乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です
2017年から掲載が始まったので、WEB小説としては新しめの作品。
書籍化とコミカライズがされ、アニメ化もしている。
書籍は全十三巻で完結。コミカライズは王国編までが全十三巻で完結し、共和国編が別の漫画家によるコミカライズが開始されている。
作品概要
現代日本人が異世界に転生したと思ったら乙女ゲームの世界だった、という異世界転生物。
男が主役の悪役令嬢物!?
異世界に転生した「リオン」は、貧乏男爵家の三男坊として前世でプレイさせられた「あの乙女ゲーの世界」で生きることに。
そこは大地が浮かび、飛行船が空を行き交うファンタジー世界。
だが、リオンは素直に楽しめない。
何故ならそこは設定がふわふわしたあの乙女ゲーの世界だと知っていたからだ。
そんな世界にリオンは、ゲームでは名前すら存在しない「モブ」として転生してしまう。学園では女子のみが専属使用人という亜人種を奴隷として連れるのが当たり前の世界。
男子は亜人種を連れることも許されず、婚活では常に下手に出て苦労する。
しかし、あの乙女ゲーの攻略対象である貴公子の男子たちは例外で女子に囲まれチヤホヤされていた。
そんな姿を見たリオンは、理不尽な境遇に怒りを募らせていく。転生した先がふわふわした設定の乙女ゲー世界だと思い込んでしまったリオンは、平和の未来を掴み取るためゲーム知識や卑怯な手を使い様々な困難に立ち向かう!
――はずだったのだが。
小説家になろう – 乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です
感想
主人公はゲームで名前が登場しないモブだが、ゲームの知識でロストアイテムを入手して、とんでもない戦力を手に入れる。
そんなわけで、本作はチートアイテムで無双する物語である。
しかも主人公は性格が捻くれていて周りは敵ばかり。
主人公に突っかかってくる貴族をネチネチと口で責め立てながら、戦闘ではボコボコにする。
つまり、分かりやすくスカッとする物語である。
こんな設定は異世界系作品ではありふれているが、本作の良い点として、主人公と敵対する王子やその取り巻きキャラに根っからの極悪人がいないという点だ。
よくある王族の婚約破棄という展開でも、性悪女に騙された頭の弱い王族というだけで、根っからの悪人ではない。
主人公以外の転生者が自分本位に振る舞っているのも、転生者特有の調子こき太郎状態というだけで悪気があるわけではない。
考えなしの行動で周囲に迷惑をかけているキャラに対して、ネチネチと口で責めつつ実際に戦闘でも攻めまくる主人公は見ていて気持ちがいい。
基本的に、主人公は言動が陰湿なだけで根本は思いやりがある人間なので、致命的な追い込みはせずに落としどころを考えている。
主人公が責め立てる際に、読者も「そら責められて当然やろな」という納得感があるので、読みやすい。
他の異世界系作品の中にはスカっとする要素に特化しすぎた結果、敵対キャラが愚かな言動しかできない舞台装置として存在するだけになっていることも多い。
その点、本作は敵対キャラも「頭が弱いだけで根はいい奴なんだよな」とか「バカで純粋なんだよな」と思えるような可愛げがある。
スカっとする気持ちよさやキャラクターに魅力がある作品だ。
WEB小説掲載サイト
小説家になろう

書籍化
小説
コミカライズ
WEB掲載漫画 – カドコミ

映像化
アニメ化
シーズン1は放送済み。シーズン2は制作決定している。

関連作品
あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です
『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』のスピンオフ作品で、IFストーリー物。
『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』を読んでいることが前提となっているので、『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』を読み終わってから手を出す方がよい。
間違ってこちらから読むとネタバレが多分に含まれているため要注意。
小説
コミカライズ
WEB掲載漫画 – カドコミ

同作者の別作品
