造精機能障害による不妊

2018 3/04

男性側に原因があると考えられる男性不妊症の場合、もっとも多いといわれているのが造精機能障害で、男性不妊患者の約80%以上を占めています。

この造精機能障害は健康な男性にも表れやすい症状で、自覚がないだけで造精機能障害を発症しているという隠れた患者数が多いのが特徴です。

つまり、造精機能障害は誰にでも起こりやすいものであるということです。

目次

造精機能障害とは

男性の精巣内では次々と新しい精子が作られており、同時に同じだけ多くの精子細胞が破壊されています。

このように代謝が早く、常に新しい精子が準備されている状態が健康な状態といえます。

受精が成功するための条件は以下の2点です。

  • 十分な数の精子があること
  • 精子の元気(運動性)がよいこと

この条件を満たさない場合には造精機能障害であるということになります。

造精機能障害の種類

受診する病院の指示に従い、精液検査を行います。顕微鏡での観察や粘度等の測定をして造精機能障害などがないか確認をします。

もし造精機能障害があると認められた場合は、実は90%ほどが原因のわからない特発性造精機能障害というものに分類されます。

のこりの10%ほどは、以下のように症状ごとに分けられます。

 

・無精子症

無精子症とは、精子の中にまったく精子がいない状態のことをいいます。

近年では増加傾向にあり、隠れた患者数も考慮するとおよそ男性の10人に1人の割合で無精子症の方がいるといわれています。

それだけ、ポピュラーな症状であるため、たとえ無精子症と診断されたからと言っても「絶対に子供を作れない」と落ち込む必要はありません。

無精子症の場合には、精巣にメスを入れて直接精子を採取する方法などがあり、体外受精での妊娠が可能な場合があります。

 

・乏精子症

欠精子症とは、精子の数が通常よりも少ない状態のことをいいます。

2010年に改訂されたWHOの基準によると、精子濃度は1mLあたり1500万個以上が正常な状態の精液であると判断されます。

精液の状態は健康な男性でも変化が激しく、風邪や疲れ、ストレスなどのちょっとしたことで影響を受けやすいものです。

そのため、間隔をあけながら精液検査を数回行い、そのたびに毎回基準値を下回っている場合には欠精子症と診断されます。

体調や精神的なストレスの影響を受けやすいため一度の検査だけでは判断しきれないということを忘れないでいただきたいです。

ちなみに、自然妊娠しやすい精子濃度とされるのは1mLあたり4000万個以上でかつ総運動率は50%以上言われています。

また、不妊治療を行う病院が独自に精液検査における基準値を設定している場合もあり、あくまでも数値は一側面から見たときの目安と考えた方がよいでしょう。

 

・精子無力症

精子無力症とは、精子の運動性が悪く、元気がない状態のことをいいます。

精液検査では、すべての動いている精子の割合と、まっすぐの向きに素早く動く精子の割合を調べます。

精子の運動率は総運動率40%以上、前進運動精子32%以上が正常であるという基準値になっています。

重度の精子無力症の場合、精子不動症(カルタゲナー症候群)と診断されることがあります。

これは、精液中に生きている精子はいるもののほとんど動いていない状態のことをいいます。

 

・精子奇形症

精子奇形症とは、精子に奇形が見られる状態のことをいいます。

精液検査の際、特殊な染料で精子を染めて形を観察します。

正常な形態をした精子が15%以上あれば自然妊娠の可能性があります。

しかし、4%未満の場合は精子奇形症と診断されます。

頭部に奇形のある精子と、尾部に奇形のある精子に分けられ、特に頭部に奇形のある精子は受精する力が弱いことが分かっています。

造精機能障害の原因

造精機能障害の原因のほとんどは不明でありますが、わかっている原因のなかで最もおおいのが精索静脈瘤です。

精巣から心臓に戻る血液が何らかの原因によって逆流し、こぶを作ってしまうもののことです。

そのほかの造精機能障害の原因としては、精巣が陰嚢内降りてこない停留精巣などがありますが、はっきりとした原因がわかるケースはごくわずかです。

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