シートバターとは?生地に折り込む際の使い方やシートバターの作り方を紹介!
クロワッサンやデニッシュは、バターの香りが豊かでサクサクとした食感が魅力のパン。
リッチなパンは、子供からパン好きの大人までとても人気があるパンの一つです。
クロワッサンやデニッシュの生地には、シートバターというものが使われています。
シートバターを使うことで、独特の食感を出すことができます。
シートバターとは
シートバターとは、クロワッサンやデニッシュの生地に折り込むために、シート状に伸ばしたバターのことです。
バターシート、ロールインバター、折り込みバター、折り込み油脂ともいいます。
市販のシートバター
市販品のシートバターは特別な加工はおこなっておらず、通常のバター同様、原材料は基本的に生乳のみです。
なかにはクリームシートをシートバターという名称で販売していることがありますが、これは甘いクリームでバターとは別物です。
原材料をよく確認してから購入するようにしましょう。
ただし、マーガリンをシート状に伸ばしたシートマーガリンは、シートバターと同じ用途でクロワッサンやデニッシュに使うことができます。
原材料もマーガリン同様、植物油脂を加工した複雑なものになりますが、この商品もマーガリンをそのままシート状に伸ばしただけのものです。
バターのような芳醇な香りやコクは期待できませんが、すっきりした軽い食感に仕上げることができ、シートバターより安価に購入することができます。
好みに合わせて使い分けると良いでしょう。
通常のバターとシートバターの違いは?
通常のバターもシートバターも、原材料に違いはなく、特別な加工はしていません。
単純に、シートバターはバターをシート状に伸ばしたものと思って良いでしょう。
シートバターの作り方
市販のシートバターが手に入れば、初めからシートバターを利用するのが便利ですが、シートバターが手元になくても自分で作ることができます。
自分で作る場合は、お気に入りのバターで作ることができるので、より理想に近い仕上がりになるでしょう。
バターが主役になるクロワッサンやデニッシュには、独特の香りやコクのある発酵バターもおすすめです。
今回は、通常サイズのシートバター以外に加え、少量で作りたい場合のシートバターの作り方も紹介したいと思います。
通常サイズの場合
シートバターの基本的な作り方です。
バターを叩いて、柔らかくして伸ばしていきます。
用意するもの
- バター(食塩不使用) 250g
- ラップ
- めん棒(ガス抜き用ではないもの)
作り方
冷えたバターを塊のまま打ち粉をした台の上にのせ、めん棒を使って同じ向きで平たくたたいていきます。
ラップで挟んでその上からたたいても良いでしょう。
その場合は打ち粉は必要ありません。
ある程度平たくなったら裏返し、同じようにたたいていきます。
90度向きを変えて、これまでと同様に平たくたたいていきましょう。
さらに裏返し、最初にたたいた向きと90度向きを変えてたたいていきます。
四角になるように形状を整えながらたたきましょう。
20cm四方になったら完成です。ラップで包んで、冷蔵庫で冷やしておきます。
少量の場合
次に、自宅で少しの量を作る場合の方法です。
通常のシートバターの作り方のようにたたいて柔らかくする工程がありません。
少量サイズのシートバターは家庭で作るにはちょうど良く、クロワッサンやデニッシュ以外にも、デニッシュ食パンの1斤分の量として使うこともできるのでおすすめですよ。
用意するもの
- バター 100g
- クッキングシート
- めん棒(ガス抜き用ではないもの)
作り方
バターは0.5mmほどの均等な厚さに薄くカットし、常温に戻します。
クッキングシートは25cm幅のものを35cmほど取り出して使います。
少し長くなる分には問題ありません。
取り出したクッキングシートは、一度、横半分に折ってガイドをつけ、広げておきます。
STEP1のバターを、半分に折り目をつけたクッキングシートの右半分にのせます。
このとき、バターは正方形になるように隙間のないように並べ、右半分のシートの中央よりやや内側(折り目に近い方)に置くようにしましょう。
最初にガイドをつけた折り目に沿ってクッキングシートを二つに折り、バターを包むように折り目以外の3辺の縁を折っていきます。
全体が15cm×15cmの正方形になるようにクッキングシートを折るのがコツです。
クッキングシートで包んだバターを、上からめん棒で伸ばしていきます。
縁まで隙間なくきれいに伸ばしましょう。
また、厚みにムラがないように注意します。
