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フィンランドはライ麦パンの国!パンの種類や特徴を発祥や伝統など歴史的な観点から紹介!

ヨーロッパの北東部に位置するフィンランドは、正式名称をフィンランド共和国といい、森や湖に覆われていることから、森と湖の国と呼ばれています。

フィンランドはライ麦の栽培が盛んなことから、ライ麦パンの国でもあるのです。

そんなフィンランドのパンの種類や特徴を、発祥や伝統など歴史的な観点から紹介していきたいと思います。

目次

フィンランドの食文化

まずはフィンランドの食文化について見ていきましょう。

寒さが厳しく保存食が多いフィンランド

フィンランドはヨーロッパのなかでも北にあり、北極に近いことから非常に寒さの厳しい国です。

一年の半分ほどが雪で覆われているため、食材や香辛料などが乏しい国でした。

そんなフィンランドでは、長い冬に備えた保存食が豊富。

魚やじゃがいもを使った料理が多く、魚は塩漬けや酢漬け、干したものがよく食べられています。

保存食であるため魚は冷たい料理が多いのですが、温かい料理としてじゃがいもを使った料理が大変好まれています。

貿易の街として栄えたポルヴォー

14世紀ごろになると、フィンランドでは2番目に古い街と言われているポルヴォーが貿易の街として栄えます。

この頃から、外国から香辛料などが手に入るようになり、パンを始めとするさまざまな料理に使われるようになっていきます。

日本で言うバイキング形式の「スメルゴスブート」が多い

フィンランドで定番の食文化と言えば、スメルゴスブートと呼ばれる食事スタイルです。

大きなテーブルに並べられたたくさんの料理のなかから、好きなものを自分のお皿にとって食べるスタイルは、もともとスウェーデン発祥の文化ですが、ここフィンランドを始めとする北ヨーロッパで広まり、伝統的な食文化となっています。

スメルゴスとは、パンに具をのせたオープンサンド、ブートはテーブルのこと。

そのため、テーブルにはサケの塩漬けやニシンの酢漬け、じゃがいものグラタンなどと、それらの料理に合わせるリーンなタイプのパンが置かれているのが特徴です。

フィンランドでライ麦パンが多い理由

小麦は寒冷地での栽培が難しいため、フィンランドでは低温で発芽しやすいライ麦の栽培が盛んでした。

小麦は20℃前後で発芽しやすいのに対し、ライ麦は1~2℃でもっとも発芽しやすい特徴があります。

夏に収穫したライ麦を使って、冬まで保存できるような乾燥したパンを作り始めたのです。

フィンランドではパンのことを「レイパ」と呼んでいますが、これはライ麦を使ったパンにのみ使われている言葉。

パン=ライ麦のパンという感覚のフィンランドでは、国民食といえばライ麦パンのことなのです。

今でこそ保存技術が発達していますが、もともとは手に入りやすいライ麦を使って保存食のパンを作ったことから、フィンランドではライ麦パンが主流となっていったのです。

フィンランドとドイツのライ麦パンの違い

ライ麦パンと言えば、ドイツのパンのイメージが強いかもしれません。

ドイツはロシアやポーランドと並ぶ世界最大級のライ麦生産地でもあることから、ライ麦を使ったパンが非常に豊富です。

フィンランドのライ麦パンは、ドイツのライ麦パンの影響を受けたものと言われています。

しかし、それぞれの国のライ麦パンには違いがあり、なかでも材料に使っている粉に大きな違いがあるのです。

ドイツのライ麦パンは、小麦粉を配合したものが多く、またその配合の違いによってたくさんの種類のライ麦パンが存在します。

ドイツの南部では小麦の栽培が可能であるため、ライ麦パンに小麦を混ぜて作るものも多いのです。

種類の豊富なドイツのライ麦パンは、小麦の配合の違いによってパンの名称も変わります。

一方、フィンランドのライ麦パンは、ライ麦全粒粉を使ったものや胚芽やふすまを取り除いた粉を使用しており、小麦粉はあまり使われていません。

自然環境の厳しいフィンランドでは、主力穀物であるライ麦をふんだんに使ったライ麦パンが作られています。

フィンランドのパン

ライ麦を材料に使ったものが豊富なフィンランドのパン。

どのようなパンがあるのか、紹介したいと思います。

ルイスリンプ(Ruislimppu)

ライ麦の全粒粉を主体に、ライ麦粉、小麦粉を配合した生地で作る大きなドーム状のパンです。

サワー種を使っているので酸味があり、ずっしりとした重みがあるのが特徴です。

薄くスライスして、レバーペーストやオイルサーディンなどと合わせたり、味の濃い料理と一緒に食べられています。

発祥や伝統、歴史的エピソード

ルイスは「ライ麦」、リンプは「なまこ型」の意味。

使っている材料やその見た目から名づけられた名前です。

リンプは基本的にはなまこ型という意味ですが、丸形のものでもリンプと呼ばれることがあります。

ハパンリンプ(Hapanlimppu)

