PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の治療薬、効能と副作用は?

2018 3/04

排卵障害の中で、黄体機能不全は女性ホルモンの量が足りないために排卵または卵胞の成熟がうまく行えない状態で不妊症になるというものでしたが、さらに深刻なケースがあります。

男性ホルモンの分泌が盛んになりすぎるために、排卵がうまく行えない状態になる、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の状態です。

この場合の治療方法や使用する薬剤の特性などについて解説いたします。

目次

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)とは

何らかの理由により男性ホルモンの分泌量が増え、女性ホルモンの働きよりも優位になってしまうことでPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)が引き起こされます。

20~30代の若い女性に多く見られ、加齢とともに症状が進行していきます。

卵胞が成熟できないまま排卵が続き、卵巣内に未成熟の卵子がたくさんたまってしまう状態になります。

  • 月経周期が長い(35日以上)
  • 月経不順
  • ニキビが多く脂性肌
  • 肥満
  • 毛深くなる

などの症状があげられます。

超音波検査で発見されることが多く、卵巣内にほぼ同じ大きさのたくさんの卵胞が並んでいるのが確認できます。

LH(黄体形成ホルモン)と血糖値を下げるインスリンという2つのホルモンの分泌量が過剰になることで、男性ホルモンが優位になってしまうためと考えられています。

超音波検査の結果と合わせて、血液検査で血中の男性ホルモン量が多いと判断された場合、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)と診断されます。

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の治療方法

まずは、卵巣内に停滞している卵子を排出させるために、排卵誘発剤を使用します。

それでも自然妊娠に至らない場合には、卵巣に針を差し込み、卵子を摘出し体外受精を行う場合があります。

また、インスリンの働きが強すぎるためにPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)を発症している可能性が高いため、インスリンの働きを抑制する糖尿病治療薬を用いることがあります。

加齢とともに症状は進行していってしまうため、治療はできるだけ早い段階で行う必要があります。

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)治療薬の主な作用と副作用

(1)卵巣内の卵子を排出させる排卵誘発剤

■クロミフェン(クロミッド)

■シクロフェニル(セキソビット)など

 

・作用

クロミフェンは女性ホルモンが正常に分泌されているかを感知するセンサーの働きを阻害し、体内のホルモン量が「足りない」と誤認させることでホルモンの分泌を活発化させる薬剤です。

シクロフェニルは性腺刺激ホルモン(FSH:卵胞刺激ホルモン)の働きを促進させることで卵胞を成熟させ、排卵を誘発する薬剤です。

 

・副作用

ともに副作用が少ない薬剤になりますが、薬剤が効きすぎると卵巣過剰刺激症候群となり、卵巣が肥大化することで下腹部の痛みや不正出血が起こることがあります。

(2)糖尿病治療薬によってインスリンの働きを抑制する

■メトフォルミン(メトグルコ、グリコラン)

 

・作用

血糖値を下げる薬剤で、糖尿病の治療に使われていますが、男性ホルモンを活性化させるインスリンの働きを抑制するためにPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の治療に用いられることがあります。

血液検査によって血中のインスリンの数値が高い結果が出た場合、非常に効果的な薬剤です。

 

・副作用

下痢や嘔吐などの胃腸系の症状が現れることがあります。

また、低血糖によるめまいやふらつき、視界のちらつき、動悸、冷や汗、強い空腹感などがおこることもあります。

まとめ

健康な女性にも男性ホルモンの分泌があるのが正常で、女性が健康でいられるためには男性ホルモンの働きが欠かせません。

しかし、この男性ホルモンが増えすぎてしまうことによって妊娠しづらくなるなどといった原因になってしまいます。

男性ホルモン優位によって起こるPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の治療には、女性ホルモンの働きの代わりになる排卵誘発剤の使用や、男性ホルモンが活性化しないように働く糖尿病治療薬を使用することがあります。

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