高プロラクチン血症の治療薬、効能と副作用は?

不妊症の原因の中で男女ともに多いのが、高プロラクチン血症です。

プロラクチンとは、授乳期の女性の体内で多く分泌が起こり、母乳の生成を促すホルモンです。

しかし、何らかの原因でホルモンバランスが乱れてしまうことによって、体内のプロラクチン量が多くなりすぎてしまうと、体にあらゆる症状が現れます。

こうした高プロラクチン血症の治療には、ホルモン量を調整するための薬剤が使用されますが、薬剤による副作用や、性格への影響が引き起こされる場合があります。

高プロラクチン血症の治療方法と使用する薬剤の特性・副作用等について解説します。

目次

高プロラクチン血症とは

・女性の高プロラクチン血症

プロラクチンは授乳期に分泌量が増えるホルモンで、妊娠しづらくさせる効果があります。

これは、プロラクチンが排卵を抑制したり、もし排卵がおこり受精できたとしても、その後受精卵が着床するのを妨げてしまうことがあるためです。

自然妊娠はもちろん、着床を妨げる働きがあるため、体外受精での妊娠確率をも下げてしまいます。

高プロラクチン血症は20~30代の女性に多く見られ、この年代の女性の0.4%が発症すると言われています。

 

・男性の高プロラクチン血症

もともとプロラクチンの分泌量は女性と比べると低い数値ではありますが、男性にも分泌があります。

ストレスによるホルモンバランスの乱れや継続的に服用している薬の影響などによって、男性でもプロラクチンの分泌量が過剰になってしまい、高プロラクチン血症を発症することがあります。

男性の高プロラクチン血症の症状は、産後の女性のような乳房の発達や乳汁の漏出の他に、無気力感や性欲の低下、性機能障害などが挙げられます。

高プロラクチン血症の治療方法

高プロラクチン血症の原因は、ストレスや継続的に服用している薬剤の副作用などによるものがほとんどです。

そのため、まずはストレスを緩和する生活を心がけたり、それまで使用していた薬剤を一時的に中断するなどして、症状の改善をはかります。

それらと並行して、高プロラクチン血症の治療薬の投与が行われることがあります。

プロラクチンの分泌をコントロールしている、ドーパミンという神経伝達物質の受容を助ける、“ドーパミン受容体作用薬”が用いられます。

これは、ドーパミンの働きが弱まっているためにプロラクチンの分泌量が異常になっている場合に、非常に効果的です。

高プロラクチン血症治療薬の主な作用と副作用

高プロラクチン血症の治療に使用されるのは、主に以下の3つの薬剤になります。

すべて同じ麦角系(真菌植物性)で効果や効能が似ているのが特徴です。

■バローデル(ブロモクリプチン)

■カバザール(カベルコリン)

■ぺルマックス(ペルコリド)

 

・作用

プロラクチンの分泌を抑える働きのある薬剤で、高プロラクチン血症の治療に広く使われています。

また、ドーパミン需要を助ける働きがあることから、パーキンソン病の治療にも使用されています。

高プロラクチン血症の中でも、特に排卵障害や月経不順・無月経、乳汁漏出などの症状がある場合に多く使用されます。

 

・副作用

吐き気や食欲不振、胃の不快感、便秘などの胃腸症状が多く、そのほか頭痛やめまい、立ちくらみが起こることがあります。

また、眠気を引き起こすことが多くあり、稀に、急に意識が無くなってしまう突発性睡眠が起こることがあります。

重い副作用の場合には、幻覚や妄想の症状が現れることがあります。

運転をしたり、危険な作業を伴う仕事をしている場合、処方が難しいことがあります。

そうした場合には、副作用の少ない漢方薬に切り替えることがあります。

 

・精神的な影響

無気力感や思い込みが強くなるなどの変化が起こることがあります。

稀に急激な性格の変化が起こる場合があり、それまで穏やかだった人が急に攻撃的になったり、怒りやすくなるなどがあります。

その他、パニックを起こしやすい混乱状態になったり、焦燥感を感じることなどがあります。

まとめ

高プロラクチン血症の治療には、プロラクチンの分泌量をコントロールしているドーパミンの働きを助けるドーパミン受容体作用薬が使用されます。

治療に効果的な薬剤ですが、副作用を伴う場合には、医師と相談の上、漢方薬を使って体質改善を進めることがあります。

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