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フランスパン専用粉とは?強力粉との違いは?他の粉での代用方法も紹介!

フランスパン専用粉は、製品としてフランスパン専用粉という名で販売されているため、フランスパンを作るときに何気なく使用しているという方も多いかもしれません。

フランスパン専用粉と、一般的なパンで使用する強力粉とは何が違うのでしょうか?

その違いはたんぱく質の量。

フランスパン専用粉は、強力粉に比べてたんぱく質含有量が少なく、フランスパンなどのリーンなパンを作るのに非常に適した小麦粉なのです。

ここではフランスパン専用粉について、ほかの粉との違いや、代用方法を紹介したいと思います。

目次

フランスパン専用粉とは

フランスパン専用粉は強力粉に比べてたんぱく質の量が少なく、グルテンの含有量が少ないのが特徴。

一般的には準強力粉と呼ばれているものです。

メーカーによっては、中力粉も同様のものとして扱われています。

フランスパン専用粉は強力粉と比べて灰分が多いため、パンに香りやコクを感じることができます。

強力粉はもちもちした食感が強いため、日本人好みのパンを作りやすいのですが、フランスパン専用粉でも叩きつけるように捏ねるなど、工夫をすることで強力粉にはない香りやコクの強いソフトフランスパンを作ることができます。

フランスパン専用粉と準強力粉・中力粉の違いは?

フランスパン専用粉と準強力粉・中力粉は同様のものとして扱われていると説明しましたが、これはどういうことでしょうか?

その違いについて見ていきましょう。

小麦粉の違いについて

粉の性質を比較するうえで、まず知っておきたいのがその分類方法。

一番違うのはたんぱく質の量で、日本の小麦粉は基本的にたんぱく質の量の違いで小麦粉が分類されています。

たんぱく質の量は強力粉がもっとも多く、次に準強力粉、中力粉、薄力粉の順で少なくなっていきます。

また、小麦は細胞質の硬さの違いで硬質小麦、中間質小麦、軟質小麦に分けることができます。

硬質小麦の細胞質は硬く、デンプン粒にしっかりとくっついた状態で存在しています。

この小麦を粉砕したときに、デンプン粒とくっついた硬質小麦は大きく崩れやすく、粒子が粗くなります。

一方、軟質小麦の細胞質は軟らかく、デンプン粒と離れやすい状態で存在しているのです。

粉砕してもほとんど細胞質やデンプン粒が損傷することがなく、粒子は細かくなります。

損傷デンプンは吸水性が高いという性質があり、硬質小麦の方が中間質小麦や軟質小麦に比べて吸水性が高く、もちもちとした食感になりやすい特徴があります。

フランスパン専用粉は準強力粉

フランスパン専用粉と準強力粉は、基本的には同じと考えて良いでしょう。

フランスパンに使用する小麦粉は準強力粉が一般的。

フランスパンを作るのに適した小麦粉であることがわかりやすいようにと、メーカーや商品によっては準強力粉を「フランスパン専用粉」と記載して販売しているのです。

準強力粉に含まれるたんぱく質の割合は、製品によって違いがありますが、強力粉のたんぱく質の量が11~13%であるのに対し、準強力粉は10~12%と、強力粉に比べて少ない量です。

一方、灰分は強力粉よりも多いのが特徴です。

小麦粉の性質としては、強力粉と中力粉の中間の性質を持ち、硬質小麦または、硬質小麦と中間質小麦を混ぜたものでできています。

フランスパンを作るとカリッと軽い食感に仕上がるため、もっともフランスパン作りに適した小麦粉として、各製粉メーカーではフランスパン専用粉として販売しています。

中力粉は準強力粉よりもたんぱく質が少ない

強力粉と薄力粉の、中間の小麦粉と言われているのが中力粉です。

中力粉のたんぱく質の量は9%前後と、準強力粉よりもさらにたんぱく質の量が少ないのが特徴。

薄力粉のたんぱく質の量は6.5%~8.5%ほどなので、強力粉よりはやや薄力粉寄りの小麦粉です。

おもにうどんやお好み焼き、たこ焼きの材料として使われています。

実際に使ったことがないという方も多いかもしれませんが、日本人にとっては実は非常に馴染みのある小麦粉なのです。

中力粉のたんぱく質の量は9%ほどですが、準強力粉は製品によって幅があるため、たんぱく質の少ない準強力粉では、中力粉とあまり変わらないものもあります。

そのため、メーカーによっては準強力粉と中力粉を同等のものとして扱っているところもあります。

実際には、中力粉は中間質小麦または、中間質小麦と軟質小麦を混ぜたものから作られているため、たんぱく質の量が変わらなくても、まったく同じものというわけではありません。

なぜフランスパンは強力粉を使わない?

