甲状腺ホルモン異常による不妊

甲状腺ホルモン異常とは、女性にあらわれやすい症状で、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)などの原因となっています。

甲状腺とは、喉仏のところにある器官で、代謝にかかわるホルモンを分泌する、重要な働きを持っています。

そのため、この甲状腺になんらかの異常があると、体のさまざまな部分に影響を与えてしまいます。

不妊症とももちろん大きくかかわっていると考えられています。

目次

甲状腺の働きとは

甲状腺は、食べ物に含まれるヨウ素を原料にして甲状腺ホルモンを合成します。

さらに、血液中に合成した甲状腺ホルモンを分泌している器官です。

甲状腺ホルモンは、体のあらゆる部位の発育を促進したり、自律神経の働きを高めたり、新陳代謝を盛んにする働きがあります。

つまり、人間が活動するために必要なエネルギーを合成し、健康に生活するために欠かせない重要なホルモンなのが甲状腺ホルモンなのです。

甲状腺ホルモン異常とは

・甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモンが多い状態)

甲状腺ホルモンの分泌が異常に多い状態のことで、疲労感や倦怠感があり、汗をかきやすかったり、体が熱っぽい、動悸や息切れがする、体が震える、イライラ感が強いなどの症状が現れます。

甲状腺機能亢進症では、バセドウ病が代表的で、女性に多い病気と言えます。
バセドウ病とは、自己免疫機能が高くなりすぎるために、甲状腺ホルモンを過剰に分泌してしまう状態のことをいいます。

つまり、自分の体を攻撃するための抗体を作ってしまうのです。

なぜこのように自分に対する抗体を作ってしまうかはわかっていません。

ただし、遺伝的な要因が多いことが分かっており、バセドウ病患者の約15%が親や兄弟にもバセドウ病を発症しています。

若い女性が発症しやすいといわれており、月経不順や排卵障害を引き起こしてしまうため、不妊症の原因の一つになっています。

 

・甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンが少ない状態)

甲状腺ホルモンの分泌量が極端に低下する状態のことで、疲労感や倦怠感、汗をかきにくい、寒気がする、脈拍数の減少、全身のむくみ、動作が鈍い、常に眠たいなどの症状が現れます。

甲状腺機能低下症では、特に橋本病が挙げられます。

バセドウ病と同様に、自分の体を攻撃してしまう自己免疫(抗体)を作ってしまうために、体のあらゆる機能が低下してしまう病気です。

うつ病などと誤診されることもあり、間違った治療や症状を自覚していないケースもあります。

子宮内膜ポリープや、卵胞・黄体ホルモン低下症などが起こりやすく、不妊症にかかわる病気と言えます。

さらに、もし妊娠できたとしても橋本病を持っている場合は妊娠を継続するホルモンを低下させてしまうことがあるため、流産の確率が高くなってしまいます。

甲状腺ホルモン異常の検査方法

甲状腺ホルモンの働きに異常がないか調べるためには、血液検査によって甲状腺刺激ホルモン(TSH)の数値を測定します。

通常、トリヨードサイクロニン(FT3)サイロキシン(FT4)という二つの甲状腺ホルモンと合わせて数値を測定します。

この二つのホルモンは甲状腺で生成されるホルモンであり、甲状腺刺激ホルモンと合わせて検査をすることで甲状腺に異常がないか、様々な病気の可能性を考慮しながら総合的に判断する材料になります。

TSH・FS3・FT4のそれぞれの数値が高い場合、低い場合に考えられる甲状腺の異常は以下の通りです。

 

・甲状腺ホルモンの数値が高い場合

TSH が高値のとき:甲状腺機能低下症、下垂体性甲状腺腫瘍

FT3、FT4 が高値のとき:急性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎、バセドウ病(甲状腺機能亢進症)

FT3、FT4 が高値で TSH が低値の場とき:バセドウ病(甲状腺機能亢進症)が疑われます。

TSH のみが高値:甲状腺機能低下症が疑われます。

 

・甲状腺ホルモンの数値が低い場合

TSHが低値のとき: 甲状腺機能亢進症、下垂体性甲状腺低下症

FT3、FT4 が低値のとき: 甲状腺機能亢進症、慢性甲状腺炎

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