卵巣性無排卵症の治療薬、効能と副作用は?

2018 3/04

妊娠には適齢期があり、加齢とともに卵巣の活動が弱くなってしまうことがあります。

いわゆる更年期障害に似た症状になり、月経不順や無月経の状態になることもあります。

妊娠の可能性は著しく低いように思えますが、早期治療や体外受精によって妊娠の可能性を高めることができます。

今回は、そうした卵巣の活動が弱まってしまうために起こる卵巣性無排卵症の治療方法と使用する薬剤について解説いたします。

目次

卵巣性無排卵症とは

卵巣の働きが弱くなることで、排卵が起こらなくなる、月経不順や無月経の状態になることを卵巣性無排卵症と言います。

血液検査の際にわかる所見としては、FSH(卵胞刺激ホルモン)・LH(黄体形成ホルモン)ともに分泌量が著しく多いのに対して、エストロゲンの分泌量は正常値よりも低くなるのが特徴です。

原因には、先天性のものと後天性のものがあります。

先天性の場合、ターナー症候群(もともと持っているはずのX染色体が1本足りない)があり、後天性の場合は40歳未満の若年で起こる早期閉経(POF)や、放射線治療、手術によって卵巣を摘出した場合が挙げられます。

エストロゲン量が減少することで、更年期障害のようなイライラ感や体のほてり感がおこることがあり、30代後半では更年期障害と誤認して受診することで卵巣性無排卵症に気づくことがあります。

卵巣性無排卵症の治療方法

(1)ゴナドトロピン療法

エストロゲン分泌が低下していうということは、卵胞成熟期に必要な卵胞の発育が十分に行えない状態となっていることを意味します。

そのため、hMG-hCG製剤を注射することによって卵巣に直接働きかけ、卵胞の発育を促します。

(2)のカウフマン療法と並行または交互に行われることがあります。

 

(2)カウフマン療法

カウフマン療法とは、自然な月経周期に似せたホルモンの動きを薬剤投与によって人工的に起こす治療方法のことです。

卵胞ホルモン製剤と黄体ホルモン製剤を投与することで自然な排卵が起こらないようにします。

これによって卵巣を休ませることができ、卵巣が卵胞刺激ホルモンに対する感受性を取り戻すことを期待した治療方法です。

 

(3)原子卵胞の対外活性化と体外受精

早期閉経(POF)の場合、卵巣にわずかに残っている原子卵胞(卵子のもとになる細胞)を活性化させ、卵胞を発育させる治療方法です。

片側の卵巣を体外に取り出し、卵巣内に原子卵胞が残っていないかを確認します。

原子卵胞の存在が確認できた場合には、原始卵胞の存在が確認できた場合は、原子卵胞を活性化させる処置が施され、卵巣を体内に戻します。

手術は腹腔鏡下手術法で行われますが、高度な技術を必要とするため、実施している医療機関が少ないのが難点です。

卵巣性無排卵症治療薬の主な作用と副作用

■hMG-hCG製剤

 

・作用

hMG-hCGは強力な排卵誘発剤であり、体外受精時には必ず使用されています。

卵巣に直接働きかけることで、卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンの2つのホルモンの働きを活性化させる効果があります。

月経不順や無月経の場合に使用されており、月経周期の正常化と安定した排卵を促します。

 

・副作用

強い排卵誘発効果があるぶん、副作用が起こりやすいという面があります。

主な副作用としては、多胎妊娠の確率が上がることや、卵巣過剰刺激症候群(卵巣腫大)があります。

内服薬の排卵誘発剤の1つであるクロミフェンと比べると、卵巣過剰刺激症候群が起こる確率が高くなり、重症化し場合には腹水がたまった部分から様々な合併症を引き起こす危険性があります。

 

■エストロゲン・プロゲステロン剤

 

・作用

人工的に月経周期を作り出す働きがあり、月経不順や無月経の改善が期待できます。

自然に近い排卵のリズムになることで、半年ほどの治療継続で自然妊娠の確率が高まると言われています。

 

・副作用

もともと持っている女性ホルモンを投与するため、副作用が少なく、体への負担が少ない治療方法です。

まとめ

卵巣性無排卵症の場合、まずは月経不順や無月経の状態を改善する治療が行われます。

自然に近い排卵を起こし、卵巣の働きを観察しながら治療が進められます。

卵巣の働きが著しく低下している早期閉経の場合には、卵巣の体外活性化と体外受精が行われます。

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