小麦粉は、たんぱく質の量が多いほどグルテンを形成しやすくなります。

強力粉は小麦粉のなかでも、もっともたんぱく質の量が多い小麦粉。

グルテンを形成するグリアジンとグルテニンというたんぱく質が約85%も含まれているのです。

強力粉で作るパンは、グルテンの作用で生地に弾力と伸展性が生まれ、ふっくらボリュームのあるパンに仕上がります。

しかし、フランスパンはクラストを楽しむパンとして発展したもの。

パリッと軽く、噛み応えのある食感に仕上げたいフランスパンには、ふっくらとボリュームの出る強力粉は適さないのです。

また、フランスパンの軽い食感と、風味や旨味を感じるうえで欠かせないのが大きな気泡。

フランスパンに使う準強力粉は、強力粉と比べグルテンが少ない小麦粉です。

グルテン膜が薄く切れやすいことで、隣り合う気泡がくっつき、フランスパン特有の大きく数の少ない気泡が生まれます。

おすすめのフランスパン専用粉

日本では、フランスパンを作るのにおすすめの小麦粉を、各製粉メーカーがフランスパン専用粉として販売しています。

そのため、フランスパン専用粉と名前が付いているものは、どれも美味しいフランスパンを作ることができおすすめです。

ここでは、なかでも特におすすめのものを紹介していきたいと思います。

リスドォル / 日清製粉

リスドォルは、フランスパン専用粉としてもっとも知名度の高い小麦粉ではないでしょうか?

クラストはパリッと軽く、クラムはしっとりとしておりバランスが良いため、老若男女問わず食べやすいフランスパンを作ることができます。

ほとんどの製パン・製菓材料店が扱っており、手に入りやすい小麦粉なので、お家で頻繁にパンを作る方にもおすすめです。

選び方の基準

もちもち食感弱い
小麦の風味・香り普通
色の白さ普通
甘み・うま味弱い

タンパク質・灰分・原産地

タンパク質10.7%
灰分0.45%
原産地アメリカ、カナダ、オーストラリア

フランス / 鳥越製粉

フランスは日本で最初に作られたフランスパン専用粉。

作業性の良さから、パン教室などでも多く使われています。

パン作りを始めて間もない方、フランスパンには初めて挑戦するという方に特におすすめの小麦粉です。

選び方の基準

もちもち食感強い
小麦の風味・香り普通
色の白さ普通
甘み・うま味普通

タンパク質・灰分・原産地

タンパク質12.0%
灰分0.43%
原産地カナダ、アメリカ、日本

メゾンカイザートラディショナル / 日清製粉

フランスの著名なパン職人で、メゾンカイザーのオーナでもあるエリックカイザー氏と、日清製粉が共同開発したフランスパン専用粉です。

お家でパン作りをする方の中でも、特に本格的なフランスパンを作りたい、粉にこだわりたいという方に人気で、クラストはバリっとしっかりとした食感で、濃い茶色に仕上がります。

非常に風味豊かで、旨味を感じることができる小麦粉です。

選び方の基準

もちもち食感普通
小麦の風味・香り強い
色の白さ弱い
甘み・うま味強い

タンパク質・灰分・原産地

タンパク質11.6%
灰分0.43%
原産地北米、オーストラリア

フランスパン専用粉を他の粉で代用する

フランスパン専用粉を使わなくても、他の粉を使ってフランスパンを作ることができます。

フランスパンを定期的に作るわけではないという方は、自宅にある他の粉で代用してみると良いでしょう。

ただし、代用する粉の違いで味や香り、食感などが変わります。

準強力粉で代用する

前述のように、フランスパン専用粉とは準強力粉のことです。

準強力粉はフランスパンなどのハード系のパンに使われる小麦粉であるため、フランスパン専用粉ではなくても、準強力粉を使って同じようにフランスパンを作ることができます。

