オイルコーティングされていないレーズンの見分け方!オイルの取り方も紹介!
自家製酵母作りによく使われる素材として人気のドライフルーツ。
一般的にオイルコーティングされているものが多く、自家製酵母を作るときには少々注意が必要です。
イーストにはない旨味や味わいをもたらすことができる自家製酵母ですが、今回はそんな自家製酵母の注意点と、オイルコーティングされていないドライフルーツの選び方について解説していきます。
自家製酵母とは
酵母は真菌と呼ばれる微生物の一種で、穀物や土壌、水中など自然界のあらゆるところに存在しています。
そのなかにはパン作りに適したサッカロミセス・シルヴィシエという菌が存在し、その菌の発見により製パンの技術は発展を遂げてきました。
パンの発酵に使われる酵母には、サッカロミセス・シルヴィシエだけを集めて作られたイーストや、酢酸菌や酪酸菌などの菌を含んで製品化された天然酵母がありますが、自家製酵母とは、果物や穀物などから自分で酵母を培養したものです。
酵母を自分で培養することは、温度管理や発酵状態の見極めなど非常に難しく、完成した自家製酵母を使ったパン作りにおいては、生地の発酵にもイーストなどと比べて時間と手間がかかります。
しかし、イーストにはない旨味や味があり、自家製酵母ならではの奥深さを楽しむことができるのが魅力です。
オイルコーティングとは
自家製酵母作りに使われることの多い、レーズンやクランベリーなどのドライフルーツでは、一般的にオイルコーティングがされています。
オイルコーティングとは、フルーツを熱風や天日干しで乾燥させたり、砂糖漬けにしたあと乾燥させたりしてできたドライフルーツの表面に、油を付着させた状態のものです。
オイルコーティングされている理由
オイルコーティングは、さまざまなメリットから多くのドライフルーツにされています。
オイルコーティングされている主な理由には以下のようなものがあります。
袋が曇らないようにするため
ドライフルーツはオイルコーティングされていないと、ドライフルーツから出る糖分により商品の袋が白く曇ってしまうことがあります。
品質には何ら問題はありませんが、この曇りを避ける目的で表面をオイルでコーティングしているのです。
ドライフルーツ同士がくっつくのを防ぐため
オイルコーティングされていないドライフルーツは、フルーツに含まれる糖が表面に出て、ドライフルーツ同士がくっつきやすくなります。
オイルコーティングすることで加工の際にほぐれやすくなり、作業効率を上げることができるのです。
そのため、オイルコーティングされていないドライフルーツの方が手間のかかる分、価格もやや高めになっています。
水分の蒸発を防ぐため
表面がコーティングされていないと、時間の経過とともにドライフルーツの水分が蒸発し、ドライフルーツに含まれる糖が結晶化して硬くなってしまいます。
一つ一つのドライフルーツに硬さの違いがでることもあり、個々のムラを防ぐためにもオイルコーティングが行われているのです。
オイルコーティングされているドライフルーツでも自家製酵母は作れるのか
ほとんどの商品にオイルコーティングされていると言って良いほど、ドライフルーツはオイルコーティングされているものが一般的です。
このようにオイルコーティングされたドライフルーツでは酵母の培養が阻害され、発酵しづらくなります。
コーティング処理の際にも、熱などの影響で酵母が死んで、数が減ってしまっている恐れもあります。
自家製酵母作りに使用する場合は、オイルコーティングされていないドライフルーツを選ぶのが賢明です。
オイルコーティングされていないドライフルーツの選び方
オイルコーティングされていないドライフルーツはなかなか手に入りづらいものですが、ここでは、そのようなオイルコーティングされていないドライフルーツの選び方について説明していきたいと思います。
原材料表記の見方
オイルコーティングされているドライフルーツの場合には、原材料にも油が記載されています。
植物油脂と書かれていることが多く、オイルコーティングなしを探す場合はそのような表記がなく、原材料にぶどうなどのフルーツしか書かれていないものを選ぶと良いでしょう。
また、オイルコーティングされているものは、表面がツヤツヤしているのも特徴で、見た目にもオイルコーティングされていないドライフルーツとの違いがあります。
どこに売ってあるの?
