個人事業主でも社会保険に入れる”みん社保”に加入
会社員時代の社会保険の任意継続が終わって、国民健康保険料を一年間納めた後に思ったのは「やっぱ社会保険料と比べると国民健康保険は高いないぁ」という気持ちでした。
「なんとか安くならないかな?」と調べてみたら個人事業主でも社会保険に入れるサービスが最近出来たと目にしたので「なんとなく怪しい……」と思いつつ、WEBで個人面談をして、最終的には加入することにしました。
みん社保とは
フリーランス・個人事業主でもお得に社会保険に入れると謳っているサービスです。
運営は「一般社団法人 ITフリーランス協会」が行なっています。
また、「一般社団法人 ITフリーランス協会」の母体となる組織は株式会社ビズリンクです。
みん社保の仕組み
個人事業主が社会保険に加入できる理由
個人事業主がITフリーランス協会の理事に就任する、という形をとることで理事を社会保険に加入させることができる、という寸法とのこと。
下記のような流れ。
- ITフリーランス協会の理事に就任する(毎月会費99000円を払う)
- 理事として厚生年金・社会保険に入る
- 理事の業務を行う(月に一度程度のアンケート回答)
- 理事の給与が毎月56000円支払われる(給与所得となる)
みん社保を怪しいと感じた点
みん社保の仕組みを説明している公式の記事がない [2022/05/26 時点]
みん社保の公式ページをみても
「個人事業主でもお得に社会保険に入れます!」
「まずは個人面談からどうぞ!」
的な内容しかなくて
「結局詳細は相談するしかないってこと?え、怖いんだけど…」という気持ちになりました。
みん社保の運営元の設立から日が浅い
「一般社団法人 ITフリーランス協会」2021年3月設立と、まだ日が浅く、設立から一年と少しという状況です。
もしサービスになにか問題があったとしても「時間も経っていないし人数も少なかったので偶々問題が露見していない」みたいな怖さはありますよね。
みん社保に気になった点を質問した結果
疑問に思ったことを質問したり、WEBでの個人面談の説明資料に記載されている内容でわかったことを下記に記します。
※下記の相手側の回答については、口頭でのやり取りだったので正確な内容ではありません。私の記憶を頼りに書き出しましたので私の認識違いがあるかもしれません。
法的に問題ないのか
当法人の顧問社会保険労務士に相談の上、法的に問題ない旨の助言をいただいています。
ちなみに、当協会と類似のサービスを提供している法人で、低額の会費と報酬で社会保険に加入できるというものは違法の可能性があるため、お気を付けください。
理事(役員)が社会保険に加入するための最低報酬金額というものがありますので、最低報酬金額よりも低い報酬だと違法である可能性があり、年金事務所が調査した際に、遡って取り消し又は追加保険料などを求められる可能性があります。
なぜ労働者ではなく理事になるのか
労働者として社会保険に加入するには、月稼働が3/4必要であったり、勤怠管理をする必要がありますが、理事であればその限りではないため、理事という形が望ましいと考えています。
ITフリーランス協会の理事になることで責任を負う羽目になるのでは?
理事の方に責任が生じない旨を利用規約書に記載していますのでご安心ください。
理事は労働保険(労災・雇用)は適用されない理解で合っているか
はい。雇用保険・労災保険は適用されません。
給与の所得税や住民税はどうなる?
給与の源泉徴収などは行わないため、所得税や住民税の納税はご自身でご対応ください。
小規模企業共済は退会することになるのか
既に小規模企業共済加入済みの方はそのまま継続できます。
ただし、小規模企業共済への新規加入することはできません。
iDeCoの上限額は変わるのか
はい。iDeCoの上限額は23000円になります。
将来の年金受給額が下がるのでは?
私は国民年金と国民年金基金を支払っているのですが、厚生年金に入ると国民年金基金の加入資格を喪失すると理解しています。
国民年金基金に加入している場合でも、厚生年金に変わることで年金受給額は上がりますか?
