グルテンパウダーとは?なぜ低糖質パンに使う?成分や使い方を解説!
パン作りにしばしば使われることのあるグルテンパウダー。
あまり一般的な材料ではありませんが、グルテンを含まない粉を使ったパン作りに使い、グルテンを形成して生地の膨らみを助けてくれるものです。
グルテンパウダーを使えば、米粉や大豆粉を使った低糖質パンにボリュームを持たせることができます。
いまや低糖質パンは糖尿病患者の方のみならず、糖質制限をしてダイエットをしている方にとっても大変需要のある食品です。
ここでは、グルテンパウダーの成分や使い方について解説していきたいと思います。
グルテンパウダーとは
グルテンパウダーは、小麦からたんぱく質であるグルテンを抽出し、乾燥させて粉末状にしたものです。
一般のスーパーなどではなかなか手に入りにくいのですが、製パンや製菓材料専門店をはじめ、ネットショップなどで購入することができます。
グルテンパウダーの成分
グルテンパウダーは小麦からグルテンを抽出したものであるため、そのおもな成分はたんぱく質。
さまざまなメーカーから販売されており、成分はメーカーによって多少の違いがあります。
一般的によく使われている「株式会社パイオニア企画」のグルテンパウダーの成分は、次のようになっています。
栄養成分 | 分量 ※100g中 |
---|---|
たんぱく質 | 72.6g |
炭水化物 | 16.6g(内 糖質14.2g) |
脂質 | 5.4g |
ナトリウム | 68mg |
粉末状のグルテンパウダーのうち、約70%がたんぱく質、糖質は約15%含まれています。
麦芽糖が入っているものも
一般的なグルテンパウダーには入っていませんが、メーカーによってはグルテンパウダーのなかに麦芽糖を添加しているものもあります。
麦芽糖は砂糖を加えない生地において、酵母の発酵を促したり、クラストに焼き色を付けやすくしたりとさまざまなメリットがありますが、糖質を制限している方にとっては余分な糖分を摂取することになり本末転倒。
糖質制限を目的としている方は、成分表示をよく確認してから購入するようにしましょう。
小麦アレルギーの方は要注意
また、小麦アレルギーの方は特に注意が必要です。
小麦アレルギーの原因はさまざまで一概には言えませんが、なかには小麦粉に含まれるグルテンがアレルゲンとなっている場合があります。
そのため、たとえ小麦粉を使わない米粉や大豆粉を使ったパンであっても、グルテンパウダーを使用しているのであれば避けた方が良いでしょう。
グルテンパウダーの用途
グルテンパウダーは、グルテンを含まない米粉や大豆粉、ふすま粉を使ったパン作りに使われます。
パンは通常、強力粉などの小麦粉を使って作ります。
小麦粉にはグルテニンとグリアジンというたんぱく質が含まれており、この2つのたんぱく質が水と結合しグルテンを形成します。
網目構造をしたグルテンがパンに弾力性や伸展性をもたらし、発酵によって産生した炭酸ガスを包み込んでパンが膨らんでいくのです。
グルテンは小麦粉にしか含まれず、米粉やふすま粉、大豆粉などには含まれません。
パンはグルテンがないとガスを保持して膨らむことができないため、グルテンを含まない粉にはグルテンパウダーを加えて生地を作る必要があるのです。
低糖質パンにグルテンパウダーを使う理由
低糖質パンと言われているパンは、おもにふすま粉、大豆粉、全粒粉などを使ったパンが挙げられます。
なかでも、ふすま粉は特に糖質が低い食品に挙げられ、小麦に含まれる糖質の割合が約70%であるのに対し、ふすま粉の糖質は約20%です。
前項でも説明したように、グルテンは小麦粉にしか含まれないため、低糖質パンに使われるふすま粉や大豆粉などにはグルテンが含まれていないのです。
グルテンのない生地は、焼成しても膨らむことなくずっしりと重たいパンに仕上がります。
それを補うために、低糖質パンにはグルテンパウダーが使われるのです。
グルテンパウダーの使い方
グルテンパウダーをパンの材料に入れるときの割合は、主原料として使う粉や、グルテンパウダーのメーカーによって違いがあります。
ここでは、ごく一般的な割合で紹介しましょう。
グルテンパウダーは、粉全体に対して20%の割合で使います。
たとえば、米粉を使ったパンであれば、米粉を80%、グルテンパウダーを20%入れます。
使い方は非常に簡単。
材料を量って、ほかの材料と同じようにただ混ぜるだけです。
特別なことをする必要はなく、メインとなる粉と同じように混ぜて使うことができます。
小麦粉と同じように捏ねることはできる?
