FSH・LH異常(数値が低い・高い):男性の場

FSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体化ホルモン)は女性特有のホルモンと思われがちですが、男性にも分泌が起こり、体の機能に大きく影響しています。

女性と違い、分泌量は基本的に一定で、変化することはありません。

血液検査を行い、男性側に引き起こされる不妊の原因を探るために重要な項目になります。男性の場合のFSH・LH異常について解説します。

目次

FSH(卵胞刺激ホルモン)

FSHは脳の下垂体から精巣に働きかける性腺刺激ホルモンの1つです。

その役割は、精巣の発育を促すことと、精子の生成にあります。

そのため、FSHの数値に異常がある場合には、造精機能が低下している状態であることを示しています。

・FSHの基準値
1.5~12.4mIU/ml

 

・FSHの数値が高い場合

FSHの数値が基準値よりも高い場合は、精巣機能低下症が疑われ、性ホルモンの分泌量が足りないことを示しています。

特徴としては、二次性徴が現れない、性欲低下などが起こります。

まれに、脳の視床下部や下垂体が炎症を起こしていたり、腫瘍ができている場合があります。

そうしてFSHが正常に分泌・伝達されないといった、中枢神経系の異常がある場合、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症(MHH)と診断され、男性不妊患者の約2%にあらわれる病気です。

このMHHには投薬治療が効果的で、hMG/FSH-hCG療法(ホルモン剤の自己注射)によって症状が回復されます。

 

・FSHの数値が低い場合

性ホルモンの分泌量が多すぎると、FSHの数値が基準値よりも低くなることがあります。

数値が高い場合と同様に、脳の下垂体が炎症などの何らかの異常をきたしていることが考えられます。

LH(黄体化ホルモン)

FSHと同じく性腺刺激ホルモンの1つで、精巣に働きかけ、男性ホルモンであるテストステロンを分泌させるホルモンです。

男性化を促進するホルモンで、FSHと並んで精巣の機能を正常に保つために欠かせません。

 

・LHの基準値
1.7~8.6mIU/ml

 

・LHの数値が高い場合

LHの数値が基準値よりも高い場合は、非閉塞性無精子症や高プロラクチン血症を発症している場合があります。

非閉塞性無精子症とは、造精機能や精管に異常がないにもかかわらず射精時に精子が排出されない状態のことです。

高プロラクチン血症は、女性の場合産後に母乳を作るために必要なプロラクチンというホルモンが過剰に分泌される病気のことで、男性の場合は勃起不全などの性機能障害が引き起こされます。

そのほか、高プロラクチン血症は下垂体前葉機能低下症、尿崩症などの原因になることがあります。

 

・LHの数値が低い場合

LHの数値が基準値よりも低い場合は、下垂体そのものの機能低下、視床下部の機能低下、視床下部の機能低下から引き起こされる二次的な下垂体機能低下が考えられますが、いずれかについてはLHが低値というだけでは判断が難しいです。

LHが低値の場合、LH-RH(Gn-RH)負荷試験を行い、なぜLHの分泌量が少ないのか原因となっている部位を特定することができます。

LH-RH(Gn-RH)は視床下部から分泌されるホルモンで、下垂体に作用し、ゴナドトロピン(LHやFSH)の放出をするものです。このホルモンを注射し、その後の反応を診ます。

注意すべき自覚症状

FSH・LHの分泌量が正常でない場合、体には様々な症状が現れます。

  • めまいや体のふらつき
  • 頭痛
  • 食欲低下
  • 視力低下や視野の障害
  • 吐き気
  • 勃起不全
  • 早漏症

などがあり、ホルモンの異常から引き起こされているとは気づきにくい症状もあります。

FSH・LHの分泌量に異常がある場合、これらの自覚症状が複数起こるため、特にわかりやすい性機能障害に関する自覚症状が現れて気づく人が多いでしょう。

また、ストレスによる体の反応と似ている部分もあるため、「いつもと違う」と思うことがあればその点について総合的に判断する必要があります。

FSH・LHが正常でない場合、性機能の低下だけでなく下垂体などの異常が隠れていることがあるため、血液検査で基準値よりも上下している場合にはその後の治療が不可欠になります。

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