近畿地方のある場所について
2023年から掲載が始まったので、WEB小説としては最近の作品。
書籍化とコミカライズがされている。
書籍は一巻で完結しており、コミカライズは現在連載中。実写映画化も決定している。
作品概要
現代日本を舞台としたホラー作品。
2025年1月現在、カクヨムのホラージャンルの年間ランキング1位、累計ランキング1位の人気作。
近畿地方のある場所についての怪談や不思議体験、事件について、様々なメディアから収集した、という体のオムニバス形式の作品。
情報をお持ちの方はご連絡ください
カクヨム – 近畿地方のある場所について
近畿地方のある場所にまつわる怪談を集めるうちに、恐ろしい事実が浮かび上がってきました。
感想
雑誌のコラムや新聞に掲載された事件、動画配信サービスのアーカイブなど、様々なメディアの情報を文字起こしし、カクヨムというサイトに掲載して、読者(我々)に「情報を持っていたら連絡をくれ」と問いかけている。
所謂モキュメンタリーやフェイクドキュメンタリーと呼ばれる作品。
カクヨムに掲載しているのは背筋先生だが、掲載している文章を作成したのは失踪した友人が書いたものだという。(そういう設定)
バラバラの事象を紐づけていくと全体像が見えてくる、というミステリ要素もあり、ちゃんと不気味で怖い。
本編だけではなく、カクヨムのシステムにある『近況ノート』という項目も使っているのが芸が細かくてよい。
近況ノートとは、作者ページにある一つの項目で、小説とは別に作者からのご報告(一般的には書籍化の報告や、コメント欄に対する対応方針の報告など)が掲載できる画面である。
そんな本来は作者の近況を掲載するべき画面に「近畿地方のある場所について」の内容と紐づいた画像が添付されているのだ。
近況ノートは往々にして作品を読み終わってから見に行くことが多いので、読後に二度美味しい。
全く、芸が細かい。脱帽である。
また、近況ノートと同じような内容は背筋先生の X(旧Twitter) にも投稿されており、こちらをみるのもよい。
ただ、難点を上げるとすると、 背筋先生のモキュメンタリー小説作成者としての X(旧Twitter) ではホラー作家として投稿しているので、そちらを見てしまうと『近畿地方のある場所について』の恐怖感が薄れてしまう。
とあるモキュメンタリー映画監督は、ファンから映画について感想を言われたりしても「私はあのフィルムを発見しただけなので」という旨の回答をしている。
つまり、あの映画はファウンド・フッテージ(撮影者行方不明などで埋もれていた映像を発見した物)ですよ、とモキュメンタリー映画の世界観を壊さないように配慮してくれているのだ。
背筋先生もそういう言動を徹底してくれていたら読後感も言うことなしだったのだが、作者からしたら悩ましいところなんだろう。
WEB小説掲載サイト
カクヨム
書籍化
小説
コミカライズ
WEB掲載漫画 – カドコミ

映像化
実写映画
『ノロイ』や『オカルト』などのモキュメンタリーでお馴染みの白石晃士監督が実写化。
2025年公開予定。