ノルウェーはライ麦やオーツ麦のパンが豊富!伝統的なパンの種類や名前の由来を紹介!
寒さが非常に厳しいノルウェーでは、穀物はあまり育ちません。
そのようななかでも、比較的育ちやすいライ麦やオーツ麦を原料にしたパンが食べられてきました。
今回は、ノルウェーの伝統的なパンの種類や名前の由来を紹介します。
ノルウェーの自然と農業の特徴

北部が北極圏に含まれるノルウェーは、寒さの厳しい国です。
そのため穀物や野菜の栽培が難しく、農業よりも漁業が盛んにおこなわれてきました。
南東部では麦類が栽培されていますが、北部では漁業などを生業としてきたのです。
タラがよく獲れ、サーモンの養殖にも力を入れています。
また、農業は酪農が中心で、平地がほとんどないノルウェーでは、牛のほかに山で羊などを放牧しています。
ノルウェーの食文化
漁業や酪農が中心のノルウェーには、どのような食文化があるのでしょうか?
バイキング

ノルウェーは非常に寒く、肥沃な土地が少ないため、船で海に出て漁業をおこなってきました。
9世紀から11世紀ごろは、長期保存ができるようにタラを干物にし、海に出て交易に使っていたのです。
このように交易をおこなっていた人たちは「バイキング」と呼ばれていました。
塩漬けしたタラの干物はスペイン人にバカラオと呼ばれており、バカラオのトマト煮込みはノルウェーの都市ベルゲンの名物料理となっています。
じゃがいも

穀物があまり育たないノルウェー。そんななか、寒い土地でも育てやすいじゃがいもは、ノルウェーの食卓では欠かせない食材です。
茹でただけのじゃがいもをお皿にのせ、ほかのおかずとともに食べます。
ノルウェーでは朝や昼はパンを主食として食べ、夜はじゃがいもを主食にするというスタイルが一般的です。
ヤールスバーグチーズ

ヤールスバーグチーズは、ノルウェー東部のヤールスバーグ産の牛乳で作った、穴あきのナチュラルチーズのことです。
ヤールスバーグチーズは、スイス発祥のエメンタールチーズを研究し作られたものと言われ、ノルウェーではさまざまな料理に使われています。
コクがありながらも癖はなく、日本人にも食べやすい味のチーズです。
サーモン

ノルウェーでは前菜としてやパンと一緒に生のサーモンがたくさん食べられています。
日本の鮭には寄生虫がいるため、生食することができませんが、ノルウェーでは寄生虫のいないアトランティックサーモンの養殖に成功しているのです。
1980年代ごろ、ノルウェーから日本に寿司や刺身として生のサーモンを食べることが提案され、日本でも生のサーモンが食べられるようになりました。
今ではサーモンは寿司で大人気のネタとなっていますが、日本で生のサーモンが食べられるのは、ノルウェーのサーモンのおかげと言っても過言ではないかもしれません。
ノルウェーのパンの特徴
ここからは、ノルウェーのパンの特徴を紹介します。
フラットブレッド

ノルウェーでは、無発酵の平たいパンであるフラットブレッドがさまざまなスーパー、パン屋に並んでいます。
もともとは羊飼いや農民などが主食としていたもので、特に薄く焼いて乾燥させたフラットブレッドは長期保存ができるため重宝されました。
一口にフラットブレッドと言っても、しっとりしたタイプや乾燥タイプ、大麦と水と塩だけで作ったものや生地にじゃがいもを混ぜて焼いたものなどさまざまな種類があります。
なかでも、大麦を使ったフラットブレッドはノルウェーを代表するパンです。
特別な日には甘い菓子パン

ベルリーナボッレ(Berlinerbolle)というドイツ発祥の揚げパンもノルウェーではよく食べられています。
ドイツではベルリーナプファンクーヘンと呼ばれているパンです。
ベルリーナボッレは、「ベルリンのパン」の意味の通り、発祥はドイツですが、交易の盛んなノルウェーではドイツのパンも食べる習慣があるのです。
ベルリーナボッレは、キリストの復活祭(イースター)の断食期間に入る前に、おやつとして食べられています。
ノルウェーのパン
ノルウェーのパンは、日本ではあまり認知度が高くありませんが、全粒粉やライ麦粉を使ったパンが豊富です。
グロブブロッド(Grovt brød)

グロフブロッドはノルウェーの全粒粉パンで、バタールのように大きななまこ状に成形して焼いたものや、食パンのように型に入れて焼いたものがあります。
どちらも全体的に茶色く密度の詰まったパンで、薄くスライスして食べるのが特徴です。
全粒粉パンと呼ばれるには、パンに使われる小麦粉のうち半数以上が全粒粉またはふすまであることが条件となっています。
Grovtは「粗い」、brødは「パン」の意味があります。
ノルウェーでは、古くから小麦ではなくライ麦やオーツ麦などを使ったパンが食べられてきました。
輸入によって小麦を使ったパンが手に入るようになった今でも、栄養価の高いライ麦やオーツ麦を使ったパンは人気が高いです。
全粒粉も食物繊維が多く満腹感が得られるため、肥満予防などで健康に良いと言われています。
健康意識の高いノルウェーでは、全粒粉パンを毎日の食事のどこかで取り入れることが推奨されているのです。
ノルウェー保健局のガイドラインでは、1日90g以上の全粒穀物を取り入れることを勧めています。
薄くスライスし、ジャムを塗って食べたり、サーモンをのせてオープンサンドにして食べられています。
ロフ(Loff)