現在、国民健康保険のみご加入の方であれば厚生年金になることで受給額が上がることをおすすめできますが、国民年金基金にもご加入されているのであれば、一概に言えません。
国民年金基金の掛け金を上限までかけていたら、厚生年金に切り替えると将来の年金受給額は下がるかもしれません。
ただ、老後の資金については、年金とは別に備えるという方法もあるかと思います。
社会保険に切り替えて、浮いたお金を貯金するか、または小規模企業共済に回す、ということで備えるという考え方もあります。
住民税・所得税が上がって結果的に納税額が大差なくなるのでは?
健康保険料が安くなることで支出は減りますが、その分、課税所得が増えるので結果あまり変わらないことになりませんか?
住民税・所得税がどの程度上がるかはご自身で計算していただくことになりますので、一概には言えません。
ただ、会費は諸会費として経費にすることができますし、給与所得控除もあるので、多少は課税所得は下がります。
また、社会保険に切り替えたことで浮いたお金で、小規模企業共済の掛け金を上げるなどの節税対策を行うことは可能かと思います。
確定申告に必要な書類は貰えるのか
はい。年明けに源泉徴収票をお渡しいたします。
なぜ公式の記事で前述のことを説明してくれていないのか
他の団体が模倣することが増えてきており、仕組みの詳細はクローズドにしています。
ご利用者様がブログに記載することについては、ご利用者様の声ですので問題ありません。
協会側の利益はちゃんとでてるのか
資金繰りがうまくいかず、急になくなったりしませんか?
会費に運営費も盛り込まれていますし、母体となる株式会社ビズリンクの資金もありますので、急になくなるということはありません。ご安心ください。
懸念はありつつ加入してみることに
言われたことを鵜呑みにするなら「問題ない」ということなんですが、それを判断する知識が如何せんありません。
「もし、やばい団体だったら勉強代として諦めるか〜」というちょっとしたギャンブル気分で加入することに決めました。
今後、加入してから何もなければその旨を書きますし、問題があればその旨を書いてみようと思います。
ただ、私の最大の懸念は、後になってからこの協会が社保の要件を満たしていないなどで、お上から社保が取り消し扱いになることです。
そうなると、加入していた期間が丸っと健康保険料の未納扱いとなり、健康保険料+延滞金を納税しないといけなくなる、というのが有り得るかもしれません。
そうなった時には既にどうしようもない状況まできてるので、「問題がありました!」とここに書いたところで……。
他のフリーランス協会に”みん社保”ってどうなん?って聞いてみた [2022/05/31 追記]
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会には「みん社保」のようなものはないのか、また、今後そういうサービスを提供する予定はあるのか、聞いてみました。
結論、なかったです。
また、今後も「みん社保」のような仕組みを作る予定はないそうです。
その理由は2つあるそうで、まずは1つめの理由から。
やらない理由①:政府にフリーランスも参加できる「働き方に中立な社会保険」を提言してるから
「みん社保」のような仕組みを作るのではなく、政府に対してフリーランスも参加できる「働き方に中立な社会保険」について提言を続けていることが、理由の一つだそうです。
下記のように、きちんとフリーランスの実態を反映した制度になるよう、最近でも岸田総理との車座や税制調査会等において問題提起を行っているとのことです。
やらない理由②:偽装雇用と疑われる可能性が拭えないため
回答の一部をそのまま引用します。
勤務実態が無い中で特定の肩書を与える形で社保適用を受けられると謳ってフリーランスを誘引している事例については社会保険制度の基本的な考え方を逸脱するものであり、厚生労働省とのこれまで対話を重ねてきた経験からも、偽装雇用を疑われる可能性が拭えないと認識しております。
みん社保の説明を聞く前だと「まぁ確かに疑われそうだよなぁ」という印象ですが、
