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崩壊世界の魔法杖職人
2024年から掲載が始まったので、WEB小説としては最近の作品。
まだ書籍化はされていない。
作品概要
ある日突然、科学文明が崩壊し、魔法を使うことを余儀なくされた世界で、主人公は魔法杖職人として生計を立てて生きていく、というお話。
ノミの背中に金閣寺の入れ墨を彫れるド器用主人公による、不器用過ぎるオーバーテクノロジーばら撒きポストアポカリプス生活。
小説家になろう – 崩壊世界の魔法杖職人
感想
世界設定の掘り下げがしっかりとしていて面白い作品だ。
本作は、魔法的な現象によって電気が使えなくなったため、文明構築の手段が魔法に置き換わるという設定である。
科学知識のある現代人が魔法を研究していく中で、ファンタジー物でお馴染みの「魔法使いの杖」や「特殊効果付きのアクセサリー」を作っていく様は、異世界ファンタジーの世界に再構築されていくようで面白い。
もし、科学知識の素養がない人間がゼロから魔法を研究していくとしたら、それこそ人類史のやり直しになっただろう。
本作の主人公が超絶技巧で加工した魔法杖を作れる人間だったから、現代人の科学知識の応用でバシバシドシドシと魔法世界のブレイクスルーとも言えるような研究成果を積み上げていく。
もしかしたら私が今まで読んできた異世界ファンタジーも(本作の主人公程の早さではないにせよ)こんな魔法文明の積み重ねがあったのかも、と思わせてくれるような作品だ。
キャラクターは、主人公の性格がコミュ障という部分がブレないのが誠実な作品だと言える。
しかし、コミュ障の描写というか言動というか、ノリが軽い。
ライトノベルでありがちなコミュ障表現ぐらいのもので、キャラクターにあまり厚みは感じない。
キャラクターやストーリーよりも、世界設定の掘り下げ具合が読んでいて楽しい。そんな作品だ。