グルテンパウダーを使う生地のおもな主材料は、グルテンを含まない粉。
ふすま粉や大豆粉、米粉などです。
通常のパンでは強力粉や準強力粉などの小麦粉を使うのが主流で、伸展性と弾力性に富んだ捏ねやすい生地です。
グルテンパウダーは乾燥状態になっていますが、水を加えるだけで伸展性や弾力性を持ったグルテンの性質が得られます。
単体では弾力性や伸展性のないふすま粉や米粉も、グルテンパウダーを加えると、強力粉で作るパン生地と同じように捏ねることができます。
大豆粉は工夫が必要
ここでおもしろいのが大豆粉。
大豆粉だけは例外で、捏ねるのに少し工夫が必要なのです。
グルテンはアルカリ性下では収縮し、結合が強くなる性質があります。
アルカリ性の水を使ったときに、生地が締まりやすくなるのもこのためです。
大豆粉はアルカリ性食品であるため、大豆粉を使った生地は弾力性が強いものの、伸展性が乏しく膨らみにくくなってしまいます。
材料にいつもより酸性の水を使ったり、酸性食品であるヨーグルトを加えたり、クエン酸を添加するなどして、生地を酸性側へ傾けてグルテンの結合を適度に断裂し、生地を伸びやすくする必要があるのです。
グルテンパウダーが多め・少なめの場合はどうなる?
グルテンパウダーはメーカーや合わせる粉によって割合を変える必要がありますが、それぞれに適した量に対して、多めに入れた場合や少なめに入れた場合は生地の性質が変わってしまいます。
多めに入れたとき
グルテンパウダーを本来の量より多めに入れてしまうと、グルテンの形成が強くなり、弾力性や伸展性が強くなります。
生地はまとまりやすいのですが、ガス抜きをしてもガスが抜けづらく、発酵時や焼成時に生地が膨張しすぎてしまいます。
ガス抜きのときになかの空気も入れ替わりにくいため、アルコール臭の強いパンに仕上がります。
少なめに入れたとき
本来の割合よりもグルテンパウダーの量を少なめに入れてしまうと、グルテンの形成が乏しく、生地がまとまりにくくなります。
グルテンの形成が乏しいため、ガスを保持する力が弱くなって今度は生地の膨らみが悪くなってしまうのです。
膨らみが悪いパンはクラムが密集し、固くてずっしりとしたパンに仕上がります。
ベーカーズパーセントでは粉と材料のどちらに分類する?
材料を計量するさい、ベーカーズパーセントでは、グルテンパウダーは米粉やふすま粉などと同じように粉類として分類します。
たとえば、米粉のパンを作る場合。
ベーカーズパーセントは粉を100%として計算するので、米粉とグルテンパウダーを合わせて100%とならなければいけません。
米粉80%+グルテンパウダー20%というように、合わせて100%となるように計算しましょう。
まとめ
グルテンパウダーは、国産や外国産の違いに加え、メーカーの違いによっても性質が大きく異なります。
そのため、低糖質パンのレシピで同じように作ろうとしても、うまくいかずに失敗してしまうことも少なくありません。
使う主材料の粉との組み合わせや、メーカーによるグルテンパウダーの配合は、勝手がわかるまでにある程度時間がかかるかもしれません。
とはいえ、低糖質パンが日常的に手に入るというのは、糖質制限をしている方にとってはとても画期的なことです。
今までパンを食べることを我慢していた人々が、食事の選択肢の一つに入れることができるというのは、とても意義のあることですね。