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フィールハニーとは?はちみつで代用は可能?パン作りでの使い方を解説!

パンの材料には、普通の料理では見たこともないような珍しい材料がたくさんありますよね。

菓子パンなどに使われる「フィールハニー」もその一つです。

フィールハニーとはゼリー状に固められたはちみつのことで、おもにパン作りやお菓子の材料として使われています。

パン生地にも混ぜやすく、焼いても形を残したまま仕上がるので、はちみつの風味を感じやすいのが特徴。

さらにはちみつを具材のように楽しむこともできるのです。

とても便利なフィールハニーですが、製菓・製パン材料店でないと手に入りにくいのも事実。

できれば、普段から家に常備している方も多いはちみつで代用できると良いのですが、残念ながら液状で熱によって溶けやすいはちみつはフィールハニーの代用として用いることはできないのです。

ここでは、フィールハニーだからこその用途や使い方について解説したいと思います。

目次

フィールハニーとは

フィールハニーとは、耐熱性の固形はちみつのことです。

原料には、はちみつのほかにゲル化剤などが含まれており、液体であるはちみつをペクチンなどのゲル化剤で固形化し、ダイス状にカットしたものです。

グミのような触感と見た目が特徴です。

高温でも溶けだすことがなく、ゼリーのような形状を保ったままパン生地内に残ります。

フィールハニーという名前以外にも、「固形はちみつ」や「耐熱性固形はちみつ」、「はちみつチップ」や「ゼリー状はちみつチップ」と呼ばれることもあります。

フィールハニーの用途

フィールハニーは、パンやお菓子の練り込みやトッピングとして使われます。

パン作りではおもに生地に練り込んだり折り込むことが多く、お菓子作りではカップケーキの生地に混ぜたり、クッキーのトッピングとして用いることが多いです。

パン作りにおけるフィールハニーの用途としては、次のようなものがあります。

風味や香りを感じやすくなる

はちみつ風味のパンを作りたい場合、はちみつをそのままパン生地に練り込んでしまえばいいのでは?そう思う方も多いかもしれません。

しかし、液状のはちみつをそのままパン生地に混ぜ込んでしまうと、生地にはちみつが馴染んで、はちみつの風味や香りはほのかに感じる程度。甘さも感じにくくなってしまうのです。

実際、パン屋さんなどでパン生地の材料としてはちみつが練り込まれていることもありますが、はちみつの風味や香りを感じるというよりは、砂糖よりも保湿性が高いため、パン生地をしっとりさせる目的で使われていたり、はちみつに含まれる酵素の影響で発酵が促進され、生地がふんわり膨らみやすくするために使われていることが多いです。

はちみつの風味や香りを楽しみたい場合に、フィールハニーは熱に溶けにくく生地内に塊のまま残るため、はちみつ本来の風味や味、まろやかな優しい甘さを直に感じやすくなります。

食感を楽しむことができる

フィールハニーはペクチンなどのゲル化剤で固めたもので、グミのような感触をしています。

加熱することで柔らかくはなりますが、熱で溶けてしまうことがなく塊のまま形状を保つことができます。

パン生地にフィールハニーを混ぜ込むことで具材のようになり、はちみつの風味や香りだけでなく“食感”も楽しむことができるのです。

フィールハニーの使い方

パン作りでフィールハニーを用いる場合は、おもに練り込んだり折り込んだりして使用します。

それぞれ、使うタイミングやフィールハニーを使う上での注意点を紹介しましょう。

フィールハニーを使うタイミング

フィールハニーは、ミキシングの段階で入れる方法と、成形の段階で入れる方法とがあります。

生地に全体的に混ぜ込みたい場合はミキシングの段階で入れ、マーブル状に入れたかったり、フィールハニーの部分と生地の部分の対比を楽しみたい場合は成形の段階で、折り込むように加えるのがおすすめです。

ミキシング段階で入れる場合

ミキシングの段階で生地に混ぜ込む場合は、ミキシングが完了する少し手前の段階で加えます。

ミキシングが8~9割くらい終了したところでフィールハニーを加え、全体に馴染むようにさらにミキシングをしていきます。

ドライフルーツやナッツなどを生地に混ぜ込むときと、同じような要領で混ぜると良いでしょう。

成形の段階で入れる場合

成形の段階で入れる場合は、フィールハニーを生地で包み込むように混ぜていきます。

食パンなどの場合はめん棒で広げた生地の上に、フィールハニーを散らすようにのせ、巻き込むように成形すると良いでしょう。

出来上がったパンをカットすると、断面がマーブル状に仕上がります。

分量の違いによるパンへの影響は?