画像引用元

ライ麦粉が主体の大きなドーム状のパン。

なかにはナマコの形をしたものもあります。

サワー種と塩だけを加えて作るとてもシンプルなパンで、ライ麦の酸味がありながらも、サワー種の引きだす甘みのおかげで、比較的食べやすいのが特徴です。

ルイスリンプと同じく、薄くスライスしてスモークサーモンなどと食べられています。

発祥や伝統、歴史的エピソード

ハパンはフィンランド語で「酸っぱい」、リンプは「ナマコ」の意味です。

酸味が特徴のパンであることと、ナマコの形から名づけられたとされています。

黒パンの原型ともなったパンで、噛みしめるほどに旨味や酸味が出てきて味わい深いパンです。

ペルナリンプ(Perunalimppu)

ライ麦全粒粉が主体の生地に、マッシュポテトを練り込んだパンです。

ライ麦全粒粉のほかに、ライ麦粉や小麦粉も使っています。

マッシュポテトが練り込んであるため、ライ麦粉のパンの割にぼそぼそしておらず、生地はもちもちとした食感です。

キャラウェイシードなども練りこむため、そのままでも味わい深い伝統的な田舎パンです。

チーズと一緒に食べるのもおすすめのパンで、食物繊維が豊富でとてもヘルシーです。

ペルナリンプには大きく分けて2種類あり、ひとつは表面にヒビが入っているタイプのパン。

もう一つは糖蜜を塗って黒く艶々したパンがあります。

発祥や伝統、歴史的エピソード

ペルナはフィンランド語で「じゃがいも」、リンプは「ナマコ」の意味です。

ナマコを意味するリンプは丸形のパンにも使われているため、じゃがいもを使ったナマコ型(丸形)のパンであることから名づけられました。

ハパンレイパ(Hapanleipä)

画像引用元

ライ麦粉が主体のパン。

薄く伸ばしたピザのような形をしており、中央に穴の開いたドーナツ型をしているものもあります。

表面にはピケローラーを使って無数の穴を開けて焼くのが特徴で、穴を開けることで空気を抜き、生地がデコボコになるのを防いでいます。

ライ麦の酸味と噛み応えのある食感が特徴で、ハムやチーズなどをのせてオープンサンドとして食べられています。

発祥や伝統、歴史的エピソード

ハパンは「酸っぱい」、レイパは「パン」の意味。

ハパンレイパもライ麦粉を使ったパンの代表です。

もともとハパンレイパは保存食で、穴に棒を通して保存していました。その名残から、今でもハパンレイパは穴の開いたタイプが多く見られます。

フィアデンリング(FiadenRing)

画像引用元

ライ麦全粒粉を主体とし、真ん中に穴の開いた薄いドーナツ型のパンで、見た目はハパンレイパに似ています。

放射状に8本の溝が入っており、溝に沿って割って上下に切り分けて食べます。

水分量が少なく噛み応えがあるので、少量ずつ食べるパンです。

発祥や伝統、歴史的エピソード

ハパンレイパと同様、穴に棒を通して保存していたことからドーナツ型をしています。

お店で陳列する際も、穴に棒を通して売られていることが多いです。

カレリアンピーラッカ(Karjalanpiirakat)

発酵せずに薄く伸ばしたライ麦粉の生地で、炊いたお粥を舟形に包んで蒸気をあてながら焼き上げるパイのようなパンです。

ムナポイというバターに刻んだゆで卵を混ぜたペースト状のものをトッピングとしてのせ、朝食や軽食として食べたり、コーヒーのお供としてお茶菓子のように来客に振る舞うこともあります。

発祥や伝統、歴史的エピソード

カレリアンはフィンランドの東部に位置するカレリア地方のこと、ピーラッカは「包んだ」という意味です。

もともとカレリア地方で食べられていたパンですが、今ではフィンランド全域で食べられています。

日常的に食べられているパンですが、結婚式やお祝いの席でもよく食べられています。

まとめ

ライ麦パンと言えばドイツのイメージが強いですが、寒冷地でライ麦の栽培が盛んなフィンランドではライ麦を使ったパンが非常に多いことがわかりました。

魚の塩漬けや温かいじゃがいも料理に添えるシンプルなパン、保存食として重宝するパンが発展したのもフィンランドのパンの特徴ですね。

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この記事を書いた人

医療技術系短大卒業後、バイオ系研究室テクニシャンなどを経て、現在はフリーランスのライターとして活動中です。
製パンスクールのプロコースを卒業した経歴を活かし、実践に役立つ製パン知識を、よりわかりやすく科学的にお伝えします。
食育アドバイザー、幼児食インストラクター資格保持。

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