Loffとは「白パン」のことです。
フランスのバタールのように大きななまこ状をしており、薄くスライスして食べます。
全粒粉やライ麦粉を使ったパンが主流のノルウェーでは珍しい白パンです。
健康志向の高いノルウェーでは、白いパンは体に悪いと考えられています。
全粒粉やライ麦のパンと比べ、Loffはやや甘めのパン。
子供向けのパンのイメージが強く、大人にはあまり好まれていないようです。
白パンはノルウェーではあまり好んで食べられていませんが、エビのオープンサンドと言ったら、Loffを使うのが定番です。
レフサ(Lefsa)

レフサまたはレフセと呼ばれているノルウェーの平焼きの無発酵パンです。
じゃがいも、小麦粉、牛乳、バターなどを混ぜた生地をめん棒で薄く伸ばし焼きあげます。
レフサは生地にじゃがいもを混ぜ込んでいることから、Potetlefse(ポテトレフサ)とも呼ばれています。
じゃがいもをたくさん食べるノルウェーでは、パンにじゃがいもを練りこんで食べることもあるのです。
レフサはノルウェー発祥のパンですが、北欧からの移民が多いアメリカのミネソタ州でも名物となっています。
お祝い事やお祭りなどでよく食べられています。
レフサは素朴なパンなので、さまざまなアレンジで食べられています。
代表的な食べ方としては、レフサにハムとノルウェーを代表するチーズであるヤールスバーグチーズをのせてくるくると巻き、オーブンで焼いたものを、野菜を煮込んだホワイトソースに添える方法です。
温かい前菜のような料理に用いられています。
ボッレ(Boller)

ボッレは、ノルウェーを代表する菓子パンです。
テーブルロールのような見た目で、生地にカルダモンを混ぜているためカルダモンの香りが楽しめます。
定番のプレーンのほかにチョコチップを混ぜたもの、レーズンを混ぜたものなどがあります。
パン生地ですが、ノルウェーではパンというよりお菓子(ケーキ)の位置づけなのだとか。
クリームをたっぷり挟んだファステラーヴンスボッレは、イースター(復活祭)の7週間前の日曜日に食べるのが習わしです。
クリーム入りはスウェーデンのセムラのように、断食前に食べられています。
ノルウェーではスーパーやコンビニ、パン屋などでどこにでも売っています。
ノルウェーの首都オスロには、セブンイレブンがたくさんあり、コンビニでも買うことができるのです。
お菓子としての位置づけのため、おやつとして食べられています。
スコレブロッド(Skolebrød)

スコレブロッドは、スウェーデンの甘い菓子パンです。
丸めてやや平らにした生地の中央に大きなくぼみをつけ、くぼみのなかにカスタードクリームを入れてカスタードを囲むようにココナッツをトッピングします。
スコレブロッドは、「学校パン」という意味のパンです。
発祥については詳しくはわかっていませんが、1950年代の戦後の貧しい時代に子どもたちに栄養を摂らせるために作られたという説があります。
風邪で学校をお休みした子のために、栄養価の高いものを食べさせようとして考えられた日本の揚げパンと、少し理由が似ていますね。
ノルウェーの北部では、長く厳しい寒さの冬が終わって春が訪れると、太陽の戻りを祝うようにスコレブロッドが食べられます。
スコレブレッドは一年中スーパーやパン屋などさまざまな場所で買うことができますが、春の訪れを祝うときに食べるスコレブレッドは、ココナッツはかかっておらず、カスタードとパン生地で太陽に見立てるのです。
もともと学校給食でデザートとして食べられてきました。
今では子どもから大人まで人気の菓子パンで、おやつとして食べられています。
ロムペル(Lomper)

ロンペール、ロンパーなどさまざまな呼び方をされています。
ノルウェーではとてもポピュラーなパンです。
じゃがいもが練りこまれた生地を薄く平焼きにしたパンで、トルティーヤのようなものです。
レフサにもよく似ていますが、ロムペルは牛乳やバターなどを使わず、じゃがいも、全粒粉(または小麦粉)、塩といったとてもシンプルな材料で、油脂を使わないのが特徴です。
じゃがいもが入っていることから、「ポテトケーキ」の意味を持つpotetkakerという別名があります。
ノルウェー西部ではhellekakerとも呼ばれています。
同じ平焼きパンのレフサに比べ素朴な味で、毎日の主食としてもよく食べられています。
ソーセージやチーズなどを挟んで食べたり、ジャムやバターなどを塗って食べられています。
ロムペルは手軽に作ることができ、挟む具材もおかずのようなものから甘いものまでとバリエーションも豊富です。
そのため、昼食や夕食、おやつなどさまざまな場で食べられています。
フラットブロッド(Tørt flatbrød)

ノルウェーの平焼きの乾燥パンです。
ノルウェーの平焼きのパンと言えば、ロムペルやレフサなどがありますが、乾燥タイプのフラットブロッドはジャガイモやバター、牛乳などは使わず大麦粉、塩、水ととてもシンプルです。
ノルウェーの伝統的な平焼きパンで、羊飼いや農民などが主食として食べていました。
とても薄く乾燥させているため、長期保存が可能です。
魚や塩漬けの肉、スープなどと一緒に食べられています。
茹でたじゃがいもやバター、サワークリームなどをトッピングして食べるのも人気です。
まとめ
ノルウェーはライ麦を使ったパンが中心で、特に平焼きのパンが日常的に食べられているのが分かりました。
もともと小麦が育ちにくい環境もありますが、健康志向が高いため小麦を使ったパンよりも全粒粉やライ麦を使ったパンが人気ですね。