フランスパンにおすすめの水は?本場の味に近づけるミネラルウォーターを紹介!
パリッとしたクラストに、もちもちとした食感のクラムが美味しいフランスパン。
パン作りにハマればハマるほど、こだわりを出したくなるパンの一つとも言えますよね。
より本場の味に近づけるには、材料に使う水にこだわってみるのがおすすめ。
パンの材料として当たり前のように使っている水ですが、使う水の硬度の違いで、作業性やパンの仕上がりに変化があるのです。
ここでは、本場の味に近づけるためのおすすめのミネラルウォーターを紹介したいと思います。
フランスパンに適した水とは
フランスパンのように、ハード系のパンに適した水には、硬度が200~300mg/l程度の硬水、pHは弱酸性のpH6~7程度の水が適しています。
フランスの水は弱酸性の硬水
フランスパンなどのハード系のパンには、硬度が200~300mg/lの硬水が適しています。
これはフランスの水道水が硬水であることに由来しているのです。
フランスなどのヨーロッパでは、土地が平坦で広く、河の流れも比較的ゆっくりしています。
そのぶん、地中に水分が長く留まっているため、地中に含まれているカルシウムやマグネシウムなどのミネラルを吸収しやすくなるのです。
水はその土地の料理にも大きな影響を与えます。
硬水はお肉を煮たときに灰汁が出やすくなるため、濃厚なお肉の煮込み料理に適していると言われます。
フランス料理にお肉の煮込み料理などが多いのは、水の性質が影響しているのです。
フランスパンが作られるようになったのも、フランスの硬度の高い水に合わせて作られるようになったと考えられています。
仕上がりへの影響
通常、パン作りに使われる小麦粉は強力粉ですが、フランスパンなどのハード系のパンには強力粉と比べてグルテンの量が少ない準強力粉が使われています。
グルテンが少ないことに加え、フランスパンの生地は副材料が入らないぶん水分量も多く、まとまりにくいのが特徴です。
ここで生地を引き締める効果がある硬水を使うことで、噛み応えのあるハード系のパンに仕上げることができます。
これは、硬水に豊富に含まれるマグネシウムが、タンパク質を結合させる性質を持っており、グルタミンと結合してグルテンを形成させてくれるためです。
硬度はあまり高すぎても生地が引き締まりすぎてしまいます。
フランスパンには200~300mg/L程度の硬水を使うのがもっとも作業性がよく、軽い食感に仕上がるでしょう。
フランスと日本の水の違い
フランスの水と日本の水、それぞれ大きな違いがあります。
硬度の違い
基本的にフランスの水は硬水で、日本の水は軟水の傾向にあります。
フランスの水は前述のように広大な土地のなかに長く留まっているためミネラル成分を多く含んでいます。
一方、日本は狭く急流な川が多く存在します。
フランスと比べて地中に留まっている時間が短いため、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分が吸収されにくいのです。
硬度120㎎/L以上は硬水とされていますが、日本の水道水は一部に中硬水があるものの、ほとんどが軟水です。
硬度の高い水は、しっかりとしたのど越しで飲みごたえがあるのが特徴。
ミネラルも多いので味の濃いフランスの食事に適しています。
一方、軟水は出汁が出やすく、和食に適しているとされています。
パン生地も柔らかく仕上がるため、菓子パンなどに適しているのです。
フランスでも日本でも、それぞれの水に適したパンが生まれたといっても過言ではありません。
pHの違い
日本の水道水は、基準でpH5.8以上pH8.6以下と定められています。
水道水は配管の腐食問題の観点で中性であることが望ましいとされているのです。
フランスパンは弱酸性の水が良いとされていますが、人の体液がpH7.4の中性であることから、基本的に日本の水でもフランスの水でも、飲料水のpHは大きく差はありません。
極端に酸性やアルカリ性の水を過剰摂取していると、健康被害を起こす可能性があるためです。
フランスの水に近いおすすめのミネラルウォーター
フランスでは200~300mg/lの硬度の水が使われているため、できるだけこの硬度に近い水を選ぶのがおすすめ。
日本の水道水で硬水を求めるのは困難なので、できるだけ本格的なフランスパンを作るためには市販のミネラルウォーターを使うと良いでしょう。
pHは弱酸性の方がよりフランスパンに適していると言われていますが、硬度を基準に選ぶとなかなか見つからないのが現状です。
アルカリ性などの酵母の生育を妨げない範囲であれば問題ありません。
手に入りやすいミネラルウォーター
それではおすすめのミネラルウォーターを紹介していきます。
まずは、スーパーなどでも比較的に手に入りやすいミネラルウォーターから紹介しましょう。
evian (エビアン)
エビアンはスーパーでもよく置かれているため、比較的知名度の高いミネラルウォーターではないでしょうか?
