ライブダンジョン!
2016年から掲載が始まったので、WEB小説としては新しめの作品。
書籍化とコミカライズがされている。
書籍は全三巻で打ち切り。コミカライズは連載中で十三巻まで刊行されている。
作品概要
異世界転移物。主人公は地球に戻るためにダンジョン100階層制覇を目指す。
チートはなく、地道にレベル上げをする必要があるが、主人公はゲーム知識を生かしてダンジョン攻略を進めていく。
ライブダンジョンという古いMMORPG。サービスが終了する前に五台のノートPCを駆使してクリアした京谷努は異世界へ誘われる。そして異世界でのダンジョン攻略をライブ中継で見た努は絶句した。戦略のせの字も無いゴリ押し。不遇のヒーラー職。ゲームでは白魔道士を愛用していた努は白魔道士の復権と、異世界脱出の鍵を求めダンジョン制覇を目指す。
カクヨム – ライブダンジョン!
感想
『ライブダンジョン!』というタイトルにもある通り、本作ではダンジョン内での冒険はダンジョン外にライブ中継されている。
本作は、今流行りのダンジョン配信と似たようなことを8年前に既にやっていたということになる。
今流行りのダンジョン配信系小説はYouTubeのライブ配信のようなシステムで視聴者コメントがリアルタイムで流れるものが主流だが、本作では昭和初期の街頭テレビのようにテレビ中継をみんなで集まって視聴するスタイルである。
そのため、視聴者目線が描かれるのはボス戦が多く、普段の冒険では視聴者のリアクションはあまり描かれない。
そのあたりが昨今のダンジョン配信系とは違う。そしてそれが良いメリハリとなっている。
昨今のダンジョン配信系の主流なストーリーは主人公が無敵と言えるぐらい強くて一般視聴者がそれに驚愕する、という展開をずーっと繰り返していくことが多い。
お手軽に爽快感があってそれはそれでよいのだが、如何せんストーリーに起伏がないためマンネリになりがちである。
その点、本作ではレベル上げやチーム連携の修練などの視聴者のリアクションがなくてもよいシーンは一般視聴者の視点がない。
そして、ボス戦のような盛り上がりがあるシーンでは主人公たちの現場の視点と一般視聴者たち視点のそれぞれが描かれる。
視聴者視点がある方が盛り上がるシーンにだけ視聴者のリアクションがあるので、読んでいて感情移入しやすく、読んでいて「そうそう!こいつらはすごい奴らなんだよ!」と誇らしい気持ちになる。
また、地球の記憶でゲーム知識を生かして無双する話は異世界系作品に多くあるが、本作では無双とまではいかない。
この世界のヒーラーはポーションを使わなくて済むぐらいの使い捨て要員なので、まずパーティー構成の改革から始めて、それを周りに広めてヒーラー自体の地位を向上させることに注力していく。
そういった地位向上のための提案と実演をしていく様も見ていて気持ちいい。
余談
余談だが、私はこの作品が『小説家になろう』で掲載され始めた当初から読んでいた。
作者の発言も追いかけていた私としては、当時の作者が書籍化に浮かれまくって職場でイキってたら人間関係が壊れて自主退職するはめになったという人間臭いエピソードは忘れがたい。
書籍が三巻で打ち切られた時に作者が腐ってしまい、もう登場人物を全員殺して終わらせようとしたが、書いたものが面白くなさ過ぎて正気に戻ったというエピソードも面白い。
作者が皆殺しエンドを公開せずに思い留まってしばらく後、書籍は打ち切りなったがコミカライズの打診がきたことで、作者は「あの時、皆殺しエンド公開してたらと思うとゾッとする」という旨の発言をしている。
もう本当に「この作者は人間だなぁ」と思ったことを強く記憶している。
仁が見えると応援したい気持ちになってしまうのが人の性というものなんだろう。
WEB小説掲載サイト
小説家になろう
一旦、2019年で完結した。
その後、続きの物語は別サイトに掲載されているが、『小説家になろう』では更新されていない。
カクヨム
『小説家になろう』では更新が止まっているが、こちらは最新話まで更新されている。
作者の個人ブログよりも少し後に更新されていく。
作者のブログ
『小説家になろう』で完結した後、しばらくして、物語の続きが作者のブログにて掲載され始めた。
このブログが一番早く最新話が更新されていく。
書籍化
小説
コミカライズ
WEB掲載漫画 – カドコミ
