客をあげます。

大手企業が入っていることが多く、インストアベーカリーでは製造スペースが狭いため、工場から運ばれてきた冷凍生地を解凍し、成型して焼き上げるという方法をとっていることが多いです。

しかし、一部スーパーマーケットでは、一から生地を作っているというところも存在します。

サテライトベーカリー

サテライト(satellite)とは、衛星のこと。

セントラル工場で製造したパンを周辺の直営店で販売するベーカリーをさします。

数店舗分のパンをセントラル工場で製造することで、製造設備をそれぞれの店舗に置く必要がなく、一日に数便に分けて搬入することで無駄なく新鮮な状態のパンを提供することができます。

設備投資が大きく、大手企業だからこそできる形態です。

業務用ベーカリー

業務用ベーカリーとは、ホテルやレストラン、学校や病院などと契約し、パンを納入しているベーカリーのことです。

納入先専用のパンを製造している場合もあります。

大手企業でもおこなっていますが、個人店にも業務用ベーカリーは多く、契約後は同じパンを大量に製造するため、管理がしやすく安定した経営収入が見込まれます。

しかし、納入先の経営難や予期せぬ長期休業などで、大量のパンの受け入れができなくなるおそれがあります。

特殊ベーカリー

ある特殊な製品に特化した販売形式をとり、顧客が限定されているベーカリーを特殊ベーカリーといいます。

特殊ベーカリーにはアレルギーを持つ人向けのパンや災害備蓄用のパンの製造・販売などのほか、ドイツパンやフランスパンなどに特化したパンの製造が含まれます。

特殊ベーカリーは高度な設備と技術が必要なため、日本での割合はほんのわずかです。

スーパーベーカリー

スーパーマーケットが経営しているベーカリーのことです。

スーパーのみならず、デパートや生協などと専属に契約している場合もあります。

大手企業に多く、冷凍生地を使うことで販売量に合わせて焼成をおこなうなど調整が可能です。

焼きたてパンの販売は、スーパーやデパートの集客を見込むことができます。

業態ベーカリー

業態ベーカリーは、単に物を売るという形式ではなく、情報のサービスや娯楽空間の提供など、無形のものをパンを通して提供するベーカリーのことです。

異業種との提携が大きく影響しており、最近ではコインランドリーのなかでパンを販売し、待ち時間を利用してイートインできる施設なども増えています。

規模の大小はあれど、大手から個人店までさまざまなパン屋で取り組むことができます。

新しい業態への挑戦という成功への大きな可能性を秘めている一方、まだまだ試行錯誤が必要な領域です。

コンパクトベーカリー

3~4人入ると店内がいっぱいになってしまうほど、小さな敷地で営業しているベーカリーのことです。

店内が狭いため、ショーケースのみを置いて対応しているところも少なくなく、その場合はケーキ屋のように店員に欲しい商品を伝えて購入します。

製造する量が少ないため、製造設備も最小限で済むのが特徴です。

個人店での経営が基本で、お洒落な観光地や静かな高級住宅街などに店を構え、パンだけでなくお店の内装にもこだわりを出せることがメリットです。

しかしお店を一人や二人で営業していることも多く、急な体調不良などに対応できる代わりの従業員がいないということも少なくありません。

まとめ

今回は、パン屋の形態についてご紹介しました。

製造形式から販売形式までとてもたくさんの形態があり、パン屋の形態は時代とともに日々変化しているのがわかります。

その時代に求められるものが残り、新しい形態が生まれているのは、パン屋に限ったことではありませんが、常にアンテナを張っておき変化に対応していくことが、供給量の多いパンの業界では欠かせないものと言えるでしょう。

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