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赤?青?金?サフのイーストの違いは?用途や特徴、使い分け方を解説!

赤サフや金サフなどで知られるサフのイースト。

サフとは世界最大級のイースト製品製造会社であるルサッフル社の通称です。

創業150年以上の老舗メーカーで、世界中のベーカリーで愛用されていることもあり、パン作りをおこなう方のなかでもサフのイーストを好んで使っているという方も多いのではないでしょうか?

通常タイプの赤サフに加え、耐糖性タイプの金サフ、ビタミンCが添加されていない青サフとさまざまな種類があるのがサフのイースト。

ここではその用途や特徴、使い分け方を紹介していきたいと思います。

目次

イーストを使い分ける判断基準

イーストと一口に言ってもさまざまな種類があり、パンを作る製造方法や作りたいパンに合わせて使い分けなければいけません。

ここでは赤いパッケージは赤サフ、青いパッケージは青サフ、金色のパッケージは金サフとして説明していきます。

パン製法による使い分け

ルサッフル社が出しているイーストには、おもにセミドライイースト、インスタント・ドライイースト、ドライイーストがあります。

それぞれ、パン製法によって使い分ける必要があります。

ストレート法や中種法はほとんどのイーストで対応することができますが、リロンデルというセミドライイーストは、長時間発酵をしても生地が発酵しすぎないように長時間発酵に適したイーストとして開発されたものです。

通常タイプのイーストも使用することはできますが、長時間発酵をおこなう場合は冷蔵庫内でも安定した状態が保てるように開発されている専用のイーストを使うのが良いでしょう。