硬度は304mg/LでpHは7.8。カルシウム濃度は80mg/Lでマグネシウム濃度は26mg/Lとミネラルバランスがよく、日本人にも飲みやすいのが特徴です。
スーパーだけに留まらず、自動販売機でも購入することができるミネラルウォーターです。
日本では伊藤園・伊藤忠ミネラルウォーターズが販売権を持って輸入販売をおこなっており、500mlボトル1本あたり100円以下で購入することができたりと、比較的安価に手に入れることができます。
SOLAN DE CABRAS (ソラン・デ・カブラス)
おしゃれなボトルが印象的な、スペイン産のミネラルウォーターです。
硬度は260mg/Lで、こちらもミネラルバランスの良さからスペイン栄養士協会(AEDEN)認定のミネラルウォーターとしても知られています。
日本では成城石井や北野エース、PLAZAなどで販売されています。
500mlボトル1本あたりの価格は140円ほどと決して高くはありませんが、あまり安売りしていないため、エビアンに比べるとコストがかかります。
Contrex (コントレックス)
硬度が1468mg/lと、超硬水で知られているのがコントレックスです。
そのままではパン作りに向きませんが、日本の水と合わせてコントレックスを20%の割合で使うのがおすすめ。
手に入りやすい本格的なミネラルウォーターであるため、日本でフランスパンを作るプロも愛用しています。
フランス産のミネラルウォーター
ここからは、本場フランス産のおすすめのミネラルウォーターを紹介したいと思います。
スーパーなどではなかなか手に入りにくいのですが、できる限り本格的なものを使いたい方にはおすすめのミネラルウォーターです。
THONON (トノン)
アルプス山脈の麓、フランス東部にあるレ・マン湖で採水された水で、硬度は319mg/l、pHは7.4です。
時間をかけてゆっくり採水され、豊富なミネラルを含んだ水ですが、塩分は少ないため製パンの作業性に影響を与えにくいのが特徴です。
Vittel (ヴィッテル) ボンヌソース
ヴィッテルは採水場所の違いから、硬度の違う2種類の商品が存在します。
フランスパンにおすすめなのは硬度が307mg/lのボンヌソースです。
100mlあたりのカルシウムの量は24mg、マグネシウムは4.2mgです。
Alet (アレ)
なかなか通販サイトでも販売されておらず、手に入りにくいのが難点ですが、硬度は252mg/lとフランスパンを作るのにとても適しているのが「アレ」です。
ミネラルウォーター商社の水広場に掲載されているので、より本場のフランスパンに近づけたいという方はぜひ探してみてはいかがでしょうか?
まとめ
日本の軟水にはふわふわで柔らかい菓子パン、フランスの硬水にはハード系のフランスパンと、その土地の水の性質にあったパンが作られてきました。
日本で食べるフランスパンは、比較的柔らかく食べやすいパンが多いのが特徴です。
これは軟水に馴染みのある日本人の味覚に合わせたパンとして作られるようになったためです。
本場のフランスパンは小麦の香りがたち、とても味わい深いものです。
よりフランスのパンに近いものを求める方は、フランスパンに適したミネラルウォーターを選んで、ぜひ本格的なパンにチャレンジしてみて下さい。