予言の経済学~巫女姫と転生商人の異世界災害対策~
2016年から掲載が始まったので、WEB小説としては新しめの作品。
書籍化されており、二巻で打ち切りとなっている。
作品概要
異世界転生物だがチート能力はなし。
異世界で商人の息子として生を受け、地球の知識を生かして商人を生業としている。
主人公は学生の身分であり、同級生の巫女姫と会話する機会があるが、主人公自身は保身のために身分が上の者に自分は大したものではないと認識させることに必死。
しかし、巫女姫の能力の未来予知(予言)による大災害を回避するために、偉い人と関わらざるを得なくなっていくのだった。
「どうか聞いてください。今年、西方より大いなる災いがこの国を襲います」
カクヨム – 予言の経済学 ~巫女姫と転生商人の異世界災害対策~
平和を謳歌する王国に王女アルフィーナの不吉な予言が告げられる。だが、反逆者の血筋を疎まれる姫の言葉は無視される。
経済学部院生から行商人の子に転生した主人公リカルドは身分社会で大商人の妨害に苦戦。情報を求めて入った学院でも早々に反感を買っていた。
そんなリカルドを庇ったのはアルフィーナだった。「王女なんてボラティリティーの高い人間には近づかない」と保身に走ろうとするリカルド。だが「策士を気取ってる割にチョロい」と幼馴染に嘆かれる彼は、姫の予言に巻き込まれていく。
「もっともらしさは問題じゃない。仮説の成否を検証できるデータをどう取るかが重要だ」
災厄の本体ではなく被害後しか映さない予言に対し、リカルドは現代知識の概念を魔力災害に応用することで解明していく。
感想
物語の流れが “災害の予知→仮説→検証” という流れを繰り返していくのが楽しい。
まず、人を動かすためには説得材料が必要である。
そして説得材料を揃えるためには計測が必要になる。
例えば、姫は予言をイメージ(花畑で逃げ惑う人々、など)として受け取れるが、そのイメージをそのまま国家運営をしている王や宰相に説明しても、国を動かすだけの説得材料を説明できない。
なぜなら「場所が確定していない」「いつ発生するかわからない」「災害がいつまで続くかわからない」「どんな種類の災害かわからない」という状況では、どこの地域の国民をいつ避難させたらよいか、いつまで避難させたらよいのか、国家は判断ができない。
そこで主人公は、姫に聞き取りを行い、場所を特定し、仮説を立て、仮説を検証するために調査や計算、実験を行うことになる。
どのような災害であるかというのを推理するミステリ要素もあるし、ファンタジー世界でなんとか地球の数学や科学知識を応用して検証結果を得ようとチームプレイで奮闘する様子もあり、実に面白い。
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