自家製酵母作りにはオイルコーティングされていないドライフルーツを選びたいところですが、一般的なスーパーではなかなか見ることがありません。
ここでは、オイルコーティングされていないドライフルーツが、比較的手に入りやすい購入場所を紹介していきたいと思います。
製菓材料専門店
製菓材料専門店で販売してあるドライフルーツは、オイルコーティングされているものからされていないものまで、幅広く取り扱っています。
また、製菓材料専門店では自家製酵母作りに適したドライフルーツを、直接店舗スタッフに相談しながら購入できるのも魅力です。
自然食品のお店
自然食品を取り扱っているお店は、有機レーズンや無添加表示のドライフルーツを置いていることが多く、オイルコーティングなしのドライフルーツを取り扱っています。
洗ったりすることのないドライフルーツは、有機レーズンなど安全性の高い商品を選ぶと安心です。
生協などでも取り扱っているので、探してみると良いでしょう。
ネット通販
なかなか近くに製菓材料専門店や自然食品のお店がない場合は、ネット通販を利用するのが便利。
フルーツの種類も豊富なので、珍しい素材での自家製酵母作りにも挑戦できます。
ドライフルーツが余ったら
オイルコーティングされていないドライフルーツは、開封すると時間の経過とともに水分が蒸発し硬くなってしまうため、できるだけ早めに使うのがおすすめです。
しばらく使う予定がなければ、消毒した瓶に移し替え、ラム酒に漬けておくとドライフルーツのラム酒漬けが出来上がります。
保存状態が良ければ一年ほど保つので、パン作りの材料としても使えます。
オイルコーティングされているドライフルーツの対処法
オイルコーティングされていないドライフルーツは、すぐに使えて便利なものの、購入場所が限られていて一般的なスーパーではなかなか手に入らないのが現状です。
ネット通販では送料がかかることも多く、初めて自家製酵母作りに挑戦する場合は、まとめ買いするのもハードルが高いもの。
どうしてもオイルコーティングされていないドライフルーツが手に入らない場合は、オイルコーティングされているドライフルーツを使って自家製酵母を作ってみるのも手です。
オイルを剥がすことは可能?
オイルコーティングされているドライフルーツは、自分でオイルを剥がすことができます。
なかなか手に入らない場合は、オイルコーティングされているドライフルーツを購入して、自身でオイルを剥がして使ってみましょう。
オイルの剥がし方
オイルは熱湯で簡単に剥がすことができます。
ドライフルーツをざるに入れて、全体にまんべんなく熱湯をかけて剥がします。
鍋などで沸かした熱湯の中に、直接入れて泳がすようにしても良いでしょう。
熱湯の中につける場合は、数秒ほどで鍋からあげてください。
熱湯をかけてオイルを剥がしたドライフルーツは、ドライフルーツ同士がくっつかないように一つ一つ離して乾かします。
水分が残っているとカビなどの原因となるので、しっかり乾かしましょう。
オイルを剥がしたドライフルーツでも自家製酵母は作れる?
熱湯でオイルを剥がしたドライフルーツは、酵母が死滅さえしていなければ、自家製酵母作りの素材として使用することができます。
そもそもオイルを剥がす必要はある?
オイルコーティングされているドライフルーツを自家製酵母作りに使いたければ、オイルを剥がさずにそのまま使用することもできます。
しかし、ドライフルーツに付着する酵母の活性をより発揮するためには、出来る限りオイルは剥がして使う方が良いでしょう。
熱湯をかける際はさっとオイルが落ちる程度にしておくのがベスト。
あまり熱湯をかけすぎると、大事な酵母までも失ってしまいます。
また、通常オイルコーティングされていないドライフルーツを使う場合も、酵母が剥がれてしまわないよう水などでは洗わず、そのまま使います。
まとめ
自家製酵母はドライフルーツだけでなく、野菜や穀物などでも作ることができます。
さまざまな素材にチャレンジするうえでも、ドライフルーツは最初の登竜門。
オイルコーティングなしのドライフルーツでも、オイルコーティングされたドライフルーツでも、酵母の力をどれだけ引き出せるかが重要です。
ドライフルーツを使った自家製酵母作りは、比較的成功しやすく初心者にもおすすめです。
また、癖がないためあらゆるジャンルのパンに使用することができます。
イーストにはない複雑な旨味や味わいを楽しむことができ、製パンの幅を広げることができるのも自家製酵母の醍醐味と言えるでしょう。