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イーストは入れたのになぜか生地が膨らまない!原因は塩や水温によるイーストの活性低下かも?

イーストはちゃんと入れたのに、生地が膨らまない。

パン作りをしていて、そのような経験をしたことがあるという方はいませんか?

それって、もしかしたら塩や水温によるイーストの活性低下が原因かもしれません。

レシピ通りに作っているつもりでも、イーストの扱い方一つで力を発揮できずに、発酵に大きく影響してしまうことがあるのです。

ここでは、イーストを入れたのに生地が発酵しないときの原因や、対処法について紹介していきたいと思います。

目次

生地が発酵しない原因

レシピ通りの分量を入れても生地が発酵しない場合は、イーストが活動しにくい条件にあったり、イーストの活性低下が起こっていることが考えられます。

イーストの活性が低下するというのは、機能や反応性が弱くなっている状態ということです。

生地が発酵しない原因は、おもに次のような場合が考えられます。

発酵時の生地の温度が低い

イーストの品質やミキシングのやり方に問題はなくても、発酵時の生地の温度が低いとイーストが力を発揮できず、生地がうまく発酵しないことがあります。

これには、イーストの活動温度帯が関係しています。

イーストがもっとも活発になるのは、32~35℃

パン生地は窯入れ後の数分で一気に窯伸びすることが大切であるため、窯入れ時の生地はイーストがもっとも活発になる32~35℃になっている必要があるのです。

パン生地は発酵中に温度が5℃前後上昇するため、窯入れの温度から逆算して、生地の捏ね上げ温度を26~28℃になるようにします。

捏ね上げ温度が低くなってしまうと、発酵時の生地の温度が低くなってしまうため、生地が発酵しない原因となってしまうのです。

やむを得ず捏ね上げ温度が低くなってしまった場合は、発酵器の温度を上げたり、発酵時間を長めにとることで対応可能です。

期限切れのイーストを使っている

期限の切れたイーストを使っていると、イーストの能力が落ちていて生地が発酵しない原因となることがあります。

イーストは酸素に触れることで酸化し、活性が低下します。

長期保存できるインスタントドライイーストも、開封後は湿気を吸って活性が低下し発酵力が弱くなってしまうのです。

イーストの賞味期限はメーカーによって差がありますが、ここでは一般的な賞味期限を載せておきます。

イーストの種類と賞味期限

イーストの種類賞味期限
生イースト2週間
ドライイースト長期保存可(開封後は1ヶ月以内推奨)
インスタントドライイースト製造から約2年(開封後は半年)

イーストの保存状態が不適切

購入したインスタントドライイーストは、未開封であれば冷暗所にて保存可能となっています。

空気に触れない状態であれば、イーストは常温でも活動することなく休眠状態となっているのです。

ただし、イーストはたとえ期限切れになっていなくても、温度や湿度の管理が不適切など保存状態が良くない場合は、活性が低下することがあります。

イーストの種類別による、適切な保存環境は以下の通りです。

イーストの種類と適切な保存環境

イーストの種類保存環境
生イースト冷蔵保存
ドライイースト直射日光や高温多湿を避け、冷暗所保存
インスタントドライイースト未開封時は冷暗所、開封後は冷蔵保存

ドライイーストやインスタントドライイーストは、冷暗所保管が可能であるため保存にあまり気を使わなくて良さそうですが、購入したときには冷暗所に置いたつもりでも、夏場には知らず知らずのうちに高温になっている可能性も否定できません。

そのため、使用者によって保存状態に差がでやすいのです。

また、乾燥タイプのイーストであるために、開封後に湿度の高い場所に置いておくと湿気を吸って品質に大きく影響してしまいます。

使用時にイーストを弱らせてしまった

イーストの期限や保存状態は問題がなくても、使用時にイーストを弱らせてしまい活性を低下させることがあります。

詳しくは後述する「使用時にイーストを弱らせてしまう行動」の項目で説明しますが、たとえば、高温の水に触れさせたり、塩に触れることでイーストが弱って生地が発酵しないことがあります。

水温とイーストの関係

イーストは酵母という生き物であるため、活発に活動する温度帯や死滅してしまう温度があります。

ここでは、水温によるイーストの状態の変化について見ていきましょう。

温度イーストの状態
0~5℃不活性化する(休眠状態となるため、保存に適している)
32~35℃イーストがもっとも活発になる
45~60℃イーストが弱り、一部死に始める
60℃以上イーストが完全に死滅する

