侯爵令嬢アリアレインの追放
2024年に掲載されたWEB小説としては最近の作品。
書籍化は決定しているが、まだ発売はされていない。
作品概要
令嬢が婚約破棄され追放される定番の設定。ただし、主人公の令嬢は苛烈な性格な模様。
「アリアレイン、そなたを追放刑に処す!」
ひとりの侯爵令嬢が、王太子に追放を宣告された。
「なぜあっさりと受け入れられたのですか」
それに憤る者。
「――は?」
驚く者。
「姉様、本気なの?」
疑問を抱く者。
「お願いでございます殿下、どうかお考え直しください!」
慈悲を願う者。
「教会から王太子殿下に取りなすこともできます、ハーゼン様」
助力を申し出る者。
「――侯爵閣下によろしくお伝えください」
見送る者。
「つまり皆々安泰、万事めでたし、ということでしょうな」
喜ぶ者。
追放の事実を聞いた者の反応は様々だ。
「行きましょう」
しかし、交錯する思惑をよそに、侯爵令嬢は揺るがない。
そして彼女が放った一手は――「まことに、かの侯爵令嬢の周到さには驚かされるばかりよな」
「しばらく王太子の命令もなにも届きますまい」
「――どういう、ことなのだ?」――王国そのものを揺るがした。
追放を宣告された侯爵令嬢の逆襲が、始まる。
カクヨム – 侯爵令嬢アリアレインの追放
感想
よくある婚約破棄からの追放物なのだが、本作の素晴らしい点は戦記物のような描き方をしている点だ。
婚約破棄からの追放物でよくある展開は、追放先で主人公が超有能だと判明して成り上がったり、追放先の王子などの権力者に見初められたりして、その後、追放元の王子と直接対峙して後悔させたり断罪したりする。所謂「ざまぁ」展開がお約束だ。
そこをいくと本作は、王子と直接対決して「ざまぁ」展開を見せることもなく、サスペンスドラマのラストのような分かり易いカタルシスを演出しない。
王子と主人公が問答して論破することもないし、王子が後悔したり懺悔したり反省したり己を顧みる描写もない。
そういった演出の代わりに、主人公の策略が見事にハマっていき、王子が主人公の掌の上で翻弄され苦境に立たされていく様が読んでいて楽しい。
読み終わったときは、歴史物や軍記物を読み終えたような読後感がある。それが心地よい。
また、文庫本一冊程の文字数で完結しているので、気軽に読めるので軽い気持ちで読んでみてほしい。
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「侯爵令嬢」筆者しろうるりの反省
『侯爵令嬢アリアレインの追放』を執筆した際に事前にリサーチした点や、なにを意識して執筆したか、という反省点などが書かれている。
小説を読む専門の人には刺さらないかもしれないが、WEB小説を執筆している人なら、他の人はどういうことを考えて執筆しているかが垣間見えて面白いのではないかと思う。
ありがたいことに「小説家になろう」において大好評をいただき、「第6回アース・スターノベル大賞」にてルナ部門の佳作を受賞、6月末をもって無事連載を終了した「侯爵令嬢アリアレインの追放」について、筆者がその執筆の経緯などなどを振り返るエッセイです。
何を考えてたらああいうのができるんだ、というあたりに興味をお持ちの方はぜひご一読ください。長いですけど。
※ネタバレには配慮したつもりでおりますが、本編を未読の方はそちらを先に読まれることをお勧めします。
カクヨム – 「侯爵令嬢」筆者しろうるりの反省
※この文章は「小説家になろう」様にも並行して投稿しております。
※本編の執筆経緯の関係から、主に「小説家になろう」の読者・投稿者の方を読者として想定した文章です。カクヨムの状況とはそぐわない部分も多々ありますが、ご容赦ください。
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地方公務員しろうるりの兼業
『侯爵令嬢アリアレインの追放』は「第6回アース・スターノベル大賞」に入賞して賞金と書籍化の話が出てきた。
しかし、地方公務員である作者は許可なく副業はできないので、職場に相談して許可を求めていたら「兼業は許可するが、報酬(賞金&印税)は辞退せよ」というお達しがでる。
「いやいや、過去にも兼業作家の事例はあるでしょう」と反論しても「うちの市はそういう運用なので」という回答でにべもない。
そんなこんなで作者が弁護士に相談する羽目になった実話を読むことができる。
「侯爵令嬢アリアレインの追放」が「第6回アース・スターノベル大賞」に入賞し書籍化が決まった際、賞金や印税の扱いを巡って、筆者は勤務先とちょっとしたトラブルを抱えました。
本稿は、そのトラブルの解決までの経緯をまとめたエッセイです。
訴訟その他の法的トラブルと縁遠く生きてきた一般人が思わぬ形で巻き込まれたとき、何を考えてどう行動したか、というあたりに興味をお持ちの方はぜひご一読ください。
カクヨム – 地方公務員しろうるりの兼業