リッチとリーンによる使い分け

リッチなパンとは卵やバター、砂糖などの副材料が多く入る菓子パンのこと。

リーンなパンとは副材料の入らないフランスパンなどが該当します。

リッチなパンに使用するイーストは、卵やバターなどの副材料の量によって使いわける必要はありません。

ただし、砂糖の多い生地の場合は、通常のイーストでは酵母の働きが阻害され発酵しにくくなります。

そのため、耐糖性タイプのイーストを使用する必要があるのです。

このことについては、後述する「耐糖性による使い分け」でもう少し詳しく説明しましょう。

リーンなパンはその風味を最大限に引き出すため、長時間発酵でゆっくり旨味を出します。

長時間発酵に適したイーストを使用するのが良いでしょう。

ビタミンCの有無による使い分け

サフのイーストのなかでは、青サフのみビタミンCが含まれていませんが、ほとんどのイーストにビタミンCが添加されています。

ビタミンCを加えることで、生地が弱酸性に傾き生地を引き締めてくれます

水分の多い生地では生地がダレやすく、作業性が悪くなります。

特に初心者のうちは生地の扱いが難しいため、グルテンが強化されるようにビタミンCが添加されているイーストを選ぶと良いでしょう。

耐糖性による使い分け

赤サフと青サフは低糖生地用で、金サフは多糖生地用となっています。

酵母のえさとして砂糖が必要ですが、砂糖が多すぎると酵母の持つインベルターゼという酵素がどんどん糖類を分解。

浸透圧の影響で酵母の中の水分が外に出て、発酵を阻害してしまうのです。

とはいえ、たくさんの砂糖を入れて作るのが菓子パン。

砂糖が多くても発酵を阻害しないように、あらかじめインベルターゼ活性の低いイーストを作ったのが耐糖性のイーストなのです。

冷凍耐性による使い分け

パン屋の形態として、一つの工場で生地を仕込んで冷凍し、各店舗に運んで解凍したあと、さまざまな形に成形してパンを作るベイクオフというものがあります。

通常、イーストは冷凍によって細胞内のプロテアソームという酵素複合体がダメージを受け、発酵力が落ちてしまうと考えられています。

そこでプロテアソームの機能を強化し、冷凍に対して耐性のあるイーストを作ったことで、冷凍生地にも対応することができるようになったのです。

冷水耐性による使い分け

パンは種類ごとに適した捏ね上げ温度が決められています。

捏ね上げ温度を合わせるためには、そのときの室温から仕込み水の温度を調整する必要があるため、気温の高い夏場は仕込み水の温度が低くなる傾向にあります。

しかし、35℃付近でもっとも活発になるイーストは冷水に弱く、15℃以下の温度の水に触れると発酵力が落ちる場合があるのです。

冷水耐性のあるイーストを使うことで発酵力を落とさずに生地を仕込むことができます。

予備発酵の有無による使い分け

予備発酵はイーストに砂糖とぬるま湯を加えてあらかじめ発酵させ、そのあと生地に混ぜることで、パンの発酵をスムーズに進める方法です。

冬場などの寒い場所で発酵をおこなう必要がある場合など、生地の立ち上がりを良くするために使うと便利です。

セミドライイースト

生イーストとインスタント・ドライイーストの中間的な用途で誕生したのがセミドライイーストです。

セミドライイーストは予備発酵が不要。

冷水耐性に優れているため、15℃以下の冷水でも使うことができます。

サフ セミドライイーストレッド

ストレート法、中種法などさまざまな製法に対応することができるセミドライイースト。

冷凍や冷水に対して耐性でもあるため、オールマイティーに使うことができます。

セミドライイーストのなかでも、セミドライイーストレッドは通常タイプのイースト。

砂糖の分量が、ベーカーズパーセントで5%以下の場合に使用します。

食パンやフランスパンに使うのが良いでしょう。

サフ セミドライイーストゴールド

セミドライイーストレッドと同じように、ストレート法や中種法などさまざまな製法に対応することができ、冷凍や冷水にも耐性です。

レッドと違うのは、セミドライイーストゴールドは耐糖性タイプであるということ。

砂糖の分量が、ベーカーズパーセントで5%以上の場合には、ゴールドを使用するのがおすすめです。

砂糖が多めに入る食パンやロールパン、菓子パンなどに使うのが良いでしょう。

サフ リロンデル 1895

こちらもセミドライタイプのイーストですが、長時間発酵の製法向けに開発された商品です。

長時間発酵では冷蔵発酵をおこなうことも多いため、冷蔵環境で旨味や香りが出やすくなるように作られています。

また、ビタミンCが含まれていないのも特徴で、生地が必要以上に引き締められることもありません。

低温で長時間、じっくり旨味を引き出しながら発酵させるフランスパンやカンパーニュに使うと良いでしょう。

インスタント・ドライイースト

インスタント・ドライイーストは予備発酵が不要で発酵力も安定しているため、初心者でも使いやすいのが嬉しいところ。

家庭でもっとも使われているイーストです。

ただし、15℃以下の冷水で使うとイーストの発酵力が落ちるため、冷水での使用はあまりおすすめできません。

サフ インスタントイースト赤

通称、赤サフと呼ばれているイーストで、家庭で使用されているインスタントイーストのなかでも、もっとも定番として使われているのがインスタントイースト赤です。

ストレート法や中種法などオールマイティーに使うことができます。

砂糖の分量がベーカーズパーセントで12%以下の生地に対応しており、食パンやフランスパンを作るときに使うのにおすすめです。

ビタミンCが添加されているため生地の引き締め効果もあり、扱いやすいのが特徴です。

サフ インスタントイースト金

通常、金サフと呼ばれているイーストで、赤サフと同じくストレート法や中種法などオールマイティーに使うことができます。

耐糖性に優れているため、砂糖の分量がベーカーズパーセントで5%以上の生地に使用することができます。

そのため、食パンや菓子パンなど、幅広い用途で使うことができるのが特徴です。

金サフにもビタミンCが添加されているため、生地が引き締まり扱いやすくなります。

サフ インスタントイーストブルー

通常、青サフと呼ばれているイーストで、赤サフと同じく低糖生地用ですが、ビタミンCが入っていないのが最大の特徴です。

ストレート法、中種法、長時間発酵などさまざまな製法に対応するイーストです。

生地を必要以上に引き締めることがないため、パンを作り慣れた方にとっては素直で思い通りに扱いやすい生地に仕上がります。

反対にパンを作り始めたばかりの初心者には、生地がだれやすく扱いが難しく感じるかもしれません。

フランスパンや食パンに使うのがおすすめです。

サフ ピザインスタントイースト

本格的なピザを作るための専用イースト。

生地の伸展性を向上させるために作られたのが、ピザインスタントイーストです。

生地を引き締めるためのビタミンCは入っておらず、非常に伸展性のある生地に仕上がるため、生地を薄く伸ばすピザに適しています。

ただし、発酵力はほかのインスタントイーストの80%ほどとやや弱め。

ピザ専用として使うのがおすすめです。

ドライイースト

ドライイーストは、市販のイーストのなかでも予備発酵が必要なイーストです。

あらかじめ砂糖とぬるま湯と合わせて発酵させたものを生地に混ぜることで、立ち上がりが早くなります。

サフ ドライイースト

もともとインスタント・ドライイーストが誕生する前から使われていたのがドライイーストです。

乳化剤やビタミンCなどの添加物は一切入っておらず、生地をまとめたり引き締めたりするようなものがないため、生地の伸展性が高いのが特徴。

リーンなパンに向いているため、フランスパンなどにおすすめのイーストです。

添加物を使わずにパンを焼きたい方や冬場で立ち上がりを早くしたい場合に使うと良いでしょう。

まとめ

さいごに、イーストを用途別に使い分ける基準についてまとめました。

目的にあったイーストを選んで思い通りのパンを作ってみましょう。

イーストの使い分け表

パン製法 リッチ リーン ビタミンC 耐糖性 冷凍耐性 冷水耐性 予備発酵
ストレート法 中種法 長時間発酵
セミドライイースト レッド × ×
ゴールド × × ×
リロンデル × × × ×
インスタント・ドライイースト ×
× ×
ブルー × ×
ピザ用 × ×
ドライイースト × ×
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この記事を書いた人

医療技術系短大卒業後、バイオ系研究室テクニシャンなどを経て、現在はフリーランスのライターとして活動中です。
製パンスクールのプロコースを卒業した経歴を活かし、実践に役立つ製パン知識を、よりわかりやすく科学的にお伝えします。
食育アドバイザー、幼児食インストラクター資格保持。

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