フシノカミ
2019年から掲載が始まったので、WEB小説としては新しめの作品。
書籍化とコミカライズがされており、書籍は全七巻で完結しており、コミカライズは連載中で七巻まで出版されている。
作品概要
高度な古代文明があったのに、文化や技術の継承ができずに中世暗黒時代のような生活水準になっている異世界で、主人公は古代文明の本を手掛かりに文明の再興に試みる。
前世らしき記憶を持つ少年アッシュは、決意した。記憶にある便利な生活を、今世に取り戻そう。
辺境のド田舎、何の地位も財産もない農民の倅に、そんなことが果たしてできるか。
少年は笑った。まず、無理だろう。だが、笑った。
どうせこれ以上ないほど絶望的な今世だ。精一杯夢を見て、全力で追いかけて、思い切り前のめりにくたばってやろうではないか。これは、文字を覚えるところから始めた少年が、田舎の寒村を仰天させ、辺境の領都を発展させ、王国を震撼させ、世界を変革する記録。
小説家になろう – フシノカミ
後世に伝説として語られる、文明復旧の物語である。
感想
異世界転生物。現代知識無双もしがち。
農家の倅なので「本を読む暇があったら畑の面倒を見ろ」という親から理解されない環境で、自力で文字を覚えて古代文明のような優雅な生活を夢見る主人公。
現代の地球の知識があるから古代文明を紐解くとっかかりとなっている。
「古代文明の文字って表音文字じゃなくて表意文字じゃない?」って気付きでも、現地人にとっては大きなブレイクスルー。
だけど、主人公は田舎の農民なのでまず改善できることは、手荒れを治す軟膏を作ったりするぐらい。
古代文明の復興の道のりは長い。
本作の主人公は性格がよいので親しみやすい。
いい大人が転生してるのにチート能力で調子に乗りまくるいけ好かないキャラが多いのが異世界転生物ではあるが、本作の主人公は紳士然としており調子に乗らない。
それでいて周りを巻き込む猪突猛進さもあり、熱血主人公のようでもある。
なんな具合に、主人公も含め、周りのキャラもいい人間ばかりなので読んでいて嫌な気持にならない。
序盤の物語の進み方がスローなので主人公がグイグイと成り上がる話ではないが、ゆるい盛り上がりを楽しみたい人にはオススメの作品だ。