異世界コンサル株式会社
2016年から掲載が始まったので、WEB小説としては新しめの作品。
書籍化されているが、WEB小説をそのまま書籍化はしておらずビジネス書として出版されているので、小説として楽しむにはWEB小説を読むとよい。
また、コミカライズもされているがこれまたWEB小説の一部を切り取ったストーリーとなっており、一巻で完結しており、手軽さはあるが原作ファンからすると悲しい。
作品概要
小説家になろうの部門別ランキング1位になったこともある人気作。
異世界転移物だが、チート能力はなし。主人公は地球人と変わらない状態で異世界生活を送っている。
主人公は冒険者として活動をしていたが、負傷により引退し、冒険者とは別の生計を立てる必要に駆られ、地球での知識と経験を生かして冒険者パーティーの経営相談(コンサルティング)で日銭を稼ぐことになっていく。
この世界での冒険者は、貧困に喘いだ村人が冒険者に身をやつすような底辺の仕事である。
そんな冒険者の在り方をより良いものにするために、主人公は事業を起こしたり身分を上げることで対応していく。
「もう、辞めた方がいいんじゃないですか。」
異世界に転移したチートなし冒険者のケンジの冒険者人生は5年で終わった。仕方なく底辺冒険者のコンサル事業を始めたケンジだったが、次第に彼らのためのサポート事業立ち上げを考える始めるが・・・。
これは、封建社会の利権に挟まれ、命を危険にさらされながら、七転八倒して事業を立ち上げる元冒険者の物語
カクヨム – 異世界コンサル株式会社 書籍発売&コミカライズ中!(旧題:冒険者パーティーの経営を支援します!!)
感想
冒険者をメインの話にしているが主人公は冒険者を引退しているので戦闘に直接関わるはなく、コンサル業に終始しているのがよい。
というのも、異世界系作品では、当初は戦闘物ではなさそうだったのに途中から主人公が戦闘で目覚ましい功績を上げる戦闘パートが入りがちだが、本作ではそういった横道に逸れることがない。
本作はコンサル業・新規事業の立ち上げ・組織改革について人と対話していくことが主だった物語なので、会話が多くて読みやすい。
また、本作の主人公は常に落ち着いていて冷静なので好感が持てるキャラクタになっている。
よくある異世界作品のように主人公が調子に乗ってしまいキャラクタが鼻につくということがないので、それも読みやすさに繋がっている。
上から目線になることもなく、過剰に遜ることもないため、如何にも普通のビジネスパーソンというキャラクターだ。
WEB小説掲載サイト
小説家になろう

カクヨム
異世界コンサル株式会社の書籍化までの道程
書籍化の打診メールから、打ち合わせ、市場調査、といった書籍化までの道程をほぼノンフィクションで掲載されている。
個人的に面白かったのは、編集者が下記のようなニュアンスのことを提案しまくること。
「女性キャラ増やしましょう」
「このキャラをエルフにしましょう(属性を盛れ)」
「あのキャラもあのキャラも主人公に気がある設定にしましょう(ハーレムにしろ)」
ライトノベル業界の洗礼という感じがして面白い。
書籍化
ビジネス書
ビジネス書という体裁になっているため、小説として読むには向かない。
小説を楽しみたい場合はWEB小説を読む方がよい。
コミカライズ
小説の一部分だけ切り取ったような一巻で完結のコミカライズ。