FSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体化ホルモン)はゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)と呼ばれ、卵子の形成や排卵を促すホルモンで、生理周期の中で分泌量が変化します。
それぞれのホルモン量の検査方法や基準となる数値、異常がある場合について解説します。
FSH(卵胞刺激ホルモン)
FSH(卵胞刺激ホルモン)は卵子を成熟させるホルモンで、生理後から分泌量が増え始め、排卵と同時に減少していきます。
このホルモンが正常に分泌されていないと、妊娠に必要な若くて新しい卵子を作ることができません。
FSHは卵子を包んでいる卵胞を育て、女性らしさを作るエストロゲンを生成します。
また、生理周期をコントロールしており、基礎体温表を付けている人にはお馴染みの、低温期に分泌が盛んになるホルモンです。
・FSHの検査方法
生理開始3~5日目に採血します。LH・エストロゲン・AMH(抗ミューラー管ホルモン※卵巣予備能、卵子のもとになる原子卵胞の数を調べる検査)と組み合わせてに卵巣の機能や卵細胞の年齢を調べます。
・FSHの基準値
- 卵胞期 5.2~14.4 mIU/mL
- 排卵期 5.6~14.8 mIU/mL
- 黄体期 2.0~8.4 mIU/mL
- 閉経期 26.2~113.3 mIU/mL
・FSHの数値が高い場合
FSHが基準の範囲よりも高値の場合、まず卵巣の異常が疑われます。
このときは同時にLHも高値になっている場合が多くみられます。
更年期以降の女性ではFSHとLHのいずれも高値となっていますが、これは卵巣の機能が著しく低下したためです。
卵巣の機能低下のほかに疑われるのは、原発性性腺機能低下症や他のホルモンの分泌低下などです。
他のホルモンとは、エストロゲン、プロゲストテロン、テストステロンなどのことで、これらの分泌量が低下すると、FSHの分泌量が高値になります。
LH(黄体化ホルモン)
LHは、黄体形成ホルモン呼ばれるもので、排卵前に大量に分泌され、排卵を誘発します。
卵胞にある卵子が成熟すると脳下垂体からLHが分泌され、LHが大量に放出されるいわゆるLHサージ(LHピーク)になると24時間以内に排卵が起こります。
LHは、血液中だけでなく尿中にも排出されるため、市販の排卵日予測の検査キットや産婦人科で行う排卵日検査はこの尿中のLH量を測っているのです。
・LHの検査方法
生理開始3~5日目に採血され、通常FSHと同時に検査されます。
排卵期に分泌量が増えているかどうか調べるため、その後もう一度排卵日前に採決することがあります。
・LHの基準値
- 卵胞期 1.8~7.0 mIU/mL
- 排卵期 5.6~34.9 mIU/mL
- 黄体期 1.0~7.8 mIU/mL
- 閉経期 6.7~38.0 mIU/mL
・LHの数値が高い場合
LHの分泌量が基準値よりも高い場合は、多囊胞性卵巣症候群などが疑われます。
これは、卵巣の表面が異常に厚みを持ち、排卵がされずに卵巣内に卵胞が滞留した状態で、超音波検査によってその影を確認することができます。
またFSHと合わせて高値になっている場合は、排卵障害や早発閉経、卵巣予備機能の低下などが考えられます。
FSH・LHともに基準値よりも低い場合
FSH検査値が基準値の範囲よりも低くなっている場合、別の病気や異常がある可能性があります。
こうした場合は、エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンが過剰に分泌されていたり、脳の下垂体機能低下症などが疑われます。
下垂体機能低下症では、ホルモンの分泌指令を各器官に出す機能が低下したり、下垂体に腫瘍ができているなど何らかの異常が起きている場合に見られます。
下垂体が正常位に機能していないと、FSHの分泌が低下したり、そのほかの性腺刺激ホルモンの分泌が過剰になってしまい、卵子の成熟や排卵がうまく行えなくなってしまうのです。
注意すべき自覚症状
FSH・LHともに分泌量に異常がある場合は、体に様々な自覚症状が現れます。
代表的ものは以下のものなどで、更年期障害に非常位によく似た症状が現れます。
- 生理不順
- 経血の量が減少
- 生理日数の短縮
- 生理が全くない
- イライラ感
- 体のふらつきやめまい
- のぼせ感
普段から生理周期が狂いがちで、生理不順気味という人は、まず基礎体温を記録し、排卵や生理がFSH・LHの動きに合わせて正常に起こっているのかを確認してみましょう。