卵管障害による不妊

不妊症の原因のうち、排卵機能に原因がある排卵因子についで卵管の機能に原因がある卵管因子の不妊症の割合は第2位となっています。

卵管内または卵管の先端から卵子を取り込む働きがきちんと機能できていない状態などのことを、卵管因子の不妊症といいます。

卵管因子と一口にいっても、状態によって症状は様々あり、あらゆる検査方法があるのが特徴です。

目次

卵管障害とは

卵管の働きは、卵巣から放出された卵子を取り込むことや、受精した卵子を子宮へと運んでいます。

卵管は子宮の左右両側にあり、非常に細い管状になっています。

直径は細いところで1mmにも満たないほどです。

そのため、何らかの原因によって卵管の通りが悪くなってしまうことがあります。

こうした異常がある場合、精子が卵管を通って卵子と出会うことが難しくなってしまいます。

また、仮に卵管内に精子がたどり着き、受精できたとしても、その後受精卵が子宮内に着床することはさらに困難になります。

こうした卵管に異常がある状態のことを卵管障害といい、様々な症状があります。

卵管障害の原因

・子宮内膜症

本来であれば子宮内のみに形成されるはずの子宮内膜が卵管内に形成されてしまうことがあります。

そうすると、卵管が狭くなってしまい、通りが悪くなってしまいます。

このような状態を卵管癒着といいます。

また、子宮の筋層に内膜が形成されると、子宮腺筋症になり、着床しにくくなってしまいます。

 

・クラミジア

クラミジアは子宮頚管に炎症を引き起こすだけでなく、その先の子宮、卵管にまで病原菌が広がってしまいます。

クラミジアは女性の場合自覚症状が現れにくく、発見が遅くなってしまうことがあります。

進行するとおりものが増えたり、腹痛や出血などの症状が出る場合もありますが、感染した直後ではそうした自覚症状がほとんどありません。

そのため、慢性化しやすい危険な病気です。

子宮頸管炎、子宮内膜炎、卵管炎などを発症し、卵管からさらに広がると、腹膜炎を引き起こすことがあります。

抗生物質を服用し治療を行います。

卵管障害における病気

・卵管閉塞(狭窄)

子宮内膜症やクラミジアが原因となり、卵管に炎症が起こるためにただでさえ狭い卵管がさらに細く圧迫されてしまいます。

細くなった状態を卵管狭窄、症状が進行して完全に卵管が閉じてしまった状態を卵管閉塞といいます。

 

・卵管留膿腫・卵管留水腫

卵管の先には、卵巣から放出された卵子を取り込む役割を持つ、卵管采(らんかんさい)という部分があります。

この部分が炎症を起こし、癒着を起こしてしまうと、卵巣から放出された卵子をうまく取り込むことができなくなってしまいます。

さらに、卵管采が癒着した部分に膿みがたまると卵管留膿腫なるほか、さらにそれが長期化して水がたまると卵管留水腫になります。

 

・ピックアップ障害(卵管采不全)

卵巣から放出された卵子をうまく取り込めない状態としてもう一つあるのが、ピックアップ障害(卵管采不全)です。

卵管留膿腫・卵管留水腫のように癒着が原因でない、原因が不明の状態のものも含みます。

 

・絨毛の機能不全

卵管炎をおこすことによって、卵管内に生えている絨毛の働きがにぶり、受精卵を上手く子宮に運べない状態のことです。

卵管障害の検査方法と治療方法

不妊症の基本的な検査でご紹介した、子宮卵管造影検査(HSG)が最も卵管障害の有無を調べるのに適した検査です。

これは、子宮内にカテーテルを挿入し、造影剤を流し込んだうえで超音波やレントゲンで観察する方法です。

カテーテルを挿入する際に痛みを伴うことがあります。

この検査のメリットとしては、造影剤を流し込まれた卵管が広がり、癒着が改善される場合が多いことです。

その後、卵管障害の状態に合わせて卵管の腹腔鏡手術、卵管鏡下卵管形成術、もしくは体外受精を行います。

卵管留水腫がある場合には、あらかじめ水を抜いてから体外受精を行います。

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