カラフ撤退戦
2020年1月から掲載が始まったので、WEB小説としては新しめの作品。
書籍化されており、上巻が2025/8/27に、下巻が2025/9/19に発売。
作品概要
ゲーマーがFPSゲームで遊んでいるだけのつもりが実は異世界で活躍しちゃっているお話。
――俺が今までに救った世界の数を知ってるか?
没入型端末が普及した近年、ゲームは既存の壁を悉く打ち破った。
リアルを越えたリアル。リアルに存在しない様々な物にまでそれは”現実感”を与えた。「だが、これは、本当にゲームなのか?」
制作者不明のゲーム。来歴不明のAI。
ゲーマーなら慣れていて当然だった。唐突に、壮大で理不尽なミッションを与えられる事に。次のそれは、世界を救う事。
小説家になろう – 異世界SF! FPS! 『カラフ撤退戦』
感想
主人公はゲームだと思っているから、現実だと危ないからやらないような選択を採り、それでいて結果を出して人望を獲得していく様が読んでいて気持ち良い。
そして、主人公が善良なロールプレイをしているのも良い。
主人公はタフガイとしてロールプレイしているので、ゲームだからといって安易にNPCを軽く扱ったりしない。
そして、ゲームだと思っているから「お? ストーリー分岐か? 好感度を上げておくか」という具合に、周りの人間とのコミュニケーションを円滑に行ったりする。
主人公が異世界のことをゲームだと思っているおかげでいい具合に事が進んでいくのが面白い。
物語が進むと流石にゲームじゃないんじゃないかと気付き始めるが、そうなると主人公は無茶をしてでも仲間を助けようとしたりとハードな戦記物の様相を呈してくるので、これまた面白い。
とはいえ、主人公はゲームをしているだけだから安全圏に居るように思える。
しかし、どうやら主人公がやっている没入型ゲームは使い方を誤ると脳機能にダメージを与えることがある代物らしい。
主人公もリスクを負ってゲームをプレイしているわけなので、ゲーム中のピンチは主人公の命の危機でもある。
そのことが説明的になりすぎていないあたり、よい塩梅だ。
ゲーム(異世界)の世界観も、主人公の世界(近未来SF)の世界観も、どちらもよく考えられている。