冷蔵庫に入れて使用する直前までしっかり冷やしておきましょう。
クロワッサンにシートバターを折り込む
クロワッサンもデニッシュも、生地にシートバターを折り込む手順は同じです。
どちらも3回折り込み作業をおこなうのが基本の方法です。
生地に対するシートバターの量は、クロワッサンもデニッシュも同じ量を使用しているパン屋さんもあれば、デニッシュ生地の方がシートバターの量を多めに使用しているパン屋さんもあります。
ここでは、クロワッサン生地(材料中の粉の量250g)に、シートバター125g(20cm四方に伸ばしたもの)を包む場合を例に紹介しましょう。
クロワッサン約10個分の量です。
注意点
クロワッサン生地は、できるだけ冷蔵庫で長時間発酵したものを用意し、これから折り込みするバターの温度変化に影響が出ないように配慮しましょう。
※レシピによっては一次発酵をおこなわず、ミキシング後に一度生地を冷凍庫で一時間ほど急速冷却し、そのまま折り込みをおこなう場合もあります。
めん棒は必ずガス抜き用ではないものを使います。
バターを包み込んだ生地は薄い膜のようになっています。
とても繊細で破れやすく、破れたところからバターがはみ出してしまうので注意しましょう。
折り込みをおこなうごとに生地を冷蔵庫で冷やしていきますが、伸ばしている途中でも生地が温まっていると感じたら、一度冷蔵庫で冷やし、バターが溶けないようにしましょう。
手順
生地を四角く薄く伸ばしていきます。
シートバターをダイヤ型の向きに重ねたときに生地に収まるサイズまで伸ばしましょう。
生地の四隅を折り、シートバターを包むように重ねていきます。
合わせ目は、バターが見えないように指でつまんで閉じてください。
シートバターを包んだ生地を伸ばしていきます。
伸ばす前に台に打ち粉をしておきましょう。
生地の真ん中にめん棒をあて、上下それぞれに向かって真ん中を始点に生地をめん棒で軽く押さえていきます。
バターが生地から出てこないように、必要以上に力を入れすぎないようにしましょう。
ここで生地とバターを密着させます。
生地を裏返し、同様に真ん中を始点に上下それぞれに向かって生地を軽く押さえていきます。
生地とバターが密着したら、生地の真ん中を始点に、上下それぞれに向かってめん棒で伸ばしていきます。
一番端は空気の層ができやすく、角が丸くなりやすいので、端から2cmほどは外側から内側に向かってめん棒をかけると良いでしょう。
縦60cmになるまで伸ばします。横幅は20cmのままです。
ここからは、折り込み作業に入っていきます。まずは一回目の折り込み作業です。
伸ばした生地を三つ折りにします。
三つ折りにした生地をラップやビニール袋で包み、冷凍庫で30分ほど冷やします。
生地が十分に冷えたままであれば、冷凍庫で冷やさずそのまま次の作業に進んでも構いません。
次に、二回目の折り込み作業です。
打ち粉をした台に、三つ折りにした生地のつなぎ目を上にして置きます。
生地の真ん中にめん棒をあて、上下それぞれに向かって生地を軽く押さえていきます。
そのあと、もう一度生地の真ん中にめん棒をあて、上下それぞれに向かって生地を伸ばしていきましょう。
生地の端の部分は外側から内側に向かってめん棒をかけ、生地の角が丸くなるのを防ぎましょう。
最終的に縦の長さが60cmになるまで伸ばしていきます。
生地を三つ折りにし、ラップやビニール袋で包んで冷凍庫で30分冷やします。
3回目、さいごの折り込み作業です。
やり方はこれまでと同様、打ち粉をし、生地を真ん中から上下にそれぞれめん棒で軽く押さえていきます。
さらに真ん中から上下にそれぞれめん棒をかけ、伸ばしていきましょう。
3回目の折り込み作業となると、生地は大変伸びにくくなります。
縦の長さが50cmくらいになるまで伸ばしましょう。
さいごに、三つ折りにし、再びラップやビニール袋で包んで冷凍庫で30分冷やします。
以上で折り込みの作業は終了です。
そのあとは、クロワッサン、デニッシュなど作るパンに合わせて成形しやすいように伸ばしカットして使います。
まとめ
クロワッサンやデニッシュのように、シートバターを使ったパンはとても時間と手間がかかります。
そのため、個人経営のパン屋さんにはあまり置いていなかったり、小売店舗のなかに入っているインストアベーカリーでは、冷凍生地を使っていたりすることも多いくらいです。
折り込み作業からおこなった生地を使ったクロワッサンやデニッシュは、層の膨らみやバターの香りが格別。
基本ができればシートバターの分量や折り込みの回数をアレンジし、自分好みの生地を作ることができるので、ぜひマスターするのがおすすめですよ。