後宮の検屍女官
WEB小説としては最近の作品なのだが、現在はWEBでの掲載は非公開となっている。
書籍化とコミカライズがされており、書籍は七巻まで、コミカライズは三巻まで刊行されている。
作品概要
架空の中華風な世界観で、異世界転移物でも異世界転生物でもないし、ファンタジーな要素もない。
中華風後宮物であり、後宮で出た死体を検死して謎解きをするミステリー物。
主人公は検屍の技術を持つ女官で、過去に無実の罪で腐刑に処されて去勢されてしまった宦官を相棒とし、後宮で出た死体が事件か事故か自殺か他殺か検屍によって詳らかにしていく物語。
「死王が生まれた」大光帝国の後宮は大騒ぎになっていた。
謀殺されたと噂される妃嬪の棺の中で赤子の遺体が見つかったのだ。
皇后の命を受け、騒動の沈静化に乗り出した美貌の宦官・延明(えんめい)の目にとまったのは、
幽鬼騒ぎにも動じずに居眠りしてばかりの侍女・桃花(とうか)。
花のように愛らしい顔立ちでありながら、出世や野心とは無縁のぐうたら女官。
多くの女官を籠絡してきた延明にもなびきそうにない。
そんな桃花が唯一覚醒するのは、遺体を前にしたとき。彼女には、検屍術の心得があるのだ――。第6回角川文庫キャラクター小説大賞〈大賞〉〈読者賞〉ダブル受賞作!!
カクヨム – 後宮の検屍女官
感想
死体を厭い、大事な作業を下僕に検屍させてしまうという杜撰な現状により無実の罪を着せられる人を救うのがテーマとなっている本作。
主人公が女官で、相棒が宦官なので、ラブコメになるのかと思いつつ読み進めていくと、どちらかといえば恋愛要素よりはバディ要素が強い気がする。
主人公と相棒は、自分たちの検屍の技術で冤罪を防ぐため、死体を他の部署に持っていかれる前にどうにか検屍しようと四苦八苦。
主人公と相棒が互いに協力しあったり、思いあう姿が恋愛よりも同士や盟友といった感がある。
でも、恋慕の情が全くないともいえない展開がいじらしい。実によい。
また、本作は宦官に焦点を当てているのもよい。
主要キャラが冤罪によって宦官となっているため、そのキャラから見える宦官という立場には悲哀がある。
よくある中華風後宮物の小説に頻出する宦官は、あまり悲劇的には描かれないことが多いので、そういう意味で新鮮だった。
WEB小説掲載サイト
カクヨム
元々掲載されていたWEB小説は非公開となっている(中国の無料小説サイトへの転載があったとか、なかったとか)。
現在、書籍版の試し読みで第一章~第二章の途中までをカクヨムで読むことができる。
書籍化
小説
コミカライズ
WEB掲載漫画 – マグコミ