イーストが活発になる温度や死滅する温度は、生イーストやドライイースト、インスタントドライイーストなど、どの種類のイーストを使ってもほぼ変わりはありません。

一方、インスタントドライイーストは、冷凍状態でも死滅しないと言われていますが、生イーストは冷凍保存ができないイーストです。

生イーストは65~70%の水分を含んだ状態であるため、冷凍してしまうとイーストの体内の水分が凍って膨張し、細胞が破壊されてしまうのです。

塩とイーストの関係

生地を引き締めたり、発酵を適度に抑制する目的で加える塩。

イーストの活性には、塩との関係性も非常に深いものがあります。

イーストは塩の影響を直接受けやすいため、計量するときにそれぞれが隣り合わないように入れる必要があるのです。

塩とイーストを離して入れる理由とは

パンのレシピには、塩とイーストを離して入れるように書かれていることがあります。

これには大切な理由があって、塩にはイーストの発酵を抑える作用があるためです。

塩を入れることで浸透圧が大きくなり、イーストの体内の水分は外に放出されます。

水分を失うことでイーストは機能を失い、発酵力が抑制されるのです。

レシピ通りの適切な方法で塩を加えれば、イーストの発酵が適度に抑えられ、作業速度を調整することができます。

しかし、材料を混ぜるときに塩とイーストを隣同士に入れてしまうと、必要以上に水分が失われて発酵しにくくなる恐れがあるのです。

実際には隣同士でも問題ない?

塩の影響でイーストの浸透圧が変化するとは言っても、材料をすぐに混ぜてしまうのなら、隣同士でも問題ないのでは?

そのように考える人も少なからずいるかもしれません。

実際、10~15分程度であれば、イーストに与える影響はほとんどないとされています。

しかし、1時間以上の長時間置いておくような場合などは浸透圧に影響がある可能性があります。

普段、計量後にすぐにミキシングしているのであれば、特に問題はないと言えますが、塩がイーストの浸透圧に影響を与えるという理屈は知っておいた方が良いでしょう。

砂糖とイーストを隣同士にするのはあり? 

塩をイーストから離れた場所に入れることから、一般的にイーストの隣には砂糖とスキムミルクを置くことが多くなります。

しかし、浸透圧がイーストの機能に影響を与えるのなら、塩だけでなく砂糖も隣同士にしない方がいいのではないでしょうか?

結論としては、イーストと砂糖を隣同士にしても問題はありません。

実際、イーストと砂糖を隣同士に入れるどころか、イーストと砂糖のみをお湯の中であらかじめ混ぜ合わせて、予備発酵させる方法があります。

日本甜菜製糖株式会社 | ニッテン ドライイーストの使い方 (nitten.co.jp)

