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パン生地をミキシングする目的とは?最適なステージを目指してグルテンを作ろう!

ミキシングとは、パンを作るための材料を混ぜ合わせる工程です。

さらに言いますと、ミキシングとはグルテンをうまく作り出すための工程を指します。

ミキシングによって生地の出来は左右されるため、とても重要な作業となります。

今回は、そのミキシングについて深く掘り下げていきましょう。

目次

なぜミキシングする必要があるのか

ミキシングする目的としては、グルテンという物質を作り出すことです。

このグルテンを上手にコントロールすることによって、生地はさまざまな形や食感となり、自分の思い描いた生地に仕上げて行くことができるようになります。

そしてこのグルテンという物質は、小麦粉にしか含まれないタンパク質から作られるのです。

グルテンの役割

ではそもそも、そのグルテンとはどういうものなのでしょうか。

グルテンは、パンの豊かな風味やふっくらとした食感を楽しむために大切な要素です。

小麦やライ麦などから生成されるタンパク質の一種であるグルテニングリアジン、これらの2つの成分と水を混ぜ合わせることによって、グルテンを作り出します。

グルテンは弾力性と粘着性を持った物質で、このグルテンが酵母菌からのガスを閉じ込めることにより膨れ上がり、ふっくらとしたパンの食感を作ることができます。

うどんなどの小麦由来の加工品にも、グルテンの弾力性と粘着性が不可欠な要素であり、食感を決める大事な要素です。

この小麦粉のタンパク質の含有量の違いで、強力粉、中力粉、薄力粉とわけられています。

天麩羅などでは、生地が膨らんでしまわないようにする必要があるため、薄力粉を使い、グルテンを生成しないように水と混ぜないように調理していきます。

一方、粘着性が必須なパンなどを作る際には、強力粉を使って捏ねていく必要があります。

また、作りたいパンの種類によってもこねる時間は変わります。よくこねる必要のあるもの、こねすぎは良くないものもあります。

ここからは、スタンダードな状態での生地の状態を6段階にわけて行きます。

ミキシングによる生地の変化(ミキシングの6段階)

1段階目 ピックアップステージ(つかみ取り段階)

小麦粉に水を吸わせる段階です。まずは、粉を水と均等に混ぜ込むイメージで柔らかく混ぜ合わせます。

2段階目 クリーンナップステージ(水切れ段階)

水が吸収され、まとまった段階です。

生地がボウルに付着しなくなるところです。

3段階目 ディベロップメントステージ(結合段階)

この段階でグルテンが結合されベタつきが少なくなり、伸び、弾力が出てきます。

4段階目 ファイナルステージ(最終段階)

伸ばすと滑らかに伸び、弾力がでます。

この辺りから生地がさらっと乾いているような感じになります。結合力が理想的な状態です。

5段階目 レットダウンステージ(ふ切れ段階)

再び生地に湿り気が見られるようになり、弾力性が失われた、粘着性がでてきます。既にバランスが崩れ始めている状態です。

6段階目 ブレークダウンステージ(破壊段階)

どんどん粘着性が増していきます。

弾力性も無くなっていきます。

ミキシングの6段階の解説

1ー4番まではグルテンを育てる工程言え、それからはどんどん壊れて失われていく過程と言えます。

狙うのは4段階目というわけです。

4段階目を長くすることができる材料も存在していて、食塩、砂糖、卵、油脂などが適度に混ぜ込んであげることです。

そうすることにより4段階目伸ばすことができ、生地が作りやすくなります。

オーバーミキシングとアンダーミキシング

ミキシングのし過ぎのことをオーバーミキシング(5段階目)、ミキシングの少ないことをアンダーミキシングといいます。

ミキシングをしすぎることでパンが過剰に膨らみ、不揃いで風味が劣るものになります。

また、足りない場合は発酵が進みづらく、膨らまない、硬いといったものになります。

何度もミキシングをすることで、最適なタイミングを感覚的に身につけることができるというわけです。

これにさらに、季節による水分量の違いで生地に水を足す量を変えたり、粉の種類によるタンパク質の含有量でのグルテン生成のためのタイミングの違いを変えたりといった、考えなければならないことが出てきます。

