オーク英雄物語 ~忖度列伝~
2019年から掲載が始まったので、WEB小説としては新しめの作品。
書籍化とコミカライズがされており、書籍は六巻、コミカライズは二巻まで出版されている。
作品概要
嫁探しのため色々な種族の町を巡るオークの物語。
オークの戦士バッシュは英雄である。
小説家になろう – オーク英雄物語 ~忖度列伝~
戦争でありとあらゆる敵を打ち砕き、オークの中のオークとして、全てのオークに尊敬されている。
だが、そんな彼には隠し事があった。
それは女性経験が皆無であること……すなわち童貞ということである。
戦闘と性交の回数を重んじるオークにとって、童貞はとてつもない恥である。
オークの英雄として崇められる自分が童貞であるということは、すなわちオーク全体の恥である。ていうか自分も嫁が欲しい。
そう考えた彼は、旅に出ることを決意する。
種族の誇りと名誉を守るため、そして童貞を捨てるために……。
感想
異世界転生ではなく、純粋なファンタジー物。
主人公が英雄と認知されていて、童貞という事実は隠しながら嫁探しをしないといけない、この設定のおかげで周りのキャラとのすれ違いコント状態となって面白い。
やはり、本人は下らないことを考えてたりするのに、周りが勝手に察して「オークの名誉を守るために旅をされているのだ」とか「我らを救うために遣われたのだ」とか、そういうすれ違いはギャグの王道だ。
主人公のキャラも主人公らしい好青年でよい(28歳だから青年ではないが)。
オークとしての常識と他種族の常識の違いから、会話が嚙み合わない。
だけど、英雄になっただけあって、己を律して他種族の常識を学んでいくので、好感が持てる。
この世界のオークは野蛮で粗野で正に蛮族だ。雄しか生まれないため他種族の女の腹を使わなければ繁殖できない、言ってしまえば強姦種族である。
本来のオークなら戦のあとは凌辱するのが一般的なのだが、主人公は戦が終わっても略奪や凌辱をすることもなく次の戦場に向かってしまう戦の申し子だった。
そのあたりが他のオークともズレていて、主人公らしい。
そして英雄と呼ばれるほどのオークなので、他国においてオーク英雄たる自分の行いがオークという種族全体の名誉を汚すことになりかねないこともちゃんと懸念している。
だからこそ、オークの英雄たる自分が童貞であると知られるとオーク全体の名誉を汚すと考えて、誰にも童貞であると打ち明けることができない。これまた良い。
ヒーローの条件は孤独とはよく言ったもので、誰にも秘密を打ち明けることができずに重荷を背負うのがヒーローの定番なわけだが、童貞であると明かせない孤独とはなんとも馬鹿馬鹿しくて面白い。
本人は童貞であることがバレないよう隠しつつ嫁探しをしているだけなのに、なんだかと騒動に巻き込まれて各地で人助けをしてしまうという、下品な水戸黄門のようなお話である。
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