砂糖はイーストの栄養源となる重要な役割があります。

基本的には砂糖は餌として分解されるため、隣同士に置いてもイーストの発酵力を低下させるほどの浸透圧の影響はないと言えます。

気をつけるべきなのは、隣同士に置くことよりも砂糖の分量です。

砂糖の量がベーカーズパーセントで20%以上ともなると、イーストの餌として分解しきれずに残ってしまうため、発酵しにくくなります。

菓子パンなどで砂糖の多い生地を作る場合は、その分イーストの量を増やしたり、耐糖性のイーストを使うなどの工夫が必要なのです。

砂糖は、ある一定の量を超えると浸透圧による発酵力の低下が出てくると考えると良いでしょう。

使用時にイーストを弱らせてしまう行動

ここからは、使用時にイーストを弱らせてしまうおもな行動を紹介します。

せっかく保存状態の良かったイーストでも、使い方一つでイーストを弱らせてしまうことがあります。

これから紹介することに気を付けてイーストを使用すれば、活性の低下を最低限に防ぐことができますよ。

ぜひ参考にしてみてください。

冷水にインスタントドライイーストを触れさせる

15℃以下の冷水に弱く、直接触れると発酵力が落ちてしまいます。

これはイーストが死滅しているわけではなく、休眠状態となることで活性が低下するためです。

しかし、捏ね上げ温度の関係から特に夏場など気温の高い季節には、冷水を使う必要がある場合も出てくるでしょう。

仕込み水として冷水を使う場合は、材料を捏ねてしばらくしてからイーストを加えるのがおすすめです。

目安としては、ミキシングをし始めてから1分ほど経って、材料が全体的に混ざった頃にイーストを加えます。

予備発酵させたドライイーストなども同様に、15℃以下の冷水に弱いため直接触れることは避けた方が良いでしょう。

仕込み水に15℃以下の冷水を使わない場合は、最初からイーストを一緒に混ぜておいても問題ありません。

お湯にインスタントドライイーストを触れさせる

イーストがもっとも活発になる温度は32~35℃。

そのため、高すぎる温度にも気を付けなければいけません。

お湯にインスタントドライイーストを触れさせると、イーストが弱ってしまう可能性があります。

日清製粉グループのオリエンタル酵母工業株式会社では、インスタントドライイーストを50℃以上の仕込み水に入れると、酵母が死滅してしまうため40℃以下での使用を推奨しています。

オリエンタルドライイーストの取り扱いについて | イースト、発酵液等 | 食品事業 | オリエンタル酵母工業株式会社 (oyc.co.jp)

前述の「水温とイーストの関係」でも紹介したように、イーストは60℃で完全に死滅してしまいます。

どんなに高くても、50℃を超えないようにした方が良いでしょう。

これは生イーストやドライイーストの場合も同様です。

お湯と言っても使用可能な温度には上限があるため、メーカー推奨の上限温度であれば冷水の時のようにイーストを後で加えることなく、水と同時に捏ねても問題ありません。

しかし、そもそも仕込み水の温度は室温や粉の温度によって決まります。

たとえイーストに高温が良くないとは言っても、冬は気温が低いため室温が極端に低くなる場合もあり、その分高い温度の仕込み水が必要になることもあるでしょう。

捏ね上げ温度が低いと、その分発酵に時間がかかってしまいます。

このような場合は、仕込み水の温度を高くするのではなく、あらかじめ室温を20℃以上に設定しておくのがおすすめ。

日常的な作業であれば、環境から見直し、室温を調整できる設備を整えておくのが良いでしょう。

塩や砂糖にインスタントドライイーストを長時間触れさせる

たとえば、計量してしばらく放置してしまい、ミキシングまでに時間が経っていると塩や砂糖にインスタントドライイーストが長時間触れた状態になってしまいます。

このときに問題となるのは、浸透圧の影響によるイーストの活性低下です。

前述の「塩とイーストの関係」でも解説したように、砂糖はインスタントドライイーストに触れていてもさほど問題ではないものの、塩は浸透圧の影響でイーストの水分が外に流れ出し、イーストの組織が破壊されて機能を失ってしまうことがあります。

塩にインスタントドライイーストが触れたとしても、10~15分程度の短時間であればさほど問題にはなりません。

しかし、一時間以上触れた状態となっている場合は、浸透圧の影響を受けてしまう可能性があるため避けた方が良いでしょう。

インスタントドライイーストは粉末なのに浸透圧の影響はある?

インスタントドライイーストは乾燥していますが、休眠状態となっているだけで決して死んでいるわけではありません。

イースト品種や培養方法に特別な工夫をして、乾燥状態で長期保存可能にしています。

日本甜菜製糖株式会社 | イーストは天然由来です! – 日本甜菜製糖株式会社 (nitten.co.jp)

たとえ粉末状のインスタントドライイーストでも、材料や空気中の湿気を吸って水分を含んでしまうので、浸透圧の影響を受けてしまう可能性が高くなります。

計量後の長時間の放置は避けるべきでしょう。

まとめ

イーストは生き物であるため、その取り扱いにも少し気を使ってしまうもの。

ただしく使わないと、発酵に大きく影響してしまいます。

しかし、市販のインスタントドライイーストは、思った以上に品質が安定するように工夫して作られており、初心者にとってとても扱いやすいものとなっています。

レシピ通りに使えば、基本的には誰でも上手にパンを作ることができるはずです。

もし、イーストを入れたのに生地が膨らまないと思ったら、今一度レシピ通りに忠実にイーストを取り扱っているか、見直してみると良いでしょう。

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