生地がベタつく場合は粉を足し、生地がかたい場合は水を足す

4段階目を目指して作る過程で、生地がベタついたり、思ったよりかたいということも起こると思います。

生地がベタつく場合は大さじ1杯ほどの粉を足して調整します。

また、もう一つベタつく理由として考えられるのが、生地の温度が高すぎる可能性も考えられるため、生地を冷やす必要があるかもしれません。

反対に、かたい場合は小さじ1杯ほどの水を加えてみることです。

そのくらいの少量を足してみて様子を見ていただいて、さらに足したりなどの調整を、加えていきます。

加える水は必ず温水を使う必要があります。

冷水を加えてしまうと、小麦粉にふくまれるグリアジンとグルテニンが冷たくなってなかなかグルテンの膜を作ってくれなくなってしまいます。

また、ベタつく時と同じような理由で生地の温度が低すぎる可能性があります。

反対に今度は生地の温度を少しあげる必要があります。

生地の吸水量は一般的に粉100に対して水を含めた牛乳、卵、油脂などの液体系で64〜75あたりの配合率にするのが良いと思います。

小麦粉を引き立てる材料

ミキシングをする上で、生地以外にも混ぜ合わせることでさまざまな効果を持っているものがあります。

食塩・砂糖・卵・油脂が適切に入っていることで4段階目を長くすることができます。

そして、さらにこれらの素材の特徴をお伝えします。

砂糖

甘みと香りをつけ、イーストの栄養になります。

イースト菌に栄養を与えることで発酵を助けてあげることができます。

その分ふっくらやわらかく仕上げることがしやすくなります。

うどんにも加える塩ですが、生地にコシをつけてくれます。

風味をよくし、雑菌の繁殖を防ぎ、生地に弾力や伸びを与えます。

まず、コクや風味を良くすることができます。

生地に対しては、焼き上げる際に卵白が生地の膨らみを助けてくれます。

そして卵黄は生地の色味を変えてくれます。

生地は温度に敏感なため、常温に戻してから使うようにしましょう。

油脂(バターやマーガリン)

生地の中のグルテンに沿って膜を作り、グルテン同士の潤滑油の役割を果たすことにより生地の伸びが良くなります。

これらの油脂を生地に加えるタイミングは、生地が8割くらいできた段階がいいと言われています。

こちらもやはり、常温に戻して使うようにしましょう。

水は温度が大事で、イースト菌がうまく活動しやすいような温度にする必要があります。

目安は35度前後です。

60度を超えると死滅してしまいます。

外気温とも関連があるため、夏は低め、冬は高めに調整しておくのがいいです。

目安は以下の通りです。

  • 春:35℃
  • 夏:30℃
  • 秋:35℃
  • 冬:40℃

夏は水温を少し下げることで、発酵時に生地の温度が高すぎるために発酵が進み過ぎてしまうのを抑えます。

これとは反対に、冬は発酵を促すために水温は少し高めに設定します。

それと、先にも触れましたが粉の種類ですね。

強力粉などのタンパク質の含有量が多いものは比較的耐えられます。

反対に、全粒粉や薄力粉はグルテンが壊れてしまいやすいです。

おわりに

以上のように、ミキシングを深掘りしていくと、どこまでも掘り続けることができる奥が深いものであり、とても重要なものだということがわかります。

何度もミキシングを行うことが唯一の上達の道です。自分が仕上げたい理想の生地を目指していきましょう。

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この記事を書いた人

某ライフスタイルを提案する書店にて料理・旅行に関する本を主に担当し、毎月様々な担当ジャンルの特集やイベントなどを企画、開催をしていました。
趣味が高じてアウトドア業界に転職後、現在イギリスに渡英し語学や文化を勉強中です。
ジャンルを越えて横断的に興味のあることを追求してく日々を送っています。

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