フィールハニーをパンに使う場合の分量は、ベーカーズパーセントで20~30%程度を上限にするのが理想です。

少ない量であれば、パン生地に対してフィールハニーの割合が少なくなり、はちみつの味を感じにくくなりますが、パン生地そのものへの影響は特にありません。

しかし、フィールハニーをあまりにもたくさん入れてしまうと、グルテンの形成を阻害し、一次発酵や二次発酵で膨らみにくくなってしまうのです。

さらに、成形時にフィールハニーを多く入れすぎた場合も、フィールハニーの重さによって二次発酵で生地が膨らみにくく、焼成時に窯伸びしにくくなります。

フィールハニーを使わない方が良い場合

フィールハニーを使わないほうが良い場合というのは、生地そのものの風味や味を楽しみたい場合などを除けば特にありません。

グルテンの形成を阻害するなど、パンの作業性や仕上がりに影響を与えるのは、フィールハニーの使用量によるものです。

適正な分量であれば、フィールハニーを使うこと自体にパンの製造に大きな影響を与えることはほとんどないでしょう。

ただし、一つ気を付けなければいけないのは、1歳未満の乳幼児の摂取です。

腸内環境の整っていない1歳未満の乳児は、はちみつに含まれるボツリヌス菌に対して抵抗力がありません。

ボツリヌス菌が原因で乳児ボツリヌス症を起こす可能性があるので、乳幼児が食べる想定のパンには使用することができません。

これはパンそのものに限ったことではなく、パン粥として食べる時期でも同様に避けるべきです。

フィールハニーは代用できる?

フィールハニーを普段から常備しておくのはなかなか難しいもの。

珍しい食材だけに、タイミングによっては手に入らないこともあるかもしれません。

そんなときに、フィールハニーの代わりにはちみつを使えたら便利ですよね。

しかし、はちみつはフィールハニーの代用としては使うことができないのです。

フィールハニーを使うことで、はちみつの風味や食感を感じることができますが、これはフィールハニーが熱で溶けにくく固形であるため。

残念ながら液状で熱に溶けやすいはちみつでは生地に形を残したまま混ぜ込むのは難しく、フィールハニーの代用として用いることはできないのです。

フィールメープルで代用

フィールハニーの代用としておすすめなのが、フィールメープルです。

フィールメープルはフィールハニーと同じように、メープルシロップをペクチンなどのゲル化剤を利用して固めたもの。

単に味がはちみつかメープルかの違いなので、フィールハニーを使う要領で使用することができます。

フィールハニーと比べるとフィールメープルの方はやや価格もお手頃となっており、何よりボツリヌス菌の心配もありません

食物アレルギーのリスクを除けば、乳幼児でも10か月ごろから少しずつ食べさせることができます。

粒ジャムで代用

フィールメープルのほかに、フィールハニーの代用としておすすめなのが「粒ジャム」です。

粒ジャムは、はちみつなどの原料を澱粉で固形状にしたもの。

フィールハニーもカテゴリーとしては粒ジャムの一種として分けられていることもありますが、通常「粒ジャム」として販売されている商品は、ゲル化剤ではなく澱粉を使ったもののことです。

フィールハニーがグミのような感触であるのに対し、粒ジャムはやや硬く、ラムネのような感触であるのが特徴です。

粒ジャムを使うには、水分と蒸気、温度と時間が必要。

粒ジャムが生地の水分を吸い、熱を加えることでジャム状に溶けるのです。

フィールハニーと違って熱で溶けてしまいますが、固形状なので生地に混ぜやすく、粒ジャムは溶けるまでには10分ほどかかります。

生地が焼成によって固化する間にゆっくり溶けるので、生地のなかに一体化してしまうことはなく、ジャムが入り込んでいるように仕上がるのです。

水分を必要とする粒ジャムは、トッピングで使うことはできず、必ず生地のなかに入りこんだ状態で使わなければいけません。

使用するのに慣れが必要なうえ、粒ジャムの原料は、はちみつよりも糖類の方が多くなっているため、はちみつがメインのフィールハニーと比べると風味や香りは劣るかもしれません。

しかし、粒ジャムは味の種類が多く、使い慣れるとパン作りのバリエーションを広げることができるのでおすすめです。

まとめ

はちみつの風味や香りを楽しめたり、具材として食感を楽しむことができるフィールハニー。

残念ながら、はちみつで代用することはできませんが、フィールメープルや粒ジャムなど、フィールハニーの代用として使うことができる商品も存在します。

目的や使い勝手に合わせて、選んでみると良いでしょう。

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この記事を書いた人

医療技術系短大卒業後、バイオ系研究室テクニシャンなどを経て、現在はフリーランスのライターとして活動中です。
製パンスクールのプロコースを卒業した経歴を活かし、実践に役立つ製パン知識を、よりわかりやすく科学的にお伝えします。
食育アドバイザー、幼児食インストラクター資格保持。

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