第六話 世間の反応

 SNSは、突如として現れた白いロボットに湧いていた。

 > 自衛隊の秘密兵器?

 > アメリカじゃね?

 > もっと早く来れなかったのか?

 > 人が食われてから来てんじゃねーよ

 > ロボットが空手やってる

 > 空手!? なんで空手!?

 > 蹴り!! ロボットなのに蹴り技!?

 > 笑えるw いや笑ってる状況じゃないんだけど

 > 効いてる効いてる!

 > やったか!?

 > それはフラグだろ

 > 正面突破??無茶すぎない??

 > エグいな 腕が刺さってる

 > 流石にやったか!?

 > だからそれはフラグだろ!

 > 倒した!!!!

 > やった!!!! やった!!!!

 ◇

 危機管理センターに、安堵と警戒が入り混じった空気が漂っていた。

 スクリーンには、立ったまま動かない白い巨大ロボットと、その足元には絶命した灰色の巨大生物が横たわっている。

「巨大移動物体への対応はどうしますか?」

 担当官が上官を見た。上官が総理を見た。

「監視だ。接触はするな」

 そう答えると、総理はスクリーンに向き直った。

 白いロボットは、まだそこにいた。

「あれはどこの所属だ」

 沈黙が落ちた。誰も答えない。

「防衛省は把握しているか?」

「いいえ。該当する開発計画は存在しません」

「他国か?」

「総理。お言葉ですが、どの国なら二足歩行の巨大ロボットを作れるとお考えですか?」

 総理は黙り込む。

「巨大生物と同じ穴から出てきたという現地報告があります」

 全員が発言者を見た。

「同じ穴?」

「はい。巨大生物の出現と同種の現象が映像に残っています。ロボットはそこから出現したものと推察されます」

「巨大生物と巨大ロボットには何かしらの繋がりがあるのか。敵対しているのか、仲間同士の内輪揉めなのか……」

「現時点でなんとも……」

 総理が、静かに腕を組んだ。

 それから暫く、誰も言葉を発しなかった。

 ◇

 SNSでは尚もロボットの動向に注目が集まっていた。

 > 怪獣には勝ったけど、あのロボットは味方なのか?

 > 怪獣の死体片付けてほしい

 > 頼んだら片付けてくれるかな

 > どうやって頼むんだよ

 > なんか膝に手ついてる?

 > え!?

 > 呼吸を整えてる?

 > 息切れ? ロボットが!?

 > なんだ? 手を挙げた?

 > ん??? 頭に当たった???

 > 何がしたいんだ?

 > 汗を拭おうとしたけど「あ、汗かかないんだった。ロボだから」ってこと?

 > 可愛いw

 > 笑ってる? 揺れてるだけ?

 > 怪獣倒した直後に一人でツボってる

 > 人間臭くて可愛いw

 > これは味方ですわ

 > いや、生き物殺して笑ってる奴は怖いだろ

 > 人間みたいな動きをするのが逆に不気味

 > 意味も分からず人間の動作を真似してるだけかも

 > なんのために真似するんだよ

 > 相手を油断させるためとか?

 > 友好的だから相手の真似をしてるパターンだってあるだろ!

 > 遠隔操作じゃね? VTuberのキャプチャスーツみたいなのを着て操縦してるなら人間臭い動きも説明できる

 > あ~ 戦闘が終わって一息ついて周りのスタッフと笑い合ってるとか?

 > そんなにうまくいくか? ロボットが怪獣に攻撃されて体勢が変わったら同期が取れなくないか?

 > いや、普通にロボットに乗って操縦してんじゃねーの?

 > いや、乗るのは無理だろ。あの大きさだぞ? 歩行の上下運動だけで耐えられないって

 SNSは相も変わらず他人事のような空気で、取り留めも無い憶測が飛び交うのだった。