狼は眠らない
2017年から掲載が始まったので、WEB小説としては新しめの作品。
書籍化とコミカライズがされている。
書籍は全八巻で完結しており、コミカライズは全三巻で打ち切りとなっている。
作品概要
強さを迷宮に求め続ける武骨な戦士の物語。
地球の現代人が転移も転生もしていない完全オリジナルのファンタジー作品。
主人公が別の世界に通じる穴を通って異世界へ転移するところから物語が始まる。
つまり、主人公は私たち読者からすると異世界の住人なので、異世界から異世界に転移する異世界転移物の作品である。
〈黒穴〉に入った者は、力と富を得られる。そんな伝説を信じて〈黒穴〉に飛び込んだ戦士レカンは、異世界に落ちる。彼が目にしたものは、みたことのない迷宮と、みたことのない魔獣だった。レカンの冒険の旅が始まる。
小説家になろう – 狼は眠らない
感想
この作品を異世界転移物という括りにしてしまうのは違和感があるが、設定だけでいうと異世界転移物といえなくもない。
また、チート能力などはなく、戦闘や修行をして強くなっていくし、チートアイテムはなく、迷宮の宝箱から装備を獲得していくことで装備を更新していくあたり、王道のファンタジー作品となっている。
本作はそのあたりのバランスと、世界観の見せ方が上手い。
例えば、異世界系の作品では、便利な能力として魔法やマジックアイテムとして亜空間に物を収納できるというのが使い古されたネタとしてある。
そして、主人公がその能力を披露すると周りのキャラが称賛するというところまでがセットになっており、陳腐化している。
しかし、本作ではそういう能力を見せたとしても「そちらの世界では人間に〈収納〉を付与できるのか」というカルチャーショックのような描かれ方をしている。
こういった細かい描写で、異世界から異世界へ転移していることが生かされているのが、実によい。
カルチャーショックが物語序盤の世界観の説明にも繋がっている。
主人公は自分の世界の迷宮と、転移先の世界の迷宮では別のルールがあったり、この世界の薬についても無知であるため迷宮で使う回復薬について学ぶ必要がある。
主人公は新しい世界では無知な初学者であるため、前述のことを学ぶのだが、それでも主人公は熟練の戦士であるためやり取りがカッコイイ。
読者への世界観の説明とキャラの魅力を両立できているのが、実にうまい。
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