みん社保の説明を聞いた後だと「理事に就任する形で月一回の作業もあるわけだし、偽装雇用ではないと言えるのかな?」という印象です。
ただまぁ、如何せん私に知識がないので、全然確信が持てないんですよねぇ……。
みん社保脱退してみる [2022/09/04 追記]
みん社保のレビューが少ないので、時々、みん社保のレビューを検索していたんですが、その際に「自分でマイクロ法人作ったらいいのに」という言葉を目にしました。
「マイクロ法人。そういうのがあるのか」と思って調べてみると、やることと調べることが多そうでしたが、できないことなさそうな印象でした。
自分で決めることが多くて難易度は高そうですが、過去に初めて確定申告したときに「freeeのおかげでなんとかなった!」という経験があるので、法人設立も「freeeのサービスを使えばなんとかなるんでは?」という安易な発想です。
それにしても、法人化は「課税所得が1000万以上の個人事業主が法人成りするもの」という思い込みがあったのですが、メインとサブの事業のうち、サブだけを法人化して、メイン事業は個人事業主のまま、というスタイルもあるんですね。
サブの事業(程々の売上のもの)を法人にして社保になる、というのがマイクロ法人でできることの一つのようですが、みん社保は自分で法人設立をする手間を省く仕組みだったんですね。(たぶん)
その分、みん社保の運営費が上乗せされているわけですが。
みん社保の運営費の上乗せ分と、法人での納税のことを比べてみたり、サブ事業の法人化でできることの幅を考えると「マイクロ法人に挑戦してみよう!」という気持ちになりました。
折角思い立ったので自分に発破をかける意味で、みん社保から脱退して国保に戻っておいて、その上で法人のあれこれを調べて動いていこうと思います。
(たぶん、度々挫折しながらになると思うので、いつになるやら、ですが)
今は脱退の手続きを問い合わせ中ですが、みん社保のFAQに「1ヶ月前に申告してください」という旨の言葉があったので、「10月か11月に脱退になるのかな?」という想像をしてます。
余談: マイクロ法人のことを調べ中 [2022/09/05 追記]
普段ヤフーショッピングを使っているんですが、久々にAmazonを使うと宅配の速さに驚きを禁じ得ません。
それはさておき、下記の書籍を購入してマイクロ法人設立のことを勉強しているんですが
「設立できたとしても、日々の経理が自分にできるんか‥‥?税理士か?やっぱり税理士さんが必要なんか?」
といった状態です。
年内にマイクロ法人いけちゃうか、来年ぐらいになっちゃうか。果たして……。
マイクロ法人設立 [2022/09/16 追記]
厳密にはまだ設立にはなっていないとは思うんですが、法人設立の電子申請をして、法人設立のための登録免許税6万円を納付しました。
今は法務局からの返事待ちです。
マイクロ法人設立を思い立ってから、約2週間で法人設立の申請までできたのは、ひとえにfreee会社設立のおかげです。
それにしても面倒でした。マイクロ法人の設立は。
(過去形で話しましたが、まだ年金事務所への新規適用届などやることは終わっていないんですけどね……)
みん社保がマイクロ法人設立の手間を省くサービスだと考えると「そりゃあ需要はあるんだろうなぁ」という感想です。
みん社保とマイクロ法人の支出の試算
マイクロ法人設立の際に色々を調べた時に、みん社保とマイクロ法人の支出の試算をしたので記載しておきます。
みん社保は月額43,000円が実質の社会保険料の負担額となるので、年額は516,000円です。約52万ですね。
マイクロ法人は、本当にミニマムな会社経営をする前提ではありますが、 初年度は約52万になる見込みで、2年目からは約45万円になる見込みです。(社保以外の諸々の支出の合計)
マイクロ法人の方が若干安くなるのも良いのですが、所得税の分散など自分でコントロールできる範囲が広がるのがよいです。
その分、面倒な作業は増えるので、それを税理士さんにお任せるするとプラス20万円ぐらいになると思われます。
税理士さんにお願いするなら、みん社保の方が安上がりなんですよね。
法人のことを自分で全部やるなら、みん社保よりもマイクロ法人の方が安くなる(場合もある)、ということになります。