玉葱とクラリオン
2015年から掲載が始まったので、WEB小説としては古めの作品。
書籍化されており、2巻で打ち切りとなっている。
作品概要
第3回HJ小説大賞前期『小説家になろう』部門を受賞した人気作。
異世界転移物で、主人公はチート能力として強大な魔法が使えるが、強すぎて市街地では使えないのであまり出番はない。
ソシャゲで遊んでたら異世界に迷い込んでいた青年、但馬波留。剣と魔法が支配するゲームみたいな世界に困惑しつつも、現代人の知識を頼りに立身出世しようと目論むが……そこはかつて勇者が君臨していた内政チート国家だった。
小説家になろう – 玉葱とクラリオン
空腹は満たされ清潔な衣服を纏う人々。経済的に町は潤い鉄筋コンクリートの家が建ち並ぶ。生半可な知識は通用せず、ろくな職にもつけず埋没する彼は、生き残りをかけた起死回生の策に打って出た。
「他ならぬあなただけに、特別なお話があるんです。いえいえ、怪しくなんかありません。私の故郷ではねずみ講と言うのですが……」
これは詐欺師と蔑まれ、後にソープ王と呼ばれた男の異世界サクセスストーリー。
感想
本作の掲載が始まった2015年末は既に異世界転生物は当たり前の存在となっていたからか、その王道を逸れる邪道な路線で頑張っている。
例えば、石鹸で衛生環境の改善したり、マヨネーズを作って販売、オセロなどのボードゲームを販売、といったものが異世界系作品で使い古されたネタである。
そういったマンネリ感があったからか、本作では、既に過去の勇者によって内政チートが行われた後、という設定になっており、邪道な路線として詐欺まがい(というか実際に詐欺)をするという、ギャグ多めの作品である。
当たり前のように『ハローワーク』という言葉が出てきたり、リアリティラインが「あぁ、そういうギャグを使うおバカな世界なのね」と気軽に読める。
しかし、その後に「あれ? これってもしかしてただのギャグじゃなくて伏線だったのか?」と徐々にシリアスが増えていくのが面白い。