型比容積とは、目的の型に入れるのに適正な生地量に対し、型の容積がどれだけの割合であるかを数値化したものです。
たとえば、型比容積が 3 であった場合、その型に必要な生地量は、型の容積の 1/3 ということになります。
型比容積は、基本的に作るパンの種類によって適した値が決まっています。
作りたいパンの型比容積を知っていれば、型の容積を計算することで、最適な生地量を求めることができます。
たとえば、蓋をして焼成する角食パンは、型比容積が 3.8 ~ 4.0 であることが多く、蓋をせずに焼成する山型食パンは、型比容積が 3.5 ~ 3.7 であることが多いです。
つまり、角食パンは型の容積の 1/3.8 ~ 1/4 の生地を入れるのが適正で、山形食パンは 1/3.5 ~ 1/3.7 の量入れるのが適正ということになります。
レシピの型の容積と手持ちの型の容積が違う場合、手持ちの型に合わせてレシピの材料の重量を変更しなくてはなりません。
そういった場合に、型比容積を利用して生地量と粉量を計算することができます。
手順は以下の通りです。
型比容積は、型の容積と生地量から求めることができます。
計算式は下記ようになります。
型比容積 = 容積 ÷ 生地量
たとえば、容積が 1280㏄ で、生地量が 365g というレシピの場合は
レシピの型比容積 = レシピのパン型の容積 ÷ レシピの生地量
レシピの型比容積 = 1280 ÷ 365
レシピの型比容積 = 3.5
つまり、このレシピの型比容積は 3.5 ということになります。
手持ちの型に必要な生地量は以下の式で求めることができます。
手持ちの型の容積 × 型比容積
では、手持ちの型が 1100cc だったとして、前述で計算した型比容積 3.5 を当てはめて、計算してみましょう。
手持ちの型に必要な生地量 = 手持ちの型の容積 × 型比容積
手持ちの型に必要な生地量 = 1100 ÷ 3.5
手持ちの型に必要な生地量 = 314
つまり、314g が適正な生地量となります。
手持ちの型の適正な生地量が求められたので、次は粉の量を計算します。
というのも、粉の量が判明すれば、レシピのベーカーズパーセントに当てはめれば各材料のグラム数を求められるからです。
生地量から粉量を割り出すには、以下の式を使います。
生地量 ÷ 合計ベーカーズパーセント × 100
合計ベーカーズパーセントは、粉の100%も含めた全ての材料のベーカーズパーセントの合計値です。
では、前述で計算した生地量 314g と、合計ベーカーズパーセントが 182.5% とした場合に当てはめて計算してみましょう。
粉のグラム数 = 生地量 ÷ 合計ベーカーズパーセント × 100
粉のグラム数 = 314 ÷ 182.5 × 100
粉のグラム数 = 172
つまり、手持ちの型に必要な粉のグラム数は、172g ということになります。
さて、残りは各材料のグラム数を計算するだけです。
とはいっても、レシピに記載されているベーカーズパーセントに、粉のグラム数を当てはめて計算するだけです。
ベーカーズパーセントからグラム数を計算する方法は ベーカーズパーセントとは にて説明していますので、ここでは割愛します。