黄体機能不全の治療薬、効能と副作用は?

2018 3/04

女性の体は、二つの女性ホルモンがバランスよく働くことによって毎月の月経が起こり、妊娠できる状態になります。

この二つのホルモンは、女性の体にとって非常に重要な役割を担っています。
そのため、バランスが崩れてしまうと、月経周期が乱れたり、まったく月経がない状態になってしまうことがあります。

こうした状態を「黄体機能不全」と呼び、ホルモン因子の場合には薬剤による治療が効果的です。

黄体機能不全の治療方法と、使用する薬剤の特性などについて解説いたします。

目次

黄体機能不全とは

不妊症の原因の多くを占めている排卵障害と呼ばれる状態のうちの一つで、女性の体内で排卵や着床、子宮内膜の整えるなどといった妊娠に必要なホルモンの働きに異常があるために起こります。

FSH(卵胞刺激ホルモン)と、LH(黄体形成ホルモン)の二つのホルモンの分泌量が減ったり、ホルモンの刺激を受けて整えられる子宮内膜の感受性が低下しているために排卵がうまく行えない、着床できないなどといった状態になります。

症状としては、基礎体温を記録している人は低温期・高温期のサイクルが一定でない、高温期が短い、低温期から高温期への移行に日数がかかるなどがあり、結果的に月経不順や無月経の状態になることで、体の異常に気付く場合が多いです。

原因はストレスや体の冷え、糖尿病や高プロラクチン血症などの他の疾患があることなどです。

こうした黄体機能不全の場合、FSHとLHの分泌量を増やすために薬剤を使用した治療が行われます。

黄体機能不全の治療方法

月経周期や、出血の様子、基礎体温の記録や超音波検査の結果などを見たうえで、症状に合わせて内服薬を処方されます。

女性ホルモンそのものを補うタイプのものから、性ホルモンを分泌させるホルモンの働きを活性化するタイプのものなど、様々な薬剤があります。

こうした薬剤の服用を、体の反応を見ながらおよそ1年程度続けた後、まったく薬を使用しない期間を半年ほど設けます。

その後、内服薬よりも効果の出やすい注射薬へ移行する場合があります。
同時に、生活習慣の改善を求められることがあります。

黄体機能不全には、冷えやストレスが大きく関わっていると考えられているため、日々の生活習慣の見直しも治療の1つになります。

冷えやストレスによる影響が深刻だったり、もともとの体質による原因が考えられる場合には、漢方薬を併用し、体質改善を行いながら治療を進めるケースもあります。

黄体機能不全治療薬の主な作用と副作用

(1)FSH(卵胞刺激ホルモン)の分泌を活性化するタイプ

■クロミフェン

 

・作用

黄体機能不全と診断された場合、一般的にまず処方されるのがこのクロミフェン(薬剤名:クロミッド、セロフェン、フェミロン)です。

この薬剤は、女性ホルモンの分泌量を感知するセンサー部分と結合することで、女性ホルモンの分泌が「足りない」と思わせ、分泌を活性化させる働きがあります。

 

・副作用

副作用が少ない薬剤ではありますが、まれに排卵が起こりすぎてしまう「卵巣過剰刺激症候群(卵巣腫大)」が起こることがあります。

その症状としては、下腹部の張りや痛み、不正出血などがあります。

(2)黄体ホルモン(プロゲステロン)を補充するタイプ

■ジドロゲステロン(デュファストン)

■クロルマジノン(ルトラール、エフミン、プロスタール)

 

・作用

排卵後に分泌が増加する、黄体ホルモン(プロゲステロン)を補充するための薬剤です。

黄体ホルモンが正常に機能していると、基礎体温表の中の高温期がはっきりとかつ長く現れます。

結果として、月経不順や無月経の症状を改善することを目的として使用されています。

 

・副作用

飲み始めてから2か月ほどは吐き気や頭痛などの症状が現れることがありますが、次第に改善されていきます。

まれに、気分の落ち込みや、うつ症状が現われる場合があります。

(3)卵胞を発育させる注射※(1)(2)で妊娠しない場合に使用される

■hMG(FSH)-hCG注射

 

・作用

内服薬では不妊症の症状が改善されない場合、注射による治療に移行します。
卵胞に働きかけ、卵胞を発育させる効果があります。

病院に数日通ったり、自宅で注射を行うタイプがあります。

ホルモンバランスの乱れによる排卵障害の他に、脳の視床下部や脳下垂体に腫瘍ができているためにホルモン分泌の指令がうまく行われていない場合にも効果的です。

 

・副作用

超音波検査で卵胞の様子を確認しながら治療が行われますが、まれに卵巣過剰刺激症候群(卵巣腫大)が起こることがあります。

また、妊娠した場合には双子などの多胎妊娠の可能性が高まります。

まとめ

黄体機能不全はホルモンの働きが弱くなっているために起こります。

薬剤による治療は効果が強いため、卵巣過剰刺激症候群(卵巣腫大)などの副作用が起こることがありますので、治療は1年以上の長期で徐々に薬剤の量を増やし慎重に経過を観察する必要があります。

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