ただし、準強力粉と言ってもメーカーによってたんぱく質の量には違いがあります。

10~12%と幅があるため、ソフトでボリュームのあるフランスパンを作る場合は、たんぱく質の量が多い準強力粉を選ぶと良いでしょう。

中力粉で代用する

中力粉は準強力粉よりもさらにたんぱく質の量が少ない小麦粉です。

そのままフランスパン専用粉の代用として使うことはできますが、クラムのもちもちとした食感は少なく、サクサクとした食感に仕上がります。

強力粉・中力粉で代用する

準強力粉を除いて、フランスパン専用粉の代用として用いるなら、強力粉と中力粉のブレンドが一番おすすめです。

強力粉のもちもちとした食感と、中力粉のパリパリとした食感を組み合わせることができます。

フランスパン専用粉や準強力粉の性質により近づけたいのであれば、強力粉と中力粉の比率は


強力粉:中力粉 = 8:2


で代用するのがおすすめです。

たんぱく質の量だけで考えると、一見、強力粉と中力粉は同量で使うのが良さそうに感じますが、強力粉と中力粉の違いはたんぱく質の量だけではありません。

強力粉は硬質小麦から作られており、損傷でんぷんの割合が多く、吸水性が高いためもちもちとした食感になります。

それに対し、中力粉は中間質小麦や、中間質小麦に軟質小麦を混ぜたものからできています。

損傷でんぷんが少なく、吸水性は高くないため、もちもちとした食感はあまりないのです。

クラムのもちもちとした食感を出すためには、強力粉の比率を高くするのが良いでしょう。

リスドォルのような、たんぱく質が少ないフランスパン専用小麦粉に近づけたい場合は、強力粉と中力粉の割合を、7:3にするのもおすすめです。

強力粉・薄力粉で代用する

中力粉はなかなか家にあるという方は少ないかもしれませんが、薄力粉ならあるという方は多いのではないでしょうか?

フランスパン専用粉の代わりに強力粉と薄力粉を使ってフランスパンを使う場合は、強力粉と薄力粉の比率を


強力粉:薄力粉 = 8:2


と、強力粉:中力粉の場合と同じように使用します。

薄力粉のたんぱく質は6.5~8.5%ほどと幅がありますが、多くの製品が8.5%前後です。

そのため、中力粉と同じ割合で使用します。

ただし、薄力粉は軟質小麦からできており、中力粉よりもさらに吸水性が低く、もちもちとした食感は少なくなります。

スーパーバイオレットのように、サクサクと軽い食感のお菓子作りに向いている薄力粉は、たんぱく質の量が6.5%前後と薄力粉のなかでも少なめ。

このような小麦粉を使う場合は、強力粉と薄力粉の割合を9:1にしてみても良いでしょう。

強力粉・中力粉・薄力粉で代用する

強力粉と中力粉、薄力粉で代用する場合は、比率を


強力粉:中力粉:薄力粉 = 8:1:1


で使用します。

強力粉に薄力粉だけ加えたときよりも、中力粉を加えた場合の方が、よりクラストはパリパリしつつ、クラムはもちもちに仕上がります。

まとめ

フランスパンはフランスパン専用粉だけではなく、ほかの小麦粉で代用することができます。

基本的には強力粉の割合を8割にすれば、どの粉を合わせても比較的美味しくフランスパンを作ることが可能です。

もちろん、準強力粉を使えばブレンドする必要はありません。

食感は少しずつ違うので、好みに合わせて選んでも良いですね。

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この記事を書いた人

医療技術系短大卒業後、バイオ系研究室テクニシャンなどを経て、現在はフリーランスのライターとして活動中です。
製パンスクールのプロコースを卒業した経歴を活かし、実践に役立つ製パン知識を、よりわかりやすく科学的にお伝えします。
食育アドバイザー、幼児食インストラクター資格保持。

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