甲状腺機能亢進症・低下症と不妊症は併発する?

目次

甲状腺は体のあらゆる機能を調整している

甲状腺とは

甲状腺は、ちょうど喉ぼとけの下にあり、気管にくっつく形で固定されており、人によっては皮膚の上から触ることもできます。

甲状腺ホルモンという、生命の維持に欠かせないホルモンを分泌している内分泌器官です。

甲状腺ホルモンの作用

甲状腺ホルモンは、人体の生命活動維持に欠かせない働きのある作用を持っています。甲状腺ホルモンの主な作用には、以下のものがあります。

  • 脳の活性化
  • 体温の調節
  • 心臓や消化器の活性化
  • 体温や新陳代謝機能の調節

人間が基本的な活動をするために重要な指令を伝えるホルモンを分泌しており、体の成長や神経系の発達、循環機能の調整、エネルギーの生成、糖やたんぱく質・脂質の代謝などに働きかけています。

そのため、甲状腺の機能や甲状腺そのものに何らかの異常が起きた場合、私たちの体には、様々な症状が現れたり、新たな疾患の原因になってしまうこともあります。

甲状腺の機能異常は、圧倒的に女性の方がなりやすいという特徴があります。

甲状腺機能亢進症

甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる病気

甲状腺ホルモン異常のうち、甲状腺ホルモンの分泌が過剰になってしまう場合を甲状腺機能亢進症と呼びます。

体のあらゆる器官が活性化し、基本的な機能が盛んになりすぎるために引き起こされる様々な症状のことを言います。

症状としては、多汗、高血糖、めまい、暑さや寒さに過敏になる、動悸や息切れ、体の震え、食欲不振による体重減少、抜け毛、吐き気や下痢、性欲不振などが挙げられます。

精神的な症状もあり、不安感やイライラが起こりやすく、進行するとうつ病を併発することも少なくありません。

甲状腺機能亢進症の原因

甲状腺機能亢進症の原因の中で、最も多いのが、バセドウ病です。

甲状腺ホルモンを分泌させる指令を伝達している、甲状腺刺激ホルモンと、その受容体の働きによって、甲状腺ホルモンは正しく分泌が行われています。

しかし、甲状腺刺激ホルモンの受容体を攻撃する自己抗体が発生し、甲状腺刺激ホルモン受容

体を過剰に刺激してしまうことで、甲状腺ホルモンの分泌が盛んになりすぎてしまうのがバセドウ病です。

バセドウ病の原因としては、過度のストレスや過労の他、遺伝的な要素もあると考えられています。

甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気

甲状腺機能亢進症とは逆に、甲状腺ホルモンの分泌量が必要量よりも低下してしまうのが、甲状腺機能低下症です。

体のあらゆる機能が働きが鈍くなってしまうために、様々な症状が現れます。

主な症状としては、体力の低下、慢性的な眠気、全身の倦怠感、汗をかかないことによる肌の乾燥、むくみ、体温の低下、抜け毛、体重増加、声が低くなる、便秘、月経不順や無月経などがあります。

精神的には、常に無気力感がある、集中力や記憶力の低下などが挙げられます。

甲状腺機能低下症の原因

甲状腺機能低下症の原因のほとんどが、橋本病(慢性甲状腺炎)によるものです。

橋本病とは、甲状腺の機能を促進するための甲状腺刺激ホルモンの分泌量が低下したり、甲状腺刺激ホルモンの働きが阻害されてしまうことで、体のあらゆる機能に異常をきたしてしまう病気です。

橋本病の原因としては、遺伝による影響や、先天的な要因によって引き起こされることが多く、そのほかには慢性的なヨウ素の摂取などがあります。

甲状腺機能異常と不妊症の関係

不妊症と併発することが多い

これらの甲状腺機能異常は、患者のほとんどが女性で、20~30代の若年層の発症率も高い病気で、不妊症の原因となる疾患を持つ人の中に、甲状腺機能異常があるというケースは珍しくありません。

流産しやすくなる

甲状腺機能異常があると妊娠確率は低くなりますが、もし妊娠できたとしても、流産のリスクを高めてしまうことがあります。

妊娠を望む場合には、甲状腺機能異常の治療も並行して